満を持して禁煙を語る編

第5回 これが、おっぱい理論だ!

[糸井]
ぼちぼち、ぼくの禁煙ライフにおける最大の発明について話しましょうか。

[永田]
‥‥あれですか。

[糸井]
あれです。
あれなくして、ぼくの禁煙は語れません。

[永田]
はぁ。

[糸井]
というよりも、あれがあったから、禁煙が続いたといっても過言じゃないと思いますよ。

[永田]
はぁ、まぁ、わからないでもないですが。

[糸井]
思いっきり反応が悪いですね。

[永田]
いえ、読み手のハードルを下げておかないとほんとうのよさが伝わるまえにあきれられるかもしれないので。

[糸井]
いいですか。発表しますよ。

[永田]
はぁ、じゃあ、まぁ、とりあえず、どうぞ。

[糸井]
そのメソッドは
「おっぱい理論」といいます!



[永田]
メソッドて。

[糸井]
ここ、太字にしておいてね。

[永田]
太字は使わないコンテンツなんです。

[糸井]
いや、ぼくはね、この「おっぱい理論」があったから、禁煙が続いたといっても過言じゃないですよ。

[永田]
それはさっき言いましたよ。

[糸井]
じゃ、永田くん、説明したまえ。

[永田]
いやですよ。
自分でやってくださいよ。

[糸井]
なんだその消極性は。
あ、さては信用してないな、
「おっぱい理論」を。

[永田]
いや、信用はしてます。
実際、糸井さんがその理論で禁煙のピンチを何度も乗り切ってきたのも見てきました。

[糸井]
だろう?

[永田]
どうぞ発表してください。
そのバカバカしい理論を!

[糸井]
バカバカしいは心外だが、説明しましょう。
みなさん!
まず、タバコを、
「おっぱい」だと考えてください!

[永田]
みなさん、最後まで聞いてやってください。

[糸井]
つまり、「タバコ=おっぱい」です。



[永田]
みなさん、最後まで聞いてやってください。

[糸井]
禁煙中、吸いたくて吸いたくてたまらないとき、ふと、こんなささやき声が聞こえてきますよね。
「1本ぐらい、吸ってもいいんじゃない?」

[永田]
実際、ありますよね。
ていうか、禁煙って、基本、それとの戦い。

[糸井]
で、禁煙当初はね、そんな声にも対抗できるんです。
「いや、がまん、がまん!」と。
ところが、1週間が過ぎ、2週間が過ぎ、禁煙そのものが珍しくなくなったころ、ささやき声はこう変化するんです。
「ちょっと吸うくらい大丈夫だよ。
 いままでだってがまんできたんだから」

[永田]
うわー、超リアル。

[糸井]
そんなとき、いいですか。思い出してください。
タバコは、おっぱいなのです!



[永田]
すいません、本人、すごくマジメに話してるんです。

[糸井]
もしもあなたが、女性のおっぱいをちゅうちゅう吸いたくなったとき、
「ほんのちょっとだけ吸う」が許されますか?
ダメでしょう? 往来でやったら犯罪でしょう?
そのときの罪は、ちょっと吸っても、ずっと吸っても同罪じゃないですか。
「すいません、ちょっとだけなんで、 おっぱい吸わせてください」って言えますか?
だめでしょう? セクハラでしょう?
ちょっと吸っても、それは犯罪です。
ちょっとならいいかという理屈は成り立ちません!

[永田]
すいません、本人、実際、これで乗り切ってきたんです。

[糸井]
わかりやすくまとめると、
「おっぱいを、ちょっと吸う」ことはありえない!
タバコもしかり!
もっといろいろ語れるが、このくらいにしておいてやろう。

[永田]
ありがとうございました!

[糸井]
救ったね、これで、オレは、何人も。



[永田]
だといいんですけどね。

[糸井]
でもね、まじめな話、役立つんだ、この理論は。

[永田]
根本にあるのは、
「ひとりでいるときに、1本だけ吸ってみる」
っていう誘惑の強烈さですよね。

[糸井]
そう。つらいんだ。

[永田]
こう、ひとりで考えてると、意味がわからなくなってくるんですよね。
「誰も見てない深夜の1本のタバコを なんでオレはこんなに必死に がまんしてるんだ?」って。

[糸井]
そうそうそうそう。
そんなときに「おっぱい理論」だよ。

[永田]
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