雨上がりの代々木公園。
吉本さんが、またスッとしゃがみこみました。
立ち止まる柳生さんも、ゆっくりとしゃがみます。
さて、吉本さんが見つけた次のみちくさは? |
|
|
吉本 |
ね、柳生さん、
こんなちっちゃな子がいます。 |
柳生 |
ん? どこですか? |
吉本 |
ほら、ここに。 |
柳生 |
はいはい、
ああ、これはかわいいや。 |
吉本 |
かわいい。
連れて帰りたくなっちゃいますね(笑)。 |
柳生 |
ね(笑)。
スミレの仲間ですよ。 |
|
|
スミレの仲間 |
|
分類/スミレ科 スミレ属 |
|
開花期/3〜5月 |
|
吉本 |
やっぱり。
スミレかなあと思って。
なんていうスミレなんですか? |
柳生 |
うーん、スミレはねえ、種類が多くて
ちょっと特定できないですね。 |
吉本 |
そうなんですか。 |
柳生 |
でもほら、ここ見てください。
見えるかな?
白い花だったと思うんですが
これ、スミレのタネがはじけたあとなんです。 |
|
|
吉本 |
はじけるんですか。 |
柳生 |
うん、3つにはじけるんです。
こうやって、ぱーんと。 |
|
|
吉本 |
へええ〜。 |
柳生 |
音が聞こえるぐらい、パチーンてはじけるんです。
で、はじけたタネはどうなると思います? |
吉本 |
それは‥‥発芽しますよね。 |
柳生 |
はい。その発芽の場所がおもしろいんです。
はじけたタネはね、アリが運ぶんですよ。 |
吉本 |
アリ? 昆虫の? |
柳生 |
そう。
スミレのタネをよく見ると、
まわりに白いつぶが、ちっちゃいのが、
ちょんとついてるんですね。 |
|
|
吉本 |
なにか蜜のような? |
柳生 |
あれは、アリにとっては
ユンケルとかゼナみたいなやつなんでしょうね。 |
吉本 |
あ、元気のもと(笑)。 |
柳生 |
そう、滋養強壮剤なんですよ。
それをアリがせっせと運ぶでしょ。
で、巣の中で食べる。
そして、巣の中で発芽するんです。 |
吉本 |
へええええ。 |
柳生 |
植物っていろんな方法で自分のタネを
遠くまで広げようとするんですど、
アリに運ばせるって、なんだかいいですよね。 |
吉本 |
そうですか、アリさんに‥‥。 |
柳生 |
だから、スミレのあるところには
必ずアリの巣があるはずなんです。 |
吉本 |
なるほど‥‥この、もごもごした土は? |
柳生 |
ああ、穴、あるじゃないですか。
ね? ほら、これアリの巣ですよ。 |
|
|
日本にはスミレの種類が、50以上あるのですとか。
それがスミレだと見わけるのもむずかしいですが、
いまは「スミレのタネはアリが運ぶ」
ということだけでも、おぼえておきましょう。
スミレ、奥深いですねえ。
花の咲く季節に、
またここで取り上げられたらいいなと思います。
次のみちくさは、来週の月曜日に。
月・水・金でお届けいたします。 |