[糸井]
コウモリっていえばさ、オレ、子どものときにコウモリ捕ったことあるよ。



[南]
へぇ、どうやって?

[糸井]
サンダルとか上に放り投げるとさ、スーッとついて来るんだよ。

[南]
ああ、そうだ、そうだ。そうだ。
ついて来るんだよね。

[糸井]
うん。で、ついて来たところを捕虫網で、バーンっと。

[南]
あ、その部分はやったことがないな。

[糸井]
あ、やったことない?

[南]
うん。サンダルどまりだね。

[糸井]
サンダルどまりですか。

[南]
うん。



[糸井]
サンダルと、ボールだね。野球の。
夕方までさ、野球やってると、暗くなって、コウモリが飛び始めるじゃない?
そうすると、野球をやってたボールがそのままコウモリをからかう道具になって、みんなが上に投げ始めるんだよ。
で、ヒューンって寄ってきたところを捕虫網でバーンっと。

[南]
ヒューンってきたのをバーンと。

[糸井]
それを繰り返して遊んだね。

[南]
たのしそうだね。



[糸井]
コウモリとオレたちは友だちだったから。

[南]
つかまえた友だちはどうするの?

[糸井]
捕ったやつはね、野球帽に入れて、こうやって逃げないように抱えて、家まで持って帰るんだ。
で、バケツみたいなものに入れて、なにかでフタをしておくわけ。
だけど、朝になると、いないんだよ。

[南]
え?

[糸井]
なぜかというと、溶けちゃうんだ。

[南]
溶けちゃう?

[糸井]
うん。

[南]
コウモリが?

[糸井]
うん。

[南]
‥‥うーん。

[糸井]
‥‥信じてないね?

[南]
‥‥いや、あのさ。

[糸井]
まぁ、信じろとは言わないけどね。

[南]
あのさ。

[糸井]
なに?

[南]
溶けちゃうのは、クラゲだろう?

[糸井]
‥‥‥‥あ、クラゲだ!

[一同]
えええっ?

[糸井]
クラゲはバケツに入れとくと溶けちゃうんだ。
で、コウモリは溶けないんだよ。

[南]
ごっちゃになってたんだな(笑)。

[糸井]
ごっちゃになってた、ごっちゃになってた(笑)。

[南]
コウモリとクラゲが(笑)。

[糸井]
コウモリとクラゲが(笑)。



(つづくべきです)


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