[糸井]
どじょうを捕ったことはある?

[南]
あったかな? ないような気がするね。



[糸井]
「うさぎ追いし、かの山。
 どじょう釣りし、かの川」。

[南]
それは「こぶな」だね。

[糸井]
「こぶな」だね。
子どものころは、こぶなとどじょうをいっしょに捕ってたよ。

[南]
どじょっこだの、ふなっこだの。

[糸井]
そうそう(笑)、春が来ればね。

[南]
食べたことはあるけど、捕ったことはないなぁ、どじょうは。

[糸井]
どじょうって、食べるときはちょっとわくわくしたりするんだけど、そんなにうまかぁないんだよね。
うまいんだけど、とびきりじゃないというか、毎日食いたいねという感じじゃない。

[南]
ああ、そうかもしれない。

[糸井]
いまの人たちはもう、食べるっていうイメージがないかもね。

[南]
どじょうに対して?

[糸井]
うん。もう、「絵」でしょ、どじょうって。
食べるものとか、捕るものじゃなくてさ。

[南]
ああ、そうかもしれないね。
マンガとしての、どじょう。

[糸井]
その意味でいうと、どじょうより、ナマズのほうが価値があると思いませんか。

[南]
は?

[糸井]
ナマズのほうが、親方っぽくないですか?

[南]
親方? は?



[糸井]
だからさ、フナ釣りに行った小学生がいるとするだろう。
その小学生がフナを釣っている横で、中学生のおにいちゃんがコイを釣ったとしてごらんよ。
そうすると、小学生たちは、当然、
「やっぱりお兄ちゃんたちはすごいな」って思って尊敬するわけじゃないか。

[南]
うん。

[糸井]
そういう、フナとコイの関係と同じように、どじょうとウナギの関係ってのは‥‥あっ、ウナギじゃないや。

[南]
ナマズだね。

[糸井]
ナマズ、ナマズ。どじょうとナマズの話。

[南]
でも、いま言おうとしているその話は、ウナギでもできそうだね。

[糸井]
どじょうとウナギで?
‥‥ああ、ぜんぜん問題ないね。

[南]
ね(笑)。



[糸井]
まぁ、でも、いったん、ナマズではじめちゃったわけだからさ。

[南]
そうだね。ナマズで進めようか。

[糸井]
つまり、一般的に、どじょうの親方にあたるものとしてナマズを考えているんじゃないかと。

[南]
イメージとして。

[糸井]
イメージとして。

[南]
ナマズは「ネコ」って呼ばれたりするよね。

[糸井]
ああ、言うね。
あれ? そうだっけ? ナマズがネコ?

[南]
英語で「キャットフィッシュ」というんじゃなかったか?

[糸井]
ああー、そうだ、そうだ。
「キャットフィッシュ」。
ってことは、やっぱりルックス的なものなのかな。
冷静に考えると、あんまり似てないように思えるけどね。

[南]
そうだね。
あ、でも、オレがナマズだとすると、ネコになるのは、できるような気がする。

[一同]
(笑)



[糸井]
「本人」としては(笑)。

[南]
うん。たぶん、いける。

[糸井]
うん、いけると思う(笑)。
伸坊自身からナマズにもいけるんじゃないかな。

[南]
衣装もラクそうだね。
黒く塗って、ヒゲ生やして。

[糸井]
なんの話、してたんだっけ。

[南]
ええと、どじょうとナマズの関係性について。

[糸井]
そうだ、そうだ。
だからね、ぼくらが子どものころは、どじょうを釣りに行って、誰かがナマズを釣ったなんて聞いたら、うらやましくてしょうがなかったよ。
ヒゲの生えた魚を釣るなんてすごい、と。

[南]
うん(笑)。

[糸井]
ほら、マンガに出てくるナマズってちょっと知的な存在じゃないですか。
地震起こしたりするしさ。
だから、ナマズとか、モグラとかに、どうも一目置いてしまうんだよ。

[南]
ああ、メガネかけてて、みたいな。

[糸井]
そうそう(笑)。

[南]
フクロウなんかもそうだね。

[糸井]
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