元ゲーム雑誌の編集者で、
テレコマンとしても活動している永田ソフトが
ここでは永田泰大さんとして
『MOTHER1+2』をプレイする日常をつづります。
ゲームの攻略にはまるで役に立たないと思うけど
のんびりじっくり書いていくそうなので
なんとなく気にしててください。

8月15日

夏の影が砂浜を急ぎ足に横切ると

今年のお盆は全国的に寒いようであるが、
ゲームのなかの僕がいる場所は夏まっさかりの海岸である。
といっても、はだかんぼの子供たちが
波打ち際をきゃあきゃあと走り回るような浜辺ではない。
男子中学生の集団がひとりの男子中学生を砂に埋めて、
埋めたついでにそいつの胴体部分に
みごとなおっぱいの盛り上がりを作ってゲラゲラ笑い、
埋められたほうも「やーめーろーよー」と言いつつ
にやにや笑っているような海辺のことではない。

そこはもっと南欧めいた場所である。
アンニュイでハイソサエティーなセレブレティが集まる
エレガントかつトラディショナルなビーチである。
『ロング・バケーション』や『イーチ・タイム』における
松本隆さんの歌詞に登場するような渚である。
男子中学生が意味なく素潜り対決をしたり、
一方の男子中学生がもう一方の男子中学生に
浅瀬でブレーンバスターをしかけたり、
遊び疲れてくたくたになった男子中学生が
海の家でふつうのカップラーメンを買って食って
「ちょーうめー!」と絶叫するような
海のことではないのだ。

なんだか、海の話をしているのか
男子中学生の話をしているのかわからなくなったが、
ようするに僕は避暑地の海にいる。
音楽もグラフィックもすばらしくて、
なんだかずっとここにだらだらしていたくなるような
居心地のいい場所である。

思わずここで「避暑地のジェラート」を
買ってしまったということは以前に書いた。
ほかにも「サマーズ風パスタ」
なんていうものも買ってしまった。
なにしろここで売っているものは
どれもほんとうに美味そうで、
無駄な買い物をしないことで
全国的に知られる貧乏性の僕も
修学旅行時のみやげ屋における男子中学生のごとく
さまざまなものを無駄に購入しているのである。
「ロイヤルアイスティー」なんていかにもそれっぽいし、
「クラーケンのスープ」もかなりそそられる。

エレガントなビーチで、
珍しくて美味しそうなものを前に
買おうかどうしようか悩んでいると、
ほんとに避暑地にいるような気分になる。
薄く切ったオレンジをアイスティーに浮かべて、
というような気分になる。

ついでにいうと、
ホテルに備えつけられている電話が
よその街では黒電話であるのに、
この街に限り公衆電話になっていて
かけるたびに1ドル取られるというのも
いかにもそれっぽくてにやにやしてしまう。

さあ、お盆休みも終わるし、
ぼちぼちつぎの場所へ向かおう。

2003-08-16-SAT