元ゲーム雑誌の編集者で、
テレコマンとしても活動している永田ソフトが
ここでは永田泰大さんとして
『MOTHER1+2』をプレイする日常をつづります。
ゲームの攻略にはまるで役に立たないと思うけど
のんびりじっくり書いていくそうなので
なんとなく気にしててください。

9月6日

手持ち無沙汰な地下鉄

土曜日だけれど、
ちょっと仕事があって、地下鉄に乗る。
どうしようか迷ったけれど、
わざわざ家に置いていくこともないかと思って、
バッグのなかのゲームボーイアドバンスSPは
そのままにして出かけた。
けれど、電源を入れたりしない。
電車は、ごうごうと東京の地下を走っていく。

手持ち無沙汰だ。

僕は中吊りポスターを眺めている。
ポスト小泉が、なんちゃらかんちゃら。
早くも来季の阪神が、なんちゃらかんちゃら。
いま30代が、なんちゃらかんちゃら。
どこかとどこかがコラボレートして、
なんちゃらかんちゃら。

恐ろしく電車がのろい。
え、まだ2駅だって?
うそだろ。

『MOTHER2』を、
つまり『MOTHER1+2』をクリアーしたあと、
僕が真っ先にしたことといったら
『MOTHER1+2』の
サウンドトラックを聴くことだった。
クリアーするまでは聴かないと決めていたから、
ようやくそのCDの封を切った。

ゲームのサウンドトラックを楽しみに聴くことは
ずいぶん久しぶりだ。
僕はたくさんのゲームをプレイしたけれど、
ゲームのサウンドトラックはあまり聴かない。
過去、サウンドトラックを買い求めたゲームは、
『NiGHTS』と、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』と
『ICO』の3本しかない。
『MOTHER1+2』は
4本目のゲームだということになる。

中吊りポスターを眺めたり、
地下鉄マップをぼんやりチェックしたりしながら、
『MOTHER1+2』のさまざまな曲を
頭のなかに再現してみる。
いまはやっぱり『MOTHER2』。
『エイトメロディーズ』と
『スマイル アンド ティアーズ』。
もしくは『ビコーズ アイ ラブ ユー』。
あと好きなのは『ウィンターズのテーマ』。

電車は暗い地下を走っていく。
僕は印象的なメロディーを思い浮かべるけれど、
やっぱり手持ち無沙汰だ。
ほかのゲームにすぐ移れるような気分でもないし。
明日からは、なにか、本でも読もうか。

「なんか、
むつかしいことをかんがえよう、
これからのぼくは」

いや、そういうわけでもないけれど。

あいかわらず電車はのろのろと東京の地下を走り、
手持ち無沙汰な僕は、
歯の裏側で『エイトメロディーズ』を口ずさむ。
適当に気分よくくり返していると、それが
『MOTHER』の『エイトメロディーズ』なのか
『MOTHER2』の『エイトメロディーズ』なのか
わからなくなる。どちらも好きな曲だから、気にしない。

株価と熱愛が、なんちゃらかんちゃら。
マスカラとバッグが、なんちゃらかんちゃら。
ずいぶんゆっくりと電車は行く。
乗り換える駅は、つぎのつぎのつぎ。
僕は歯の裏側で『エイトメロディーズ』を口ずさむ。

明日で、この日記を終わりにします。

2003-09-07-SUN