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みゆきさんは、ツイッターなんて
始めようなんて気は、さらさらないんですか? |
中島 |
めんどくさいからヤだ。
目が疲れるしね、ああいうの。 |
糸井 |
おかげで目もきれいでいらっしゃいますよね。
喉を守り、目を守り、色々守っておられますね。
守備はけっこうお好きですよね。 |
中島 |
ええ、もう、薬オタクですから。
楽屋では中島薬局って言われてますね。 |
糸井 |
どんな防御をされているんですか?
喉はもちろんですか? |
中島 |
別にね、恐ろしく頑丈な
体質というわけでもなく、
ごく普通に風邪も引くときは引くし、
ごく普通の睡眠時間だし、
ひいたら治す、壊れたら治すっていう、
治す系を色々ね。
小さいスーツケースを開けると、
湿布薬から、目薬から、のど飴から、
なんちゃらかんちゃら。
キネシオテープはいいですよ。 |
糸井 |
えっ、それはなんですか? |
中島 |
筋肉の働きをする、
ビヨーンと伸びる
ばんそうこうみたいなものです。 |
糸井 |
手伝ってくれるわけだね、動きを。 |
中島 |
そうです。捻挫していても、
とりあえずワンステージはできます。
前の前のツアーであったんだよねえ。
ヒールの靴でバミりが逆になってて、
それでコードの山でギクッとね。
で、とりあえず出ないわけにいかないので
キネシオで、1ステージはもちますからね。 |
糸井 |
次のステージは
お医者に行ってなんとかするんですか? |
中島 |
そのときは旅先で、
医者には行かなかったですね。
どんどん湿布して戻して、
あとはサポーターでがっちり固めて行きましたね。 |
糸井 |
野球の選手みたいだね。 |
中島 |
ああ。舞台仕事は、スタッフも舞台上も含めて、
スポーツですね!
土木工事の現場みたいなもんでしょう。 |
── |
特に「夜会」みたいに続くと、
そんな感じになりますよね、きっと。
最後のほうは満身創痍な感じに。
1カ月もやってるわけですもんね。 |
中島 |
ええ。キャスト、スタッフ、
ミュージシャン含めて、
男も女もみんな工事現場ですよね。 |
糸井 |
そうだろうなとは思うけど、
リアリティを今感じました。 |
中島 |
きれいな衣装は着ているけれども、
私の中は、テープと筋肉でできてます、
みたいな世界ですよ。 |
糸井 |
長いしね。 |
中島 |
はい。 |
糸井 |
風邪はひけないですよね。 |
中島 |
ひかないようにと努力はしますけれども、
限界がありますね、特にツアーだと。 |
糸井 |
ツアー中にひいてしまったことは
あるんですか。 |
中島 |
しょっちゅうひきます。
なぜならば、風邪が流行ったときに、
まず最初にお医者さんに注意されることは、
「人ごみに出ないでください」。
できないじゃないですか、そんなこと。
お客さんがいなかったら、
ステージ、すごく淋しいじゃないですか。 |
糸井 |
人ごみが仕事です。 |
中島 |
人ごみの仕事でしょう。
そんでもって「暖房、冷房を切りなさい」、
と言われても、
新幹線、飛行機、止められないです。
ホテルなんかだと、自分の部屋を切っても、
全館のが回ってたりするでしょう。
だから自分のコントロールできない範囲が多い。
ましてやホールの空気は、
乾いた空気が吹き付けるでしょう。
ほこりの山でしょう。そりゃひきますわね。
だからひいたら治すっていう、
修理工事の現場をやりながら、
ずっと旅を続けていくみたいな感じですね。 |
糸井 |
ボーッとしながらやるってことが
できないとダメですね、
熱があるとかっていうときの。 |
中島 |
完璧というのはないですけど、
よりちゃんとやれるようにと
それはがんばります。けれども、
それが思うようにいかない日もあるわけで、
思ったほどの声が、
一音足りない状態までしか出ない時もある。
けっこう体力に甘んじてた時は
それが許せない、
みたいな時ってあったんですよね。
この音が今日は出ない、今日は調子が悪くて
ボーッとしてるみたいな時って
そこに意識が行っちゃうんです。
調子が悪い悪い悪いと思ってイライラしちゃう。
イライラしちゃうと舞台自体がイライラして、
お客さんはなんでこんなもん
ぶつけられるんだろうってことになる。
で、本当に潰れて出なくなった舞台を
いっぺんやった時があって、
忘れもしない松山の。
いつも本番前にミュージシャンとかみんなで
「ファイト、オーッ!」っていう
「オーッ!」で潰したんですよ。
で、潰れてるの気付かないで出ていって
1曲目、イントロで歌ったつもりが
声になってない。
スーしか出てないの。
その瞬間にマネージャーは
払い戻しを考えたそうでございます(笑)。 |
糸井 |
そのあとどうなったんですか?! |
中島 |
で、ミュージシャンたちは
出だしを忘れたのかと思って
それぞれみんな見ますよね。
でも出なくてのたうってるというのが
わかったとたん、
それぞれがかわりばんこにリードで出る、出る!
ギターはリードギター弾く、
それで手が尽きるとピアノの人がリードをやる。
もうそれぞれかわりばんこにリードでもたせる。
あの時は3連曲だったんだっけ?
あたま3曲。
で、リードをかわりばんこにやってる間に
ちょっとずつ出るところを探すわけ。
しょうがないから。
裏声ならちょっと
出るかもしれないってとこを探して、
裏声から出してちょっとずつ広げて。 |
糸井 |
探してっていうのは、
誰かが演奏しているときに、
自分で声を出してみてるんですか。 |
中島 |
ときどきコーラスパートみたいなのを
アーってやりながら、混じりながら、
ここならいけるってところを出して、
出るようならそこで歌う。
で、3曲終わって挨拶のときに、
「本日はこんな、いきなりハスキーで
こんなもんですけれども、お客様、
いいもん見たと思って我慢してちょうだいね」
ってことで、あとはもうお笑い劇場ですよ。
「歌は今日はダメだけど、
喋りをそのぶん、
お客さん、サービスするから」
ってことで。喋りましたね、
あの日はさだまさしのようでした(笑)。 |
糸井 |
へええ(笑)
(つづきます) |