[糸井]
伸坊のお母さんって、ご存命?



[南]
91でね、死んだんだよ。

[糸井]
91。すごいねぇ。

[南]
おふくろは、
「100まで生きる」って言ってたの。

[糸井]
ふーん。



[南]
それで、91で亡くなったんだけど、91歳の誕生日のときに、
「いくつになった?」って訊いてみたらね、
「101」って答えたんだよ。

[糸井]
くり上がっちゃったの?

[南]
ははははは。
だから、おふくろとしては、
「もう100、いった」って思ってたみたい。

[糸井]
へぇ(笑)。
でも、「しまった!」ってことではまったくないよね。



[南]
うん。よかったんだと思う。
糸井 89、90、101、だったんだ。

[南]
うん。ふふふふ。

[糸井]
子どもがやりがちな。

[南]
うん。はははは。
でも、なんていうかな、80代と、90歳っていうのは、だいぶ、違うよね。

[糸井]
違うだろうねぇー。

[南]
うん。だから、80代のころは、
「まだまだ」って思ってたんだと思うんだよ。

[糸井]
で、90とか91になったときに、まぁいいか、じゃないけれども、ふっとひと息。



[南]
うん。

[糸井]
そっか。

[南]
91歳‥‥それは、よかったですよ。

[糸井]
前も訊いたかもしれないけど、伸坊は、いくつがいい?

[南]
いやー、わかんない(笑)。

[糸井]
わかんないね(笑)。

[南]
ねぇ。



[糸井]
最低限、ってない?

[南]
最低限?

[糸井]
過ぎた数字はダメよ。

[南]
ははははは。

[糸井]
「最低限、40まで生きたいな」って、60を過ぎたいま言うのはダメ。

[南]
ははははは。ダメって、なんだよ。

[糸井]
最低限、何歳まで?

[南]
最低限ね。そうねぇ。
あんまり考えたことなかったなぁ。

[糸井]
今日、考えよう。
いま、考えよう。



[南]
うーん‥‥61だから、いま。

[糸井]
いま、61だから‥‥62とか?

[南]
すごい最低限だね。

[一同]
(笑)

[糸井]
遠慮がちに(笑)。

[南]
61だから‥‥最低限‥‥。

[糸井]
最低限‥‥。

[南]
70。

[糸井]
ん、70。

[南]
どうだ、70。

[糸井]
なるほどね。



[南]
赤瀬川さんは、もう70になったもんね。
71か。

[糸井]
そういう場合、安心するのかね、70になったりすると。

[南]
ああー、どうだろうね。
糸井さんは?

[糸井]
ぼくはね、まえにも、考えたんだけど、父親が68才で死んでるんです。
だから、それが、ひとつの基準。

[南]
あ、そういう考え方があるか。

[糸井]
ていうか、それ以外に、拠り所がない。

[南]
うちの親父は45だった。

[糸井]
それは、超えたね。

[南]
超えた、超えた(笑)。

[糸井]
じゃあ、最低限の最低限は、すんだね。

[南]
すんだ。
つぎは、おふくろの91っていうのが(笑)。

[糸井]
たいへんだなぁ、それは(笑)。
足して割るか。

[南]
足して割る?
あ、親父とおふくろを。



[糸井]
だから、45たす91は‥‥136だろ?

[南]
136を2で割ると‥‥68。

[糸井]
あ、オレの最低限と同じになったじゃん。
じゃ、そうしない?

[南]
ははははは、そろえてどうすんだよ。

[糸井]
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