北欧雑貨バイヤーのおさだゆかりさんが、
毎日ひとつ、北欧の旅のコラムをおとどけします。
おさださんが2004年からずっとつけてきた
買い付けの旅の膨大なメモから、365日を構成。
遠くに旅に行くことがかなわないいま、
「いつか行こう!」な気持ちで、
おさださんの長い旅におつきあいください。
このコンテンツは、伊藤まさこさんの
「weeksdays」からうまれたもの。
おさださんから紹介されたことが、
伊藤さんの北欧への興味の入り口となったそうです。
さいしょは、3回にわけて、
オンラインで行われたふたりの対談を。
そのあと、DAY 001からDAY 365まで、
おさださんのコラムがつづきます。
さらに! 2022年の秋、スペシャルで、
2週間だけ復活したあたらしい旅日記も、
あわせて、ごらんください。
おさだゆかり
山梨県生まれ。
北欧雑貨店「SPOONFUL」店主。
2005年3月21日にオンラインショップとして
「SPOONFUL」を立ち上げ、
現在はオンラインと予約制の実店舗を運営しつつ、
全国各地でイベント販売を行う。
店名の「SPOONFUL」は、
毎日の暮らしにスプーン一杯の幸せなひとときを、
という願いから名付けた。
2019年まで、毎年6月に
「北欧雑貨をめぐる旅」と題した
北欧ツアーを開催し、現地を案内してきた。
著書に『北欧雑貨をめぐる旅』(産業編集センター)、
『北欧スウェーデンの旅手帖―雑貨がつなぐ街めぐり』
『北欧雑貨手帖』
(アノニマ・スタジオ)、
『わたしの住まいのつくりかた
北欧風リノベーションとインテリア』(主婦と生活社)、
『わたしの北欧案内 ストックホルムとヘルシンキ』
(筑摩書房)、
『北欧 ヴィンテージ雑貨を探す旅』
(産業編集センター)などがある。
「ほぼ日」では「weeksdays」の「わたしのひきだし。」
「暦帖、わたしはきっと、こんなふうに。」に登場。
[対談その2]おさだゆかり×伊藤まさこ
縁がひろがる。
- おさだ
- 北欧に初めて滞在して思ったのは、
現地の人たちがとにかく優しいということでした。
ロンドンやパリのような大都会では、
そこまで親切にされたことがないほどでした。
スウェーデンの人たちは、どこに行っても、
この、いちツーリストに優しく接してくれました。
その人の温かさにも、すごくジーンときて。
でも2泊3日で見本市に行かなきゃいけないから、
自由な時間って、1日30分ほど。
その少ない時間を使って、スーパーに行ってみたり、
お店が閉まってる時間にウィンドウを見て、
「あのカゴ、かわいい!」なんて、
ひとりでキャーキャーしてたんです。
「これはもう来年、夏休みを取って自分で来よう!」
と決め、翌年、2000年の9月に
プライベートで行きました。
それが初めての、ちゃんとした北欧の旅でした。
- 伊藤
- 9月というと、日本とちがって、
もう夏は終わっていますよね。
- おさだ
- 秋、いえ、むしろ冬の始まりですね。
結構寒くなってきているんですよ。
そのときはフィンランドのヘルシンキと
スウェーデンのストックホルムの2都市。
調べて行ったフリーマーケットに、
もう本当に一気にグワーっと一目ぼれして、
「ここ、大好き!」と。
- 伊藤
- へえ!
- おさだ
- そこからは夏休みを使って、
毎年のように遊びに行きました。
- 伊藤
- でも、遊びに行くのと、
仕事で買い付けに行くのとは違いますよね。
会社を辞めてひとりだちするとき、
北欧を仕事にしようという決断をしたわけですが、
迷いはなかった?
- おさだ
- 独立を決めたのは、
Afternoon teaの品揃えが、
だんだん変化してきたのを感じたことが
ひとつのきっかけでした。
そのギャップに悩んで、独立しようと思い始めました。
そのとき、自分で何か始めるなら、
絶対、北欧ということだけは決めていました。
なぜかというと、北欧のものを扱えば、
北欧にコンスタントに通うことができるから。
そっちが目的だったのかもしれませんね。
- 伊藤
- え!(笑)
- おさだ
- 店をやったら、毎年、年に何回か通える?!
みたいな感じでイメージをして、
「え、それって最高じゃない? 私にとって」と。
それで決断したんです。
- 伊藤
- 不安はなかった?
