乳幼児睡眠コンサルタントと
大人の睡眠コンサルタントの国際資格をもつ、
ニューヨーク在住の愛波あやさんのお話は、
すべて科学的根拠に基づいた内容のはずなのに
「完ペキじゃなくていい!」と言ってくれます。
生きていたら、眠れない日も、
疲れてしまう日もあるけれど、
愛波さんのヒントを知っておくことで、
質の高い睡眠へと、
子どもたちや自分自身を誘えるのだとしたら、
とてもしあわせなことだと思ったんです。
今回は、たくさんの質問に時間のゆるす限り、
ぜ~んぶ答えていただきました。
担当は「ほぼ日」下尾(しもー)です。
愛波あや(あいばあや)
慶応義塾大学文学部教育学専攻卒業。
外資系企業勤務後、
拠点をアメリカ・ニューヨークに移し、
2014年に米国IPHI公認資格(国際認定資格)を日本人で初めて取得。
現在、IPHI日本代表、
Sleeping Smart Japan株式会社代表取締役。
子どもの睡眠の悩みに関して、
オンラインや講演などの活動を通じて
累計約10万人に科学的な寝かしつけメソッドを伝授。
寝かしつけの悩みを解決する
おくるみスリーパーや遮光シートも開発。
二児の母。
著書に『ママと赤ちゃんのぐっすり本』(講談社)、
『マンガで読む ぐっすり眠る赤ちゃんの寝かせ方』(主婦の友社)がある。
- ーー
- まずはですね、愛波さんに、
いろいろと睡眠のお話をお聞きしていく前に、
愛波さんは今どんな生活をしているのかを聞きたいです。
いまお子さんは、おふたりで何歳と何歳ですか?
- 愛波
- 12歳と9歳になりました。中1と小3の男の子です。
- ーー
- ニューヨーク在住ですか?
- 愛波
- そうです。子どもたちも、現地の学校に通っています。
それにプラスして、子どもたちは、
日本語を勉強するための塾と、土曜日には補習校、
それに加えてサッカーにアイスホッケーなどの
スポーツもしております。
- ーー
- とっても忙しいですね。
- 愛波
- そうなんです。だから、
だいたい15時~21時くらいまでは、
子育ての時間と決めています。
特に送り迎えをUberドライバーかのように
あっちにいったり、こっちにいったりしています。
- ーー
- めちゃくちゃ大変ですね。
車で、どのくらいの距離を移動されるんですか?
- 愛波
- 息子が、とても真剣にアイスホッケーをやっていて、
遠征に連れて行くんですね。
ニューヨークからボストンとか。
- ーー
- えー!?
- 愛波
- ボストンは、まだ近い方で。
3時間くらいなら、すぐだなという感覚です。
500キロくらい移動することもあるんですね。
- ーー
- そんなに!?
- 愛波
- アメリカでは普通かなと思ってたんですが
「いやそれ普通じゃないよ! がんばってるね」
と言われるために、
日本の友達に、この話をしています(笑)。
- ーー
- (笑)。
- 愛波
- でも、そんな時間も、とっても大好きなんです。
長男とふたりきり、次男とふたりきりで
何時間も一緒にすごせるので大切な時間です。
男の子だし、なかなか日々話をしてくれないんですが、
車で移動する時間は、よく話をしてくれるので
母親としては、うれしい時間ですね。
- ーー
- それはいい時間ですね。
- ひとりめのお子さんが寝なかったことがきっかけで、
睡眠の資格をとろうとされたんですよね?
- 愛波
- そうなんです。長男がうまれてすぐ12年前ですね、
全く寝てくれなかったんです。
赤ちゃんは置いたら寝ると思っていたのに
全然寝てくれなかったことで、
10ヶ月くらい、自分の子どもなのに、
かわいいと思うことができなくなってしまったんです。 - お子さんがいらっしゃる方で、
この気持ちがわかるという方も、よくお聞きしますが、
本当に紙一重だなと思うんです。
こういう気持ちになってしまった
ママやパパを救いたいという気持ちで
この仕事をしています。 - このままじゃイヤだなと、
そこから睡眠の勉強をはじめ、
アメリカには科学的根拠に基づいた小児科医が書いた
赤ちゃんの睡眠の本がいっぱいあるので読みあさりました。
たくさんの論文にも興味をもって目を通し、
息子が10ヶ月のときに、ねんねトレーニングをして、
ひとりで寝かせる「セルフねんね」に挑戦したところ、
たったの4日で、ひとりで寝るようになったんですよ! - そこで初めて、自分の心に余裕ができて、
自分の子どもがかわいいと思えるようになりました。
それで、資格をとって、日本人に
もっとこういう生き方があるよと伝えたくて
今このように活動しています。
- ーー
- 眠れないと、心に余裕がなくなってしまいますもんね。
- 愛波
- でも、息子は最近、ボクが寝ない子だったから、
今のママの仕事があるんでしょって、
すっごくえらそうに言われます(笑)。
- ーー
- (笑)。乳幼児だけでなく、
大人の睡眠の資格も取得されていますよね?
- 愛波
- はい、そうなんです。
最初は乳幼児の睡眠の資格をとったんですが、
その後、小学生から大人の睡眠の資格も
去年の夏に取りました。
それも1年くらいで出来る勉強を2年半かけて取りました。
コロナや、子育てもあったんですが、
コツコツやっていれば、いつかは取れると思って
勉強をつづけました。なので、他のママやパパにも
諦めてほしくないんですよね。
好きなことがあったら、ちょっとでもいいから、
やりつづけてほしいと、いつも思っています。
- ーー
- 愛波さん自身が、
あまり眠れていないのではないかと心配になりますが、
睡眠は確保できていますか?
- 愛波
- そうですね。本を執筆中は、ちょっと気づいたら
夜遅くまで起きていることがありましたね。
子育てしながら、仕事、家事もあると
やっぱり睡眠を削ってしまうんですよ。
たまには、いいんじゃないかと思っていて、
科学的根拠に基づく育児を100%していたら、
潰れてしまいます。無理です! それは。
なので、もちろん科学的根拠に基づいたことは、
すごく大切にしているのですが現実も見ないといけなくて、
睡眠不足になる時期だってあってもいいと思います。
- ーー
- 愛波さんのお話は、
すべて科学的根拠に基づいた内容なんですが
「完ペキじゃなくていい!」
とおっしゃっていますよね?
そこがとても好きです。
- 愛波
- 完ペキな育児なんて、存在しないので、
勇気を出して少しずつ、実践してもらえたらなと思います。
(つづきます)
2024-09-10-TUE