『MOTHER』シリーズのグラフィックは特別です。
ファミコンの、スーパーファミコンの、
ゲームボーイアドバンスのドット絵は、
独特のエッジと発色とデザインで、
それ以外にない美しさをうみだしています。
ひと目見て『MOTHER』とわかる
あのグラフィックをきちんと部屋に飾りたい。
目指したのは、ゲームスクリーンを切り取って、
そのまま部屋の壁に飾ること。
にじまず、くすまず、パキッとした鮮やかさで。
それを実現してくれた
凸版印刷プリンティングディレクターの高本晃宏さん、
トッパングラフィックコミュニケーションズ
プロダクトディレクション課長の簑田憲一郎さんに
お話をうかがいました。
切り取られた青春を
表現するということ。
- ──
- まずは、たくさんの印刷サンプルを
つくってくださってありがとうございました。
ひとつだけだと思っていたら……。 - 高本
- (笑)。
- 簑田
- 10種類くらい、出しましたかね(笑)。
▲高本晃宏さん
▲簑田憲一郎さん
- ──
- はい。
それらの中から当時ブラウン管越しに見ていた
ファミコンのゲーム画面にいちばん近い雰囲気だと
思ったものを選びました。
▲印刷サンプル。さまざまな素材を使って、異なる印刷機械で刷ったもの。
表面のツヤ感や、色の出かたもさまざま。
- 高本
-
僕、当時ファミコンを持っていなかったんですよ。
初めてゲーム機を買ったのが、
大学生のときのスーファミ(スーパーファミコン)で。 - ──
- 『MOTHER』はご存じでしたか?
- 高本
- パッケージの赤い色と、
当時のCMの印象がものすごく強烈で、
それらははっきりと覚えていました。
それで今回、
ファミコンの画面を絵にするということで、
おもしろいことができそうだと思っていたのですが、
キャラクターがいない絵というオーダーで。 - ──
- あ、風景だけの絵なのが意外でしたか?
- 高本
- はい。
でも後輩の『MOTHER』ファンに話を聞いたら、
「これを見るだけで、すごくワクワクするんだ」
と言うんです。
どうも町などの場所が、
彼らにとっては思い出の地になっていると。
それを聞いて、
「ああ、そういうものなんだ」と理解しました。 - ──
- 今回、お伝えしたコンセプトが
「複製画」というより「複製画面」だったのですが、
イメージはすぐに湧きましたか? - 簑田
- はい。通常の複製画を作る場合、
基本的には作家さんが描いた絵という、
確固たる指標があるじゃないですか。
でも今回のは、言ってしまえば
みなさんの記憶や心の中に原画がある。
そんな、みなさんの切り取られた青春を、
どんなニュアンスで表現するかがテーマでした。 - ──
- 切り取られた青春。
- 高本
- ですね(笑)。
現代の液晶画面と言うよりは、先ほど話に出た
ブラウン管のモニターを見たような
雰囲気を大事にすること。
それから、その風景の場所を実際に旅行したような
イメージを想起させるものを目指したつもりです。 - ──
- いただいたサンプルが、
どれも変わった紙やフィルム、
アクリルなどに刷ったものでしたが、
ふつうの白い紙に印刷する選択肢は
なかったのですか? - 高本
- 光沢のあるグロスや
ミラーコートといった紙を使っても、
ブラウン管の雰囲気には
およばないとわかっていました。
これまでにグラフィックトライアル
(クリエイターと凸版印刷がタッグを組んで、
新しい印刷表現を探る企画)で何度も試していたので。
たとえばツヤ感を出すとか、透明感を出すとか、
これまでに見たことのない鮮やかな色を出すとか。
そういったことには、
すでに幾度となく挑戦してきたんです。 - ──
- つまり実験済みだったと。
- 高本
- はい。昔は「100回刷り」と言って、
同じ色をひたすら刷り重ねていくと、
金属に塗装したような、
うるしを塗ったようなツヤ感も出せたんですが‥‥。 - ──
- 車の塗装みたいな。
- 高本
- まさにそうです。
でも車は3回か4回の重ね塗りで、
ああいうツヤが出せてしまうじゃないですか。
紙への印刷だと100回。
少なくても数十回はやらないといけない。 - 簑田
- でもそこまでやると、商品にならないんです。
- 高本
- コストも高くなりすぎますが、
機械がもう存在していないんです。
昔は、1分間に2往復か3往復しかできない
平台校正機があったんですが‥‥。
いまの機械って、1分間に200回転ぐらい? - 簑田
- そうですね。あまりにも速く刷るので、
表面が平滑にならないんですね。
なので、技術的にはできなくはないけど、
膨大なコストと時間がかかってしまう。
ですので、
今回ふつうの紙を使うのは最初からやめました。
(つづきます)
レプリカ・スクリーン・シリーズ『MOTHER』
サンクスギビング
レプリカ・スクリーン・シリーズ『MOTHER』マジカント
レプリカ・スクリーン・シリーズ『MOTHER』
ホーリーローリーマウンテン
Lサイズ:37,400円(税込・配送手数料別)
Sサイズ:16,500円(税込・配送手数料別)
[素材]
PET、木、アクリル、アルミ、ステンレス、コットン
[サイズと重さ]
Lサイズ
・赤/黒
サイズ:縦660×横660×奥行20mm、重さ:2,700g
・ナチュラル
サイズ:縦635×横635×奥行35mm、重さ:2,400g
Sサイズ
・赤/黒
サイズ:縦360×横360×奥行20mm、重さ:910g
・ナチュラル
サイズ:縦335×横335×奥行35mm、重さ:720g
※赤、黒の額と、ナチュラルの額では仕様が異なるため、
サイズ、重さも若干異なります。
サンプル展示のご案内。
受注期間中、TOBICHI東京、TOBICHI京都、
渋谷PARCOカルチャん、
10月21日(木)から開催する
梅田ロフトのイベント「『MOTHER』のひろば」にて
サンプルを展示します。
実物を見てから購入したいというかたは、
どうぞ足をお運びください。
※スペースの都合で、
すべての種類を展示していないときもあります。
※お申し込みはWEBページの「MOTHERのおみせ」にて承ります。