表参道裏通り、冬のみちくさが続いています。 諏訪さんが、空き地のフェンスの前で立ち止まりました。 さて、きょうのみちくさは‥‥。
草に名前を付けた人のイマジネーションの豊かさには、 いつも感心するのだけれど、 中でもイヌノフグリとコダカラベンケイの 名付け人の脳働きには脱帽している。 道端などで小さな葉っぱをたくさん付けて 這って生きている10センチあまりの地味な草の、 丸い玉が2つ繋がったような果実の形が、 犬のフグリ(タマタマというか陰嚢)を思わせるから イヌフグリ‥‥ と考えた人はどこのどなたか。 周りがギザギザになっている長三角形の葉っぱの、 そのギザギザの窪みにそれぞれに芽を付けて、 かなりの数の子孫を地面にばらまいている ぶよっと肉厚の多肉質植物を、 コダカラベンケイと呼んだ人は、 どういう暮らしをされてきたのか。 そういうことをつい考える。 スズメノカタビラもそれに続く。 カタビラ(帷子)とは単衣の着物のことだけれど、 まさかこの、背の低いちっぽけな草の、 普通は気付かない数ミリ単位のささやかな花穂を 雀の着物に見立てるとは、 いったいどういう感性の持ち主だろうかと 興味を持った。 私も庭の草毟りではこの草と対峙するのだ。 というか、一方的に抜き殺すわけだけれど。 そのとき花穂もたびたび見てきた。 しかしあれを雀に着せてみようかという発想には、 残念ながらまだ至っていない。