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モモ子 |
とにかくね、クレープを食べたんですよ。 |
─── |
クレープ。
モンパルナスのお店で。 |
モモ子 |
そう。 |
松井 |
アトリエがある界隈が、
ブルターニュ出身のクレープで有名なんです。 |
モモ子 |
クレープ通りにアトリエがあるんだけど、
わかんないんですよね、一見。
鉄のドアがあるだけで。
開けると奥にわーっと工房がある感じで。
通りには何軒もクレープ屋さんがつながってて。 |
─── |
そんなに食べましたか。 |
モモ子 |
食べたもなにも!
やめてくれ! っていうくらい食べた。 |
─── |
そんなに。 |
モモ子 |
ある日、お昼にクレープをダブルで食べて、
じつはその前の日も食べていて、
さすがにうんざりしてたんですよ。
そしたら「今日は友だちの家でごはん!」
ということになって、
やった! と思って行ったら、
「せっかくここにきたんだから、
さあ、クレープよ」って(笑)。 |
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一同 |
(笑) |
モモ子 |
次の日、工房のおじさんが、
「モモ、クレープ食いに行こう」 |
一同 |
ええーー(笑)。 |
モモ子 |
もうクレープばっかり食べてた。
ガレットっていうんですね、あのクレープ。 |
─── |
そば粉を使っている。 |
モモ子 |
ガレットを食べまくった。 |
─── |
何日間の話なんですか、それは? |
モモ子 |
1週間ですね。 |
─── |
1週間。
じゃあもう、石版とクレープの1週間ですね。 |
モモ子 |
そうだ、石版とクレープの1週間ですよ。
だってほんとにそれしかないっていうか、
ひたすらホテルとアトリエの往復で‥‥。
あ、そうそう、ホテル!
泊まったとこが、あれは、超ウケる(笑)。 |
─── |
どんなところに泊まったんですか? |
モモ子 |
工房のすぐ近くなんですけど、
ひっどいホテルで、
しかも屋根裏部屋だったんです。 |
─── |
屋根裏? |
モモ子 |
ストレッチしようと思って
からだ動かしたら傾いちゃって(笑)。
斜めなの、基本的に。 |
松井 |
モモちゃんが撮った写真があるね。 |
─── |
へえー、ここが‥‥。 |
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※安藤モモ子さんのカメラで撮影 |
モモ子 |
写真だとけっこうかわいくみえるんだけど、
実際はかなりひどいんです。 |
─── |
これ、掲載してもいいですか。 |
モモ子 |
あ、ぜんぜんかまいません。
どんな記事になるんだろう(笑)。 |
─── |
どうなるんでしょう(笑)。
これから考えます。 |
モモ子 |
で、このホテル、受付にインドの人と、
もうひとり、なんかおじいちゃんがいるの。
「ボンジュール(がらがら声で)」って。 |
─── |
そんな声ですか(笑)、キャラが揃ってますね。 |
モモ子 |
そうとうヤバい。
あと超マッチョな
冬なのにタンクトップのお兄ちゃんが、
あたしのスーツケースを肩に乗せて
螺旋階段をのぼっていくんですよ。 |
─── |
細い階段を。屋根裏まで。 |
モモ子 |
チップを死んでも受け取らないの。
「ノン・メルシー」とか言われて。
超プライドが高い。 |
松井 |
よく見つけたね、そんなホテル。
ちょっと珍しいよ。 |
モモ子 |
あれは、ホテルじゃないのかも。
ていうか、安いとこじゃないと。
1週間いたら高いことになるから。 |
─── |
パリ、高いですもんね。 |
モモ子 |
高い。
でもあの宿は、おもしろかったなー。
愛があった! |
─── |
なんだか映画みたいな設定ですね。
ある日とつぜん
「パリの工房で石版版画をやってこい」
と言われた女性の、1週間の物語。
たどりついた宿には
あやしいキャラクターが揃っていて、
食べるものといえばクレープばかり。
門を叩いた工房には、
なんとデヴィッド・リンチが!(笑) |
モモ子 |
ねえ(笑)。 |
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─── |
全編スライドショーにしようと思ったんですが、
このお話はぜひ掲載したいです。 |
モモ子 |
そこはもう、
どのようにしていただいても。 |
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(つづきます) |
2010-04-28-WED |