第3回

「感心する。ほんとに。
やられるもんなあ。」

さて、グッズから離れて
『MOTHER』の話も聞かせてください。

ボーズ
はいはい。

もう、ランダムイメージでいいんですけど、
思い出すのはどういう場面ですか。

ボーズ
なんだろう。いっぱいあんだけどね。
『MOTHER2』の、キャラクターが、
すげえ小っこくなるのとかびっくりしたなあ。

ああ。地底大陸ですね。恐竜とかいるとこ。

ボーズ
そうそう! あれ、やられたよな!
あれ、ゲームの中でもトップ5に入るくらい、
「やられた!」って感じ。ショック。

あのアイデアは、
開発者の糸井重里も自慢げに話してましたよ。

ボーズ
でしょうね。あそこはやられたよなあ。
あれと、『ドラクエV』で
主人公が奴隷になっちゃうのとが、
ゲームにおける「やられた!」において
双璧かもしれない。ガーンっていう感じ。

(笑)

ボーズ
とくに『MOTHER2』は、
そういう「やられた!」が
いっぱい入ってるんだよね。
すごく痛快に裏をかかれるようなことが
すげーそそるんですよ。
『MOTHER』シリーズって、
やっぱりそれが詰まってるからね。
もう、やられっぱなし。

やられた三昧(笑)。

ボーズ
やられた三昧(笑)。
どせいさんとかも、ものすごい、やられますよね。
あの文字とかさあ。そういうものの多さがね、
やっぱり『MOTHER』だよなあって感じ。

1作目でいうと、フライングマンとか。

ボーズ
フライングマンねえ‥‥。
ほんと、すげえこと思いつくよな、糸井さん。

(笑)

ボーズ
感心する。ほんとに。やられるもんなあ。

でも、なんていうか、
子ども相手にわかりやすい話じゃないですよね。

ボーズ
うん。そうそうそう。
子どもがいちいち「やられた!」って
なるわけじゃないんだよな。
でも、なんか、こう、グサリと来るじゃん。

残ってるんですよね、そのグサリが。

ボーズ
変なこといっぱいやってるからね。
だいたいもう、キャラクターがいちいち変!

はい(笑)。

ボーズ
いまだとカードとかフィギュアとか
子どもが集めたくなるようにつくってあるけどさ、
(攻略本の敵の写真を指さしながら)
『MOTHER』に関してはさ、べつに、
このモンスター集めて戦わしたくないじゃん。

あははははははは。

ボーズ
それは差だね、かなり。
『ドラクエ』とか『ポケモン』とくらべて。
こいつら集めて仲間にするのとか、嫌だもんなあ。

1体1体の大きさとか、まるで把握できないし。

ボーズ
メチャクチャだもんねえ、ほんと。
こいつはどういう大きさなんだ?
でかいのか、どうなんだ、っていう。

住んでる世界も食ってるものも
何もかも違うような感じですよねえ。

ボーズ
一個の国のモンスターじゃないもんね。
だって、ツッパリのにいちゃんみたいな
そんなキャラもいるもんね。

いるいるいる。最初は犬とかカラスとか。

ボーズ
けど、全部でひっくるめてみると、
なんでこんなに統一感があるんだっていう。

そうそうそう。

ボーズ
それはたしかに不思議ですね。確かに。
こんだけムチャクチャな感じなのに。
そのへんのセンスが異常な感じしますよね。
やっぱ変なんですよね、やってる感じが何か。
よくわかんないけど。

その、「変」も独特ですよね。
たとえば、たんに変わってりゃいいっていうのなら、
当時、『ドラクエ』が売れたあとに
キワモノっぽいRPGって
けっこう出たじゃないですか。

ボーズ
うん、そうですね。

そういうのが「変」っていうだけで
残ってるかというと、
そうではなかったりして。

ボーズ
そうですよね。なんていうか、
年月で風化しない「変」さがあるんだよな。
確固たるポイントを抑えた「変」。
しかも総合力というか、
統一感みたいなのがすごく強くて、
こういう言い方すると
ちょっとずれるかもしれないけど、
アートとして成り立っているみたいな
感じがするんですよねえ。

ああ、なるほど。

続きます!

2003-05-21-WED