こんにちは。ほぼ日の永田泰大です。
オリンピックのたびに、
たくさんの投稿を編集して更新する
「観たぞ、オリンピック」という
コンテンツをつくっていました。
東京オリンピックでそれもひと区切りして、
この北京オリンピックはものすごく久しぶりに
ひとりでのんびり観戦しようと思っていたのですが、
なにもしないのも、なんだかちょっと落ち着かない。
そこで、このオリンピックの期間中、
自由に更新できる場所をつくっておくことにしました。
いつ、なにを、どのくらい書くか、決めてません。
一日に何度も更新するかもしれません。
意外にあんまり書かないかもしれません。
観ながら「 #mitazo 」のハッシュタグで、
あれこれTweetはすると思います。
とりあえず、やっぱりたのしみです、オリンピック。

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03 男子モーグルとジャンプ女子ノーマルヒル

オリンピックの初日にメダルをとると

 
オリンピックに出場するようなアスリートたちは、
毎日、物理的に科学的に
これ以上ないほど努力を続けてるわけだし、
へんなジンクスとか、精神論とか、
半端に口にしたら失礼だよなとは思うけど、
でも、ぼくは思ってるんですよ。
大会初日にぽーんとメダルをとると、
日本選手団は全体に活気づく、って。
だから、男子モーグルで
堀島行真選手が銅メダルを獲得して、
とてもよかったと勝手に思っている。
よその競技の選手がメダルをいくつとろうととるまいと、
実力に応じて結果は出るものかもしれない。
けれど、体操の難度の高い技や、
フィギュアのジャンプなんかも、
「誰かが成功すると世界中でできるようになる」
という話もあるみたいだし。
いろんな話を聞くとアスリートにとって
勝つイメージや達成するイメージって
練習と同じくらい大事なものみたいだから、
やっぱり「ほんとに勝てるんだ」って思えるのは、
すくなくとも妙なプレッシャーや緊張を克服して
のびのびと実力を発揮することの
役に立つんじゃないかと思う。
逆にいうと、まだ誰も跳んだことのない
4回転アクセルを成功させようとしている
羽生結弦選手がどれだけすごいことを
しているか、ということでもある。
違う、そういう話じゃなくて、
北京2022オリンピックの初日に
堀島選手がメダルをとってよかったという話です。
同じ文脈で、ぼくは谷選手と野村選手に
いつもありがとうと思っていた。
柔道のいちばん軽いクラスに出場し、
1992年のバルセロナから2008年の北京まで、
ふたつの金メダルを含む5つのメダルを
日本にもたらした谷(田村)亮子選手。
調べたところ、バルセロナとアトランタでの
メダルは初日じゃなかったけど、
シドニー、アテネ、北京と、
ぼくがはっきりどっぷり観戦しはじめた
3大会では初日にメダルをもたらしている。
そしてその3大会、
「田村、金!」「谷でも、金!」と
日本中が沸き返るまさにその瞬間に、
人知れず(それは言い過ぎ)
金メダルをとっていたのが野村忠宏選手だ。
なんせ、決勝の時間って
男女ほとんど一緒なんだよね、柔道って。
女子が終わってから男子なんだけど、
やっぱりヤワラちゃんのメダルに
わあわあ言ってるからさ、俺ら。
つまりその3大会は、
谷選手と野村選手のふたりが
初日に金メダル5個と銅メダル1個を
日本にもたらしたことになる。
それで、決まってアナウンサーが言うわけだ。
日本チームにはずみをつけました、と。
そんなはずみは科学的には
あるはずはないのだろうけれど、
ある気がするよね、やっぱり。
それで、どうなるんだろうと思っていた初日。
メダル候補のひとりである堀島行真選手が
最後から3番めに滑って
暫定1位となりメダルが確定した瞬間、
ぼくはまるで日本選手団を率いる代表監督のように
テレビの前でホッとしたわけである。
そしてそういうジンクスみたいなものとは別に、
ジャンプ女子ノーマルヒルの
高梨沙羅選手の4位は切なかった。
冬の競技の4位はどうしても
上村愛子選手の二度の4位を思い起こさせる。
思えばあれも「初日」だ。
高梨沙羅選手の競技後のインタビューは
いつも消え入りそうに思える。
銅メダルをとってほっとした
2018年の平昌オリンピックのインタビューでさえ、
このあと雪のなかに紛れて
見えなくなっちゃうんじゃないかと思えるくらい、
あやうげだった。
3度目のオリンピックを終えた
高梨沙羅選手はいま25歳。
いつか高梨選手が、
金メダルをとらなくてもいいから、
晴れ晴れとしたコメントをする日がくればいいなと思う。
なにしろ、ジャンプ競技は
平均的に選手寿命が長いスポーツだ。
昨日も観ていたらシモン・アマン選手が出てきたから
まだ飛んでるのか、とびっくりした。
だって、長野オリンピックから
7大会連続出場ですってよ、シモン・アマン選手。
そんな人、いるんだなあ、と思ったら、
日本にいたよ、葛西紀明選手。
アルベールビルから平昌まで8大会連続出場だって!
アルベールビル、て。
そんな葛西選手も北京2022大会への出場は叶わず、
ついに連続出場が途絶えてしまい、
今後はどうするんだろうと思って調べてみたら、
「辞める気は全くない。いけるところまでいく。
還暦まではできるんじゃないか」
とコメントしているのを見つけて、
やっぱすげえなレジェンド、とぼくは思った。

(つづきます)

2022-02-06-SUN

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