どうやら雨は本降りになることもなく。 青山界隈での、みちくさは続いています。
1回につき、ひとつずつ名前をおぼえていく 「みちくさの名前。」ですが、 今回はふたつセットで名前が登場しました。 「ハルノノゲシ」と「オニノゲシ」。 トゲトゲのほうが「オニノゲシ」。おぼえました? 次の「みちくさ」は、明後日に。 月・水・金の更新でまいります。
排気ガスだらけの目黒通りの某歩道橋の下で、 ここ10年、春になると1本ポツンと咲いている花を ハルノノゲシと呼ぶことを、 今回ようやく認識できてちょっと嬉しい。 アザミに少し似ているけれど、 花は小さく、黄色で貧弱。 アザミの派手さは一寸もない。 事務員みたいなこの草を何と呼ぶのか。 ずっと気になっていたのである。 毎年ほとんど同じ場所に顔を出す。 たぶんそこらに根を張って脈々とつながり続ける ご一家の、その年版と思えるが、 でも、どうしていつも1本だけ? という疑問がある。 種はたくさんばら撒かれているのだが、 劣悪な状況のもとで花を付けるほどに育ち得るのは 毎年1本だけ、ってことなのかしら。 いつかは犬にオシッコを掛けられていた。 雨上がりの午後、S小の生徒に傘で叩かれていた。 強烈なビル風に、右へ左へ、 千切れそうに揺れている姿もたびたび目撃した。 でも、毎年、結局、立派に生きる。 冬、マーケットへ行く道すがら、 そのきりっと立ち枯れしている姿を見ると、 「キミはすごいねえ」と声を掛けないではいられない。 いちおう楚々としているから、 この歩道橋下の住人はオニノゲシでないことは確か。 この春からは、「ハルノノゲシよ、お元気か」と、 きちんと名前で呼んでみよう。