「B-Flow」(旧「B-life」)という、
人気のYoutubeチャンネルがあります。
ちょっとした時間でできるヨガのレッスンを中心に、
無料のフィットネス動画を
配信しているチャンネルです。

「ヨガ」ときくと、すこし敷居が高く感じる方も
いらっしゃるかもしれません。
でも、このチャンネルが教えてくれるのは、
はじめての人にもやさしい、
ほんとうに気軽にできるヨガなんです。
「わたしもやってみよう」
自然にスッと、そう思わせてくれる、
かろやかな動画の魅力の正体はなんだろう?

インストラクターとして動画に出演するマリコさんと、
チャンネルを運営する夫のトモヤさんに、
お話をうかがいました。

聞き手は、気がつけば7年、
このチャンネルといっしょにヨガを続けている
ほぼ日の、わかなです。

>Mariko(マリコ)

Mariko(マリコ)

【インストラクター】

二児の母。

NBAバレエ団を退団後、バレエ講師を務めながら、ヨガ・フィットネス・ピラティス・バレトンなど様々な資格を取得し、インストラクターとして活動する。

2016年、夫とYouTube「B-life」チャンネルを開設。

2023年チャンネル登録者数200万人を突破。

2024年「B-Flow」チャンネルに改名。

これまでの経験を活かした完全オリジナルのプログラムを提供し、多くの視聴者から支持を得る。

>Tomoya(トモヤ)

Tomoya(トモヤ)

【クリエイティブディレクター】

ITベンチャー企業の早期倒産を経験した後、再起を求めてカナダへ渡り、海外留学でビジネス英語と米国公認会計士の資格を取得。その後、エルメスやディズニーなどの世界的企業で経営を学ぶ。

2016年に独立し、妻のMarikoと共にヨガとウェルネスに特化したYouTubeチャンネル「B-life」を開設。わずか8年でチャンネルは220万人を超える登録者数を誇り、日本のヨガカテゴリでトップに。

動画制作から経営、ブランディング、マーケティングまで、幅広い分野で才能を発揮。現在は「B-life」から「B-Flow」へとブランド名を更新し、新たな名前でさらに創造性を追求しています。

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第3回 映像の料理人

──
動画の見やすさも、
すごいなぁといつも思うんです。
映像づくりはぜんぶ、
トモヤさんのご担当なのでしょうか。
トモヤ
そうですね。
基本的にわたしがつくっています。

──
ホテルのなかで撮られたり、
波音がきこえる海辺で撮っていたり
映像美がすばらしいです。
トモヤ
ありがとうございます。
場所は毎回さがして撮影しています。
──
ヨガをする人が
映像を気にしすぎないようにも、
意識されたりしているんでしょうか。
トモヤ
そうですね、映像だけが印象に残るのではなく、
その場所とエクササイズが合うように、
ということを考えています。
音楽とか演出とか、
インテリアの角度まで、ひとつひとつ。
──
いろいろなことが絶妙に合わさっていると。
トモヤ
そうかもしれないですね。
動画制作はよく料理に例えられるのですが、
その意味では
マリコさんはメインディッシュなんです。
彼女がヨガをして、
まわりの景色や音など、
サイドディッシュのあじつけは
こっちでやります、と。
──
料理人の感覚に近いんですね。
トモヤ
たまにサイドのほうが
めだっちゃうこともありますけど、
そこはまぁ、そういうこともあるかなと(笑)。
──
そうですか‥‥。
わたしには毎回すてきな料理に見えてます。
トモヤ
ありがとうございます(笑)。
ただそうですね、
やっぱり中途半端な料理になるのが
いちばんよくないので、
ほんとうに納得できないものは
公開しないこともあるんです。
──
ボツにしている動画も‥‥?
トモヤ
むかしは自分の撮影スキルがまだまだだったので、
撮影したけどアップしなくて、
それで彼女とけんかになったり。
マリコ
太陽の光に当たりながら
長い時間がんばったのに、
「ぜんぶボツって、なに?!」とか(笑)。
トモヤ
うん(笑)。
今はほとんどないですけど。
──
はあ~。
撮影、編集はほんとうにだいじなんですね。
トモヤ
そうなんです。
とくに世界と戦うなら、
映像のクオリティは非常にだいじです。
──
チャンネルをはじめるまえから、
映像の編集はされていたんですか? 
トモヤ
いや、わたしはチャンネルをはじめたときに
ゼロから映像を勉強しました。
──
ゼロから。
‥‥それまではどんなお仕事を? 
トモヤ
もともとは、自衛隊に入って
パイロットを目指していたんです。
──
え、パイロットですか。 
トモヤ
でも花粉症でその道を断たれてしまいました。
──
なんと‥‥。
トモヤ
それでパイロットはあきらめて
アメリカの会計士の資格をとって、
10年くらいアナリストの仕事をしていました。
ずっと数字を見ていたことは、
いまのチャンネルにも生きているんですよ。
やっぱりYoutubeの世界でも、
視聴者のみなさんがなにが好きかを
把握している方が、
トップにいらっしゃると思います。
──
はぁ~、おどろきの転身ですね。
トモヤ
まったく予想していなかった人生です。
──
ヨガとの接点はどこであったんでしょうか。
トモヤ
ビジネスの勉強のために
カナダに留学していたとき、
「パワーヨガ」っていう、
超ストイックなヨガを体験したんですよ。
──
パワーヨガ?
トモヤ
あのですね、
「ダウンドッグ」という
ポーズがあるんですが‥‥。
──
あ、知ってます、「ダウンドッグ」。
足と手をのばして、
三角形をつくるポーズですね。

<ダウンドッグのポーズ> ダウンドッグのポーズ

トモヤ
そうそう。
パワーヨガというのは、
ヨガの中でもかなり難易度が高くて、
この「ダウンドッグ」が休憩の基本姿勢なんです。
これ、すごくきついんですよ。
「ダウンドッグ」じゃないときには、
腕立て伏せみたいな動きをくり返しやります。
──
もう筋トレですね。
トモヤ
ほんとに。大変です。
ひととおりそれをやって、
最後にあおむけになって深呼吸するときに、
先生がわたしの首をもって、
フワーっと後ろに引いたんです。

──
首を‥‥!
トモヤ
それが、とても気持ちよかったんですよ。
「首が通ったぁ」みたいな感覚で。
そこまでの「パワーヨガ」のつらさを
すっかり忘れてしまうくらいの。
すごく鮮烈な体験だったんです。
──
へええ~。
トモヤ
そういう経験があったので、
ヨガにはもともと興味がありました。
それで、日本でヨガや
フィットネススタジオに通っていたら、
マリコさんがそこでおしえていた、
ということです。

たった5分の動画なのですが、
広い空が目にやさしく、
また、ひとつひとつがゆっくりとした動作で
呼吸が深まり、全身がほぐれていきます。

(つづきます)

2024-07-26-FRI

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