雨はどうやら完全にあがった様子。 季節は冬のまんなかですが、 青山界隈でのみちくさは、しずかに陽気に続いています。 おふたりが次に足をとめたのは、 白いシートにおおわれた、建設現場の前でした。
う〜〜ん、草はややこしゅうございますねえ。 ハハコグサ(ゴギョウ)という名は 春の七草のひとつとして知っていたが、 チチコグサ、さらにはチチコグサモドキまでもが 存在していたとは。 ハハ、チチ、モドキ。直球勝負の命名である。 どこをしてハハ、何をしてチチ、 と言わしめるかは気になるところで、 家に帰って考えた。 街の建物壁面で諏訪さんが指差した、 ひよひよしたのがチチコグサなら、 毎春ウチの庭に咲くのはハハコグサではなかろうか、と。 若苗の姿形、白い綿毛におおわれた葉の柔らかな感触、 そして葉の裏が白っぽいという よく似た3つの特徴はファミリーの証しに思える。 が、チチコグサの"咲いてるんだか枯れてるんだか" よく判らない地味な花に比べると、 ウチのは、黄色い小さな冠のような花をたくさんつけて、 それが若草色の葉に映えて、なかなか華やかなのである。 ありきたりな考えだけれど、 地味目がチチなら派手目はハハと分類したくなる。 それならモドキは? と思ったところで牧野先生を繙いた。 しかしハハチチあれどモドキなし。 先生没後出現の新種なのかもしれない。 ま、そういう方面は他にまかせて、 チチコグサとチチコグサモドキの違いねえ。 芸術家と芸術家もどきほどにはないみたいだけれど。