ボールペンで絵を描く中村隆さん。
ひたすら点をうち、ひたすら線をひき、
カラフルで心地よい世界を
フリーハンドで描きだします。
どうやったらこんな絵が描けるのか、
ちょっと気になりませんか?
そこで、日々の作品づくりのようすを、
3ヶ月ほど連載してもらうことにしました。
中村さん、よろしくお願いします。

>中村隆さんプロフィール

中村隆(なかむら・たかし)

画家、イラストレーター。

1976年、新潟県生まれ。
98年日本デザイン専門学校卒業。
以後、フリーのイラストレーターとして活動しながら、
定期的に個展をひらいて作品を発表している。
作品は「Ondo online store」などで販売中。

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#28

まとまらないまとめ

 
3ヶ月の連載で何枚描いたのかなと、
アーカイブを見てみたところ7枚でした。
意外と描けなかったなぁと思いました。
来年1月の個展までに、あと何枚描けるか心配です。
「ある画家の記録」というシリーズなので、
画家というふうになっていますが、
自分は画家という感じでもないし、
イラストの仕事をするときは
イラストレーターっぽくしてますが、
そこまでプロフェッショナルな感じでもないし、
(仕事は学校の宿題を
やってるような気持ちになることが多いです)
個展ではオリジナルを描いていて、
それが一番楽しいのですが‥‥とりあえず微妙です。
自分では、ただ絵を描いてる人、
くらいの感じでやっています。
絵を描いていると、
同じように絵を描いている人と
知り合うことが多くなります。
人付き合いが苦手なので、
仲良くなることは稀ですが、
絵を描く人に会うと、たとえは良くないですが、
「この人も自分と同じ
絵を描くという病気にかかってしまった人」
みたいな親近感を持ってしまいます。
勝手にすみません、そう思ったりしています。
今回の連載を、
そういう人たちにも見てもらえたら、
恥ずかしい気もしますが、うれしいです。
もちろん、というか、
絵を描かない人にも見てもらいたくて、
大部分はその人たちに向けて
描いてきたように思います。
むしろ、絵に興味のまったくない人、
たとえばうちの両親などが見て、
なんとなくいいなぁと思うようなものを
目指している気もします。
なので、芸術とかアートとか、
そんなおおげさなものではない
「ただの絵だな」と自分ではよく思います。
うちの4歳になるこどもが毎日描く絵の
延長線上にあるくらいのものというか、
子供の絵っていいな、
こんなふうに描きたいなとよく思っています。
連載を読んでくださった方は、
たぶん気づいていると思いますが、
絵を描くにあたっては、
とても理論的でないというか、
適当というか、場当たりなところが、
私の描き方にはたくさんあります。
なんとなく、気がする、思う‥‥。
こういう文章も含め、
そんなふうに日々絵を描いています。
描いている作業をカメラで撮り、
それをあとで文章にするというのは、
難しくもあり、とても良い経験でした。
‥‥と、今回の連載のまとめを
最後に書こうと思っていたのですが、
まだまだ道半ばという感じなので、
これで終わりという実感があまりありません。
でも、ずっとあとになって、
あのときのあの連載はいい経験になったなぁ、
となるような予感はすごくしています。
3ヶ月間、本当にありがとうございました。
この連載を読んでくれた方が、
すこしでも絵に興味をもったり、
絵を描いてみようと思ってくれたら、
とてもうれしいです。
2022年9月22日 
中村隆

2022-09-22-THU

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