ボールペンで絵を描く中村隆さん。
ひたすら点をうち、ひたすら線をひき、
カラフルで心地よい世界を
フリーハンドで描きだします。
どうやったらこんな絵が描けるのか、
ちょっと気になりませんか?
そこで、日々の作品づくりのようすを、
3ヶ月ほど連載してもらうことにしました。
中村さん、よろしくお願いします。

>中村隆さんプロフィール

中村隆(なかむら・たかし)

画家、イラストレーター。

1976年、新潟県生まれ。
98年日本デザイン専門学校卒業。
以後、フリーのイラストレーターとして活動しながら、
定期的に個展をひらいて作品を発表している。
作品は「Ondo online store」などで販売中。

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#21

絵を直してみる

 
前回の流れから、
壁に貼って確認するブーム(?)が来たので、
いままでの絵も確認して、
直したりしてみたいと思います。
1枚目 
猫の絵をまず見てみて、
やっぱり猫が弱い気がしたので、
もともとある茶色の線に
黄色っぽい線を細くくっつけてひきました。
離れて見ると公園の遊具が
はっきり見えないような気がしたので、
すこし強めの色で輪郭線を描き直します。
遠くで見ても、近くで見ても、
どちらかだけでなく、
どちらもいい感じに見えるといいなぁ
と思いながら描いています。
ただ、猫、強くなりすぎたかも‥‥。
2枚目 
部屋の絵を直します。
茶色で描いた鏡台あたりが、
ペタッとしていてはっきりしないので、
ちょっと手を加えていきます。
なんとなく絵全体が横に
ドヨーンと広がっている気がするので、
縦に伸びるような
影っぽいものを描き足しました。
ゴミ箱の輪郭をすこし強調したり、
壁も緊張感なくダラっとしている気がしたので、
影っぽいものを線の交差で描きました。
3枚目 
上の雲が枝と重なって、
見ていてモヤモヤするので
ちょっと空を描き足しました。
木の枝をすこし描いたりしましたが、
この絵に関しては、
いまはあまり手を加えられませんでした。
またいつか整えるかもしれません。
直して良くなったのかわかりませんが、
こんなことを時期を空けて繰り返し、
だんだんと絵ができていきます。
正直、直して悪くなる絵もあるので、
直すのがいいことなのかはよくわかりません。
絵を直していくのは、
没頭しやすい工程というか、
やりはじめるといくらでもできるというか、
やめたくてもやめられなくなるというか、
絵の中に自分が住んでるような気分になります。
なので、締め切り的なものや期限や、
このくらいだろう的な、
すこしだけ投げやりっぽい判断や、
あきらめに似たようなものも
あっていいのかなと思っています。

(次回の更新につづきます)

2022-08-16-TUE

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