細かい話で恐縮ですが
真実は細部に宿る、のかどうかは知らないけれど
、
ようやくふたつ目の街に進んだ僕は
ゲームの細かいところにとても魅了されているのである。
そんな細かいところにいちいち魅了されてんなよ、
というツッコミを我が身に入れつつ例を挙げるならば、
たとえば何かをコマンドするときの効果音である。
ロールプレイングゲームにおいては、
ウインドーを開いて、
そこにあるどれかの項目にカーソルを合わせて、
ボタンを押して決定する、という行為を
一連の動きとして頻繁にやるのだけれど、
『MOTHER2』でその一連をこなすとき、
僕は自分がなんとも軽快に
それを行っていることに気づいた。
なんというか、ウインドーを開いて何かを選ぶことが
とても気持ちいいのだ。
こりゃまたいったいなぜかしら、
と考えながらその一連をくり返していたら
どうやら理由がわかった。
効果音である。
ソフトをお持ちの方は
実際にやってもらうとわかりやすいが、
『MOTHER2』では、
ウインドーに並んだ項目と項目のあいだを
カーソルが移動するとき、
コン、コン、コン、と音がするのである。
なんだそんなことふつうじゃんか、と侮るのは早計である。
『MOTHER2』ではその効果音が2種類あるのだ。
すなわち、並んだ項目と項目のあいだを
カーソルが左右に移動するときは
やや低めのコン、コン、コン、という音がする。
ところがカーソルが上下に移動するときは
キン、キン、キン、という、やや高めの音になる。
あんたは何を言ってるんだ? とそしることなかれ。
効果音はそれだけではないのだ。
それらの前提であるウインドーを開くとき、
コンともキンとも異なる
ピッ、というやや乾いた効果音が鳴るのである。
さらに、カーソルを項目に合わせたうえで、
ボタンを押して決定するときには、
ピュン、という、
いっそう異なる効果音が生じるのである!
つまり、ウインドーを開いてから項目を選ぶまでに、
最大4つもの効果音が鳴ることになるのである!
都合4丁もの効果音が鳴ることになるのである!
そんなことに驚いているのは筆者だけであろうか!
帰っちゃいけないお客さん、
これからおもしろくなるんだから!
冷静になってもういっぺん話しますけども、
ウインドーを開いて、カーソルを右に動かして、
下に動かして、ボタンを押すとするじゃないですか。
すると、ピッ、コン、キン、ピュン、という感じで
効果音が鳴るわけなんですよ。
これ、いいんですよ。ほんとです。
ちょっと待ってますから、いまやってみてください。
──ね? いいでしょう?
そりゃあんた、贔屓のゲームだから、
いろんなところがかけがえなく思えるんですよ、
と言われたら、そうかもしれないなあとは思う。
けど、そういう細かいことの積み重ねによって、
『MOTHER2』が多くの人の心をつかみ、
その世界で過ごすことを
心地よくさせているのではないかということも
完全には否定できないことであると思う。
好きな女の子のアバタだから、
それがエクボに見えるのかもしれない。
アバタがエクボに見えるから
その子のことを魅力的に感じるのかもしれない。
ともかく、『MOTHER2』には、そういった
アバタだかエクボだかわからないようなことが、
あちこちにたくさんちりばめられているのである。
自転車に乗ったときにRボタンでベルが鳴らせて、
しかもそのベルの音がBGMに入っているベルの音と、
わざわざ違っていたりとか、さ。