ボールペンで絵を描く中村隆さん。
ひたすら点をうち、ひたすら線をひき、
カラフルで心地よい世界を
フリーハンドで描きだします。
どうやったらこんな絵が描けるのか、
ちょっと気になりませんか?
そこで、日々の作品づくりのようすを、
3ヶ月ほど連載してもらうことにしました。
中村さん、よろしくお願いします。
中村隆(なかむら・たかし)
画家、イラストレーター。
1976年、新潟県生まれ。
98年日本デザイン専門学校卒業。
以後、フリーのイラストレーターとして活動しながら、
定期的に個展をひらいて作品を発表している。
作品は「Ondo online store」などで販売中。
#27
フィンランドと日本
- 以前、この連載でも書いた
フィンランドのヘルシンキが
主催する観光イベント
「ヘルシンキ・キュリアス」の公開式典に出るため、
先日までヘルシンキに行ってました。 - 真夏の東京で撮影した動画(緊張でカミカミ)と、
そこで聞いた話を元に想像で描いた
「ヘルシンキの街の絵」も無事公開となりました。
- 実際に行ったヘルシンキは、
建物が新旧どれも素晴らしくて、
自分の絵を描き直したくなるほどでした。
自然豊かで、緑や大きな岩、
すぐに船で渡れる多くの島、
澄んだ空気、サウナ‥‥。
治安も良く、コンパクトで、
街歩きがとても楽しかったです。 - さて、制作のつづきです。
今回でこの絵は最後になります。 - まずは空を点線で描いて、
雪の部分は白地を残すようにしました。
下描きのときよりも、
降っている雪を多くしたくなったので、
適当に余白を増やして、
空から降ってくる雪によって、
木や建物の姿が隠れるようにしました。 - そこで一通りペンは埋まったのですが、
空をもっと雪国っぽく、
重い冬の空にしたくなったので、
灰色の点線のあいだに、
さらに点線を入れることにしました。 - イメージとしては、
先ほど描いた点線が手前に降る雪で、
あとから描く点線が
その奥に降っている雪のような感じです。
点線で隙間を埋めることで、
空の暗さ、雲の重さ、雪をハッキリ見せるなど、
いろいろ狙って描きました。
本当はそこまで考えてもいない気もしますが、
なんとなくそんな感じで描きました。 - ちょっと空の間が微妙だったので
あとで鳥も描き足しました。
木の輪郭をすこし強くして、
点線を足して、建物を重くして、
再び色を重ね、花の真ん中にもすこし色を加え、
いろいろ手を入れて出来上がりです。
またそのうち手を加えそうな気がしますが‥‥。 - ということで、
この連載で描く絵はこれでおしまい。
次が最後の更新になります。
「最後はまとめの回にしてください」と
お願いされているのですが、
何を書けばいいのかまったくわかりません。
(次回、いよいよ最終回!)
2022-09-16-FRI