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松井 |
夜になると、何時くらいかな? 6時とか?
みんな帰っちゃうんだよね。 |
モモ子 |
もう早いですね、帰りは。 |
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─── |
朝が早いんですか。 |
モモ子 |
そう。
だから夜はわりと孤独で。 |
松井 |
僕はその様子をみてるじゃないですか。
モモちゃんがこう、一所懸命に描いてるのを。 |
─── |
写真でも伝わってきます。 |
モモ子 |
夜はさみしいですよ、人がいなくなると。 |
松井 |
でもほら、パトリスが(笑)。 |
モモ子 |
ああ、ちょっかい出しにくる(笑)。 |
─── |
パトリス? |
モモ子 |
わたしが撮った写真が‥‥。
あ、このいちばん右のおじさん。 |
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※安藤モモ子さんのカメラで撮影 |
─── |
このかたも職人さんですか? |
モモ子 |
パトリスはここのオーナーなんです。 |
─── |
あ、オーナーなんですね。 |
モモ子 |
パトリス(笑)、すっごいかわいい。
夜にちょこちょこやってきて、
わたしのカメラで勝手に撮るんです。
これとか。 |
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※安藤モモ子さんのカメラで撮影 |
─── |
職人さんたちから作品への
感想みたいなものはありましたか? |
モモ子 |
ありましたよ。
でも、3枚目くらいでやっとです。
この人たちの目は、いちばん厳しいから。 |
─── |
いっぱいみてますからね。 |
モモ子 |
みんな何十年選手ですから。
すっごい人から若造まで、
いっぱいみてるんですよね。
日本からわたしみたいなのが来て、
最初はすっごい冷静な目でみられてた気がします。 |
松井 |
そうだったんだ。 |
モモ子 |
で、ようやく最後のほうになって、
「グッド!」とか言われて(笑)。 |
松井 |
そうか、最後のほうでやっと‥‥。
でも、そうかもしれない。
ぼくは2回お邪魔したんだけど、
1日目はだれもぼくの顔を見ないんですよ。
「なんだこいつはー」みたいな感じで。
でも、2日目のときは、
ね? 向うから話しかけてきたりしたよね? |
モモ子 |
うん。 |
松井 |
それは単純に、
ぼくじゃなくてモモちゃんが
受け入れられたからだと思うんですよ。 |
モモ子 |
‥‥でも、時間かかった。 |
松井 |
そうかあ、あれは時間がかかったんだ。 |
モモ子 |
うん。
最後は、よかったな‥‥。
帰る日のフライト直前まで作業してたんですけど、
いきなりみんな揃ってて、
シャンパンとケーキを持って、
「お疲れさま!」みたいな。
そんとき、みんな笑顔で。 |
─── |
いいですねえ‥‥。 |
モモ子 |
認めてもらえたっていうのがうれしくて、
超泣きそうになって。
でもここで泣いたら、
日本人はすぐ泣くとか言われそうで。 |
─── |
なめられちゃいかん(笑)。 |
モモ子 |
そう(笑)。 |
─── |
ほんとうに、
めくるめく1週間でしたね。 |
モモ子 |
もう詰め込み過ぎですよ。
パリに10年住んだくらいの気持ちになった。
変わった人にも会いまくったし。 |
松井 |
いろんな人がふらっとやってくるからね。 |
モモ子 |
石版、おもしろかったなあ‥‥。
わたし、刷り上がりよりも
石版を残したいって思っちゃいました。 |
松井 |
思っちゃうよね。
でも、モモちゃんの石版は削られて、
また次の人のために準備されていく。 |
モモ子 |
うん。 |
松井 |
ほんと、側でみていておもしろかったです。 |
─── |
そうですか。 |
松井 |
ぼくがいたのは2日だけだったけど、
いいときに目撃してたような気がする。 |
モモ子 |
そう、いいときに松井さんがいてくれたと思う。 |
─── |
このたくさんの写真がそれを物語ってますよね。 |
松井 |
あの、ぼくは一応フランス語がわかるんですけど、
職人さんたちがモモちゃんのことをね、
「こんなバンビちゃんがよくやってるよなあ」
ってことを言ってましたよ。 |
モモ子 |
えー(笑)。
そうなんだ、ぜんぜんわかんなかった。 |
松井 |
言ってた。 |
モモ子 |
そうかー。 |
─── |
‥‥ありがとうございます。
何度も言いますが、そのまま映画になりそうな。 |
モモ子 |
(笑) |
─── |
たぶんスライドショーがメインの
コンテンツになると思うんですが、
おふたりのお話も、ぜひ添えさせていただいて。 |
モモ子 |
そうですか、変な話ですみません。 |
─── |
いえいえ、では、あらためてご連絡を。 |
松井 |
わかりました。
きょうはありがとうございました。 |
モモ子 |
ありがとうございました。 |
─── |
こちらこそ、ありがとうございました。 |
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(おわります) |
2010-04-29-THU |