ミツバツチグリ、ミツバツチグリ‥‥早口言葉みたいですね。 「三葉土栗」と、漢字をイメージするとおぼえやすい気がします。 春に黄色い花をつけるそうで。 ちいさなたのしみがひとつ、ふえました。
次の「みちくさ」は、明後日に。 しばし月・水・金の更新でまいります。
柳生さんが「可愛いですねー」と言いながら、 これは何て名前でしょう? と、クイズ番組の司会者のようなニヤニヤ笑いになって 地面に顔を近づけた。 その視線の先には、ひょろひょろした茎のところどころに 小さく薄っぺらな3枚の葉をつけた草が寝転んでいる。 葉っぱは3枚合わせても10円玉くらいのサイズだから、 まだ新人(新苗)ってことだろうか。 これは見たことがあるぞと思う。 何かを思い出すぞ、ほら、あの、ほれ、 ‥‥そうそうそう、ヘビイチゴ。 これはあれではあるまいか?
ウチの外庭の、近隣猫の通り道となっている荒れ地に、 3年前、突然ワッとヘビイチゴが実ったのだ。 いきなりなので驚いたが、好物でもあり、 果実は何でも食い散らすヒヨドリが見つける前にと、 5、6粒残して摘んだ。 野生で無農薬とはいえ、 猫のシッコが付着している可能性もあるので そういえばよく洗って食べたな‥‥ ということも思い出したが、 食べると言えばこの葉っぱの形は 三つ葉のほうにより近くはないか? と思えてきた。 野生のクレソンがあるのだから 野生の三つ葉があってもおかしくはない。 だいいち、代々木公園に三つ葉が自生しているなんて、 わくわくするじゃないですか。
で、三つ葉に似てます、と言うと柳生さんはニヤッと笑って 「ミツバツチグリっていいます!」 おおっ、と喜んだものの、ツチグリって? 土をぐりぐり這うとでも? 「土栗という当て字があるくらいで、根が茶色く 太っているんですよ。土の中の栗って意味でしょうね」 なるほど。 この草、頭にミツバと付いてはいても 三つ葉とは赤の他人で葉っぱの形が似てるってだけのこと。 普通は食べない。 が、みんな思うことは同じなんだなあ。 どうしてもミツバと付けずにはいられないんだなあ。