今日の絵は、ギリシャの年越しの夜を描いたものです。 ヨーロッパ全体で言えることだと思いますが、 クリスマスやお正月は一般的に家族と過ごします。 我が家も例にもれず、クリスマスと元旦は お義母さんの家やお義兄さんの家でお祝いをします。 特にクリスマスには年に一回のごちそう、お義母さん特製の 栗入りのローストターキーがふるまわれるので、 私は楽しみでなりません。 ここぞとばかりに欲張り過ぎて、 最終的に胸焼けするのも毎年のお約束。 そんな風に家族と過ごす時間の多いこの時期ですが、 大晦日だけは主人の友達の家で、 よく知った仲間で集まって過ごしています。 それぞれ持ち寄ったお料理でおなかを満たし、年が明けると その場にいる全員とほっぺにキスをしあいます。 私は未だに慣れないんですけどね。 そして新年特有のケーキ、「ヴァシロピタ」が切り分けられます。 このヴァシロピタというのはシンプルなパウンドケーキですが、 中に一枚だけコインが入っており、 自分のケーキの中にコインが入っていれば、 その一年幸せに過ごせるというものです。 楽しそうでしょう? 夜が深まって子供が寝静まると、 テーブルに緑のカバーが掛けられ、 ささやかなトランプ大会が始まります。 これもまた、新しい一年の運を占う意味で行われている、 昔からのギリシャの慣習です。 ゲームはなぜかいつもブラックジャック。 結果は大体みんなとんとんといったところですが、 2010年のこの日は、友達の友達という初めて見る男性が、 慣れた手つきで圧勝し、去っていきました。 いつもは勝っても負けてもにこやかに終わるメンバーですが、 この時ばかりはどこか腑に落ちないような、 「ていうか誰?」みたいな空気が流れていたのを覚えています。 あれ以来彼の姿は見ていませんが、 さて今年あたりまた現れるでしょうか。 升ノ内朝子
2016-12-29