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柳生 |
やあー、ようこそ!
ようこそ、いらっしゃいました。 |
吉本 |
約束したので、ほんとうに来ちゃいました(笑)。 |
柳生 |
いやぁー、うれしいなあー。
再会、再会ですね。 |
吉本 |
ほんとうに。 |
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柳生 |
「みちくさの名前。」
いつもみてますよ。 |
吉本 |
ありがとうございます。
続けてるんです、あれからも。 |
柳生 |
ねえ、すばらしいことですよ。
ぼくがお邪魔したのが、最初ですよね? |
吉本 |
そう、代々木公園で。 |
柳生 |
雨の代々木公園、歩きましたねぇ(笑)。 |
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吉本 |
歩きました(笑)。 |
柳生 |
あれから‥‥ええと、何年? |
吉本 |
次の秋で、2年かな。 |
柳生 |
あー、そんなになりますか。 |
吉本 |
こんなに続くとは思わずに。 |
柳生 |
代々木公園はたのしかったですねぇ。
あの雨の中で、
よくあんなに盛り上がれるなっていう(笑)。 |
吉本 |
そうそう(笑)、盛り上がりました。 |
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柳生 |
でもきょうはよかった、雨じゃなくて。
朝はすごい降ってたんですよ。 |
吉本 |
えー、そうだったんですか? |
柳生 |
それがうそみたいに晴れて。
なんだか、「みちくさの名前。」を続けてきた
ごほうびみたいじゃないですか(笑)。 |
吉本 |
よかったです、続けてて(笑)。 |
柳生 |
晴れてるけれど、ここは涼しいでしょう? |
吉本 |
ええ、涼しいですね。
風がすごく気持ちいいし。 |
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柳生 |
夜なんか肌寒いくらいですよ。 |
吉本 |
へええーー。
そうですかぁ、ここが『八ヶ岳倶楽部』。
向うに見えるのが雑木林ですね。 |
柳生 |
そう、あそこを家族で30年前から。 |
吉本 |
コツコツと? |
柳生 |
コツコツとつくってたんですよ。
で、それがまぁ、20年前にあまりにも
「この雑木林は気持ちいいねぇ」
ってなってですね、
それをこう、自慢したくなりまして(笑)。 |
吉本 |
自分たちだけで楽しむんじゃなく? |
柳生 |
そうですね。
一所懸命つくった料理だって、
ひとりで食べてるとつまんないですよね。
それと同じなんです。
誰かに林を歩いてもらいたくなって、
オープンしたのが20年前でした。 |
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吉本 |
20年。 |
柳生 |
実は21年。
ここはもうすぐ21歳なんです。 |
吉本 |
すごいなぁ‥‥。
今日のみちくさも
あの雑木林で、ですね? |
柳生 |
はい、それがいちばんだと思います。 |
吉本 |
わあー、たのしみ。
いやぁ、うれしい(笑)。
ほんとに来られて。
しかもこんなにね、緑がきれいな時期に。 |
柳生 |
今はほんとにいい時期なんです。
ここは標高が高くて、冬が長いんですよ。
11、12、1、2、3、4月、
この6カ月が冬。 |
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吉本 |
4月まで?
1年の半分は冬なわけですね? |
柳生 |
そう。
四季の半分が冬で、
のこり6カ月を3つの季節で分けてるわけです。
だから、春夏秋と過ぎるのが速い速い。 |
吉本 |
なるほどぉ。 |
柳生 |
東京では今、毎日暑くて、
葉っぱが夏バテして休んでるんです。
でも、ここの葉っぱは、
もう、「うわー」って感じで、
「早くしないと秋が来るぞ!」
みたいな勢いで、休みなくやってるんですよ。 |
吉本 |
のんびりしてられないですもんね。 |
柳生 |
はい。
8月はですね、春の花も残ってて、
夏の花も咲いて、
秋の花も咲き始めちゃうっていう時期。
とてもたのしい時期です。
夏の花もあって、秋の七草も咲いたりしてて。 |
吉本 |
へええー。 |
柳生 |
そこにはほら、アジサイもまだ残っているし。 |
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吉本 |
あ、ほんとだ、アジサイが。 |
柳生 |
それはね、ヤマアジサイっていうんです。 |
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吉本 |
ヤマアジサイ。 |
柳生 |
はい。
アジサイは大きくわけて2種類あります。
ヤマアジサイとガクアジサイ。
ヤマアジサイは山に咲いていて、
ガクアジサイは海に咲いている。 |
吉本 |
そうなんですかあ。
‥‥柳生さん、
なんだかもう、はじまってますね、みちくさ。 |
柳生 |
ほんとだ(笑)。
いいですよね? はじめちゃって。 |
吉本 |
ええ、もちろん。
はじめちゃいましょう! |
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こうして、「お久しぶりです」のごあいさつもそこそこに、
八ヶ岳での「みちくさ」がはじまりました。
ひとつずつ名前を覚えていく本編は、
8月31日の火曜日からスタート。
『八ヶ岳倶楽部』の雑木林で見つけた植物たちを
柳生さんの解説でご紹介してまいります。
なお、このシリーズからは、
吉本由美さんのエッセーが掲載されない回も
ときどきあるようにいたしました。
そのかわり、更新回数を火木土の週3回に。
週に3つの名前を、たのしく覚えていってくださいね。 |