- おさだ
- それは、すごくありましたよ。
私の選ぶものってそんなにキャッチーでもないし、
そもそも北欧のものって、私はすごく好きだけれども、
多くの人に通用するのかなって。
まあでもとにかく始めてみようと。
私が本格的に買い付けをした2004年、
そして店を始めた2005年当時、
そんなに北欧の店って多くなかったんです。
今は、もうすっごくたくさんあるけれども。
- 伊藤
- そう、なかったですよね。
それで北欧に通うように。
- おさだ
- 最初の年は1回、
2年目に2回行けて、
3年目からはコンスタントに年に3回に。
そんなふうに通い詰めるようになって、
段々現地のネットワークが少しずつ、
本当に少しずつなんだけれども、広がっていきました。
- 伊藤
- 今、コロナ禍で買い付けに行けないなか、
でもその繋がりをいかして、
オンラインで買い付けをなさっているとか。
- おさだ
- はい、本当にありがたいです。
その繋がりがなければ、このコロナ渦で
続けていけなかったかもしれない。
うん、本当によかった。ありがたいことですね。
- 伊藤
- ストックホルムに拠点があるんですよね。
- おさだ
- ストックホルムを訪れたときだけ、
自由に使えるアパートを貸していただいているんです。
その方と出会ったのは、お店を立ち上げる1年前、
2004年に、半年間、北欧で買い付けをしながら、
ずっと旅をしていたときにさかのぼります。
旅の途中で、スウェーデンのダーラナ地方の
手工芸学校に、2週間滞在しました。
1週間はカゴを編んで、
もう1週間は木のスプーンとかボウルを作る、
そんな学校でした。
そのカゴのコースでクラスメイトだったおばさまがいて、
帰って来てからもやりとりを続けていたんですね。
でも、会う機会はずっとなかった。
それが、私の店、SPOONFUL(スプーンフル)が
10周年を迎えた年、今から6年前の2015年に、
たまたまストックホルムのフリーマーケットに行って、
その方らしき人を見つけたんです。
もうすごく時が経っていたので、
100パーセントの確信は持てなかったんですけど、
思い切って、10年振りに、声を掛けてみたんですよ。
そしたら覚えていてくださって、
「来てるのね! どう? 仕事は」みたいな感じで、
ちょっと立ち話をして。
「今日も買い付けに来てるんですよ」と伝えたら、
すぐ近くにアパートがあるから、ちょっとお茶でもと。
コーヒーを飲んで甘いものを食べる時間を
「フィーカ(fika)」っていうんですけど、
「フィーカをしましょう」って、
アパートに連れて行ってもらいました。
そこはすごくコンパクトなアパートで、
「私が大学時代に買ったもので、
今は誰も住んでいないのよ」と。
その方は、スウェーデンの本当に南のほう、
日本でいったら東京と鹿児島みたいな
距離感のところに住んでいるので、
普段は使ってないんですけど、
仕事でストックホルムに来るときに、
夫婦で月に1、2回使うぐらいだと。
すると「あなた、今度、買い付けに来るとき、
ここを使っていいわよ」っておっしゃるんです。
すごく便利な場所だし、すごくありがたくて、
「じゃあ、滞在費をお支払いします」と提案したんですが、
「いいわよ、そんなの。
あなたは古くからの友達なんだから」って。
その次の滞在から、本当に貸してもらっています。
何がありがたいかって、ホテルに泊まっていると、
買い付けたものが少しずつ、
日に日にホテルの部屋に溜まっていく。
- 伊藤
- うんうん。すごい量が。
- おさだ
- でも、ホテルは清掃が入るから、
そんなに散らかすわけにはいかない。
「もう今日は掃除はいい!」と
スキップすることもあるんですけど、
基本的に、毎日片づけないといけない、
それがホテル滞在で買い付けの旅をする大変さなんです。
だけどアパートはもう、最後の最後に梱包するまで、
出しっぱなしでいられる。それがもう、
ほんとうにすっごくありがたくて。
- 伊藤
- その関係が今でも続いてるんですね。
- おさだ
- そうです、そうです。
彼女たち夫婦も、日本が好きで、
コロナ前は年に1回は来ていて、
そのときは必ず私の家に来てもらっています。
彼らは日本の情報をいろいろ知りたいし、
私はスウェーデン情報を知りたいから、
ご飯を食べながら情報交換をするんです。
(つづきます)
2021-05-30-SUN
-
SCANDINAVIAN 365 CALENDAR 2023
発売記念として、TOBICHI東京に
おさだゆかりさんのお店 「SPOONFUL」がやってきます。
「北欧365旅日記」と「weeksdays」、
ふたつのカレンダーとともに、
おさださんがこの秋に渡欧し、
フィンランド・スウェーデン・デンマークで
買い付けてきたヴィンテージと現行品がならびます。
たとえば‥‥○ブルーで色付けされたクリスマスプレート
○ガラスのキャンドルホルダー
○手工芸品
○白樺樹皮のバスケット(現行品)
○フィンランドの「アラビア」やスウェーデンの「グスタフスベリ」など日常づかいの食器たち
○スウェーデンのお茶の時間を「フィーカ」をたのしむためのいろんなアイテム
○テディベアそして会場では、カレンダー掲載の
「かわいいものたち」の展示もあります。
また、2つのカレンダーをセットでご購入のかたには、
おさださんが現地であつめた
ショッパー(紙袋)を1つ、さしあげます。
(なくなり次第終了です。)
さらに、会期中は、
東京・東日本橋の人気のパン屋さん
「BEAVER BREAD」(ビーバーブレッド)の
割田健一さんのスペシャリテである
特製のシナモンロールが、
数量限定でTOBICHIに入荷します。
販売予定日は以下の通りです。11月18日(金)
11月20日(日)
11月23日(水)
11月25日(金)
11月27日(日)こちらは各日オープンの11時と同時に販売開始、
売り切れ次第終了となります。
みなさま、どうぞいらしてくださいね!会期|2022年11月18日(金)〜11月27日(日)
開場|11:00〜19:00 会期中無休
会場|TOBICHI東京