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─── |
きょうはわざわざすみません。
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松井 |
いえ、こちらこそ。
こちら、安藤モモ子さんです。
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モモ子 |
はじめまして。
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─── |
はじめまして、よろしくお願いします。
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松井 |
ええと‥‥どういう流れでいきましょうか。
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─── |
もうあの、雑談のように（笑）。
松井さんが撮った写真をみながら、
お話をうかがえれば。
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松井 |
じゃあ、さーっと１枚ずつおみせしますね。
（ノートパソコンを開く）
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─── |
安藤モモ子さんは、
監督さんだとうかがっていたのですが、
きょうはリトグラフのお話だそうで。
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松井 |
そうそう、モモちゃんは
映画監督でこのたびデビューしたんですよね。
『カケラ』という映画で。
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─── |
おめでとうございます。
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モモ子 |
ありがとうございます。
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─── |
松井さんはどうやって安藤さんとお知り合いに？
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松井 |
ええと‥‥どんな感じだったっけ？
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モモ子 |
パリのキノタヨ映画祭で紹介してもらって。
松井さんが映画を観てくださって、
それでおうちまでお邪魔して
みんなでご飯を食べて。
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松井 |
ああ、そうそう。
なんだかそういう、たまたまな感じです。
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松井 |
で、モモちゃんが
「これから１週間パリにいます」って言うから、
「何をやるの？」って訊いたら、
リトグラフをやるっていうので
写真を撮りにいったわけです。
行ってみたらこんなところで‥‥。
（写真をみせる）
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─── |
ああ‥‥（しばし写真をみる）‥‥。
いいですねぇ、すばらしいです。
これはもう、
「ほぼ日」でご紹介するなら、
この写真をいっぱいみせる
スライドショーがいいですよね。
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モモ子 |
あ、スライドショー、はい。
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─── |
安藤さんは、
そもそも版画をやってらしたんですか？
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モモ子 |
版画はちょっと。
でもリトグラフはやったことないです。
もともとは絵を普通に描いてました。
ロンドンで美大に行って卒業して、
それから映画の監督を目指したんです。
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─── |
そうなんですか。
‥‥この工房はどういう？
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モモ子 |
ここ、すごいんです。
石灰石でリトグラフを作れる工房で。
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─── |
何ていう工房なんですか？
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松井 |
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─── |
いつ頃からあるんですか？
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モモ子 |
たぶん、19世紀からは間違いないですね。
ピカソやマティスも、
ここを使っていたそうです。
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─── |
へええーー！
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モモ子 |
この石版がね、重いなんてもんじゃない。
おじさんふたりで、せえのっ！ みたいな。
石灰石を磨くのに３日くらいかかるんだそうです。
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─── |
準備だけで３日。
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モモ子 |
はい。
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─── |
そんなすごい工房で
やることになったきっかけは？
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モモ子 |
きっかけというのがかなり、不思議なもので。
まあ、話せば長くなっちゃうんですけど、
要はこのアトリエと親しい日本のかたから、
「とりあえず行ってきなよ」と。
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─── |
それで行っちゃった。
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モモ子 |
うん。
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─── |
へえー。
リトグラフは、勉強していったんですか？
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モモ子 |
いや、もうなんか、わたし、
ほんとにある意味てきとうで。
「何をすればいいんですか？」
っていう状況で行っちゃったから‥‥。
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─── |
面白いですねえ、すごい。
え、じゃあ、着いて初めて石版を見たわけですね。
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モモ子 |
そうです。
ネットとかで一応調べたんですけど、
よくわからねえなと思って。
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─── |
いちおう、すこしは調べた。
でも、わからないですよね。
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モモ子 |
はい。
なにごとも飛び込まないとわからないので、
ま、行ってやってみるしかないな、と。
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─── |
安藤さんフランス語は？
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モモ子 |
ダメです。
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─── |
すごいなあ、すごい勇気ですよね。
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モモ子 |
いやぁ、当たって砕けろ、死にゃーしない！です。
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（つづきます） |
2010-04-23-FRI |
