「ほぼ日の贈りものマルシェ」のページに出てくる
キャラクターをはじめ、
デザインワークを担当してくださった、
tupera tuperaさん(亀山達矢さんと中川敦子さん)。
おふたりは「贈りもの」を
どんなふうにしていますか?
また、「贈りものマルシェ」の
デザインワークについて。
京都在住のtupera tuperaさんに、
リモートでインタビューしました。

>tupera tuperaさんプロフィール

tupera tupera(ツペラツペラ) プロフィール画像 撮影:長野陽一

tupera tupera(ツペラツペラ)

亀山達矢と中川敦子によるユニット。
絵本やイラストレーションをはじめ、
工作、ワークショップ、
アートディレクションなど、
様々な分野で幅広く活動している。
絵本に『しろくまのパンツ』『パンダ銭湯』
『かおノート』『やさいさん』『いろいろバス』
『うんこしりとり』など、著書多数。
海外でも様々な国で翻訳出版されている。
NHK Eテレの工作番組「ノージーのひらめき工房」の
アートディレクションも担当。
「わくせいキャベジ動物図鑑」で
第23回日本絵本賞大賞。
2019年に第1回やなせたかし文化賞大賞を受賞。

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tupera tuperaさんインタビュー 1

――
「ほぼ日の贈りものマルシェ」の
デザインワークを、ありがとうございました。
ほんとうにかわいくて、
tupera tuperaさんにお願いしてよかったです。

――
今回のデザインについても
うかがいたいのですが、
まずは、「贈りもの」について、
おふたりが普段どういうことを
大切にされているか、教えていただけますか。
tupera tuperaさんのプロダクトは
贈りものに選ばれそうな
すてきなものも多いですし、
またご自身たちも
ふだん贈りものをされることが
あると思うのですが。
亀山
大事にしてることですか?
そうですね‥‥。
僕、ずっと日本中長年回ってきて、
青森県以外で全部、イベントやってきて。
――
すごいですね。
亀山
青森も、6月に行くんですけど。
いちおう、それで全ての県で
イベントをしたことになるんです。
日本中に知り合いがいて、
ありがたいことに、
その土地、土地の人が
たまにおいしいものを
送ってくださったりするんですよ。
鳥取からは梨が届き、
三陸からはカレイが届いたりとか。
和歌山からは、ミカンが届いたり。
あとは、岡山からは牡蠣が届いたり。
一斗缶で。
――
ああ、岡山の牡蠣、おいしいです。
亀山
お返しに、その時に出た新刊とか、
商品とかを詰め合わせて、送り返す。
なんか物々交換みたいな感じ。
――
物々交換(笑)。
原始的な贈りもの。
亀山
梨なんていうのは、
前に一緒にイベントをした人のお父さんが
ずーっとつくってて、とか。
おいしいもんと、
僕らが一所懸命つくったものと、
交換するみたいな。
みんなも楽しみにしてて。
――
それはうれしいですね。
亀山
僕らも一所懸命、
日々、いろいろつくっているので。
つくったものを、今年はこんなんできました、
みたいな感じで送って。
それの箱をつくったりとか、
手紙を書いたりとか、
そういうのが結構好きなもんで。
質問と違うね、質問と違いますよね。
なんだっけ。贈りものがなんでしたっけ。
――
贈りもの、大切にしていることですね。
ざっくりとした質問ですみません。
亀山
だから、まあ、そうですね、ちゃんと送る。
手紙も自分たちのポストカードで、とか。
小学校6年生の男の子が
前にイベントに来て、
サイン会に参加してくれて、
そこから手紙と
工作物をプレゼントしてくれて。
僕もあとで手紙で返事を送って。
何度かやり取りして。
すごいいいやつなんです。
その子がイチゴ農家に手伝いに行ってて、
イチゴを送りたいって言ってくれて。
一所懸命育ててたいちごを
送りたいっていうから。
「あ、送ってくれ、送ってくれ」って
話しになって。
そうしたら
あまりにおいしいいちごだったんです。
それでね、いちごの箱の裏に
絵具で絵を描いて
送り返したんですよ(笑)。
――
へぇぇ。
亀山
それがね、すごいかわいかった。
いいのができた。

――
共同制作物ですね。
亀山
いちごの箱の裏が、
こういちごの形みたいになって、膨らみが。
――
「宇宙一のいちごだ」って書いてある。
かわいい! これ、うれしい。
亀山
いちごを食べたあとに、
箱の底の形がいちごに見えたんで。
いちごを絵の具で描いて、
その上に新刊をこう載せて。
いちご、うまかったですよ。
もう、お世辞抜きで、
トップクラスでうまかった。
おいしかったから、送ったりして、
そういうやりとりが楽しいですよね。
――
お返し上手です。
亀山
みんな、うちの近くにおいしいものがあって、
ちょっと食べてほしくって、
みたいな感じで届くんで。
やっぱり、みんな気持ちがこもっているので
ほんとうれしいです。
――
ああ~。
亀山
なんか、そういうやりとりが、
一番楽しいです。
――
何を返そうかなって考えるのも、
すごく楽しそうですね。
亀山
そうそうそう。
こちらが地方に行くときは、
できるだけお土産は、
買っていくようにしてます。
お土産はね、ここは京都だから。
京都のお土産を探すのは、楽しい。
――
京都、いろいろありそうですもんね。
亀山
京都はね、すごい多いですね。
でもやっぱり
八ツ橋になっちゃったりするんですけど(笑)。
――
八ツ橋だったら、もう、間違いない。
あんことかの入っているほうですか。
焼いてある八ツ橋?
生八ツ橋ですか?
中川
自分たち的には、あんこもなんにもない、
生八ツ橋、あのペラペラの買って。
困ったときは、八ツ橋に戻る。
――
京都、いろいろ集まってますもんね。
前に「ほぼ日」の「いいものリレー」で
お茶とか紹介されてたじゃないですか。
中川
そうです。
――
すごく人気でした。

中川
自分たちのものじゃないものを選ぶ時は、
自分たちが食べたり、身につけたり、
で、おすすめだなと思えるものを選びます。
それこそほんと京都だと、
お店とかそういう雑誌とか見ても、
いろいろ載ってて。
でも結果的には、いつも飲んでるものとか、
近くの、信頼できる友人の店のものとか。
あんまり知らないものっていうよりかは、
そこに戻ってくる。
――
おふたりがプロダクトをつくるときにも、
そういうことは意識されますか?
いろんな人に喜んでほしいとか、
贈りものに使ってほしいなとか、
tupera tuperaさんはたくさんのものを
作ってこられたと思いますが、
亀山
そんなにたくさんではないです。
僕ら、法人化していないので、
スタッフもいないですし、
イベントのやりとりとか手配も
ぜんぶ自分たちでしています。
だから、今、たぶん、
ワークショップと講演会で、
2,30人ぐらいの人とやりとりしてる。
――
いやあ、大変。
亀山
イベント以外も展覧会、制作関係、
全部全て自分たちで。
各メーカーとのコラボとかも、
もちろん、間に出版社とかが
入ることもあるんですけど。
誰か入って、
その先のクライアントの人が
見えないっていうのが、一番嫌なことで。
――
ああ、直接やりたい。
亀山
みんなでやろうよっていうタイプなんです。
「出版した絵本の商品開発したい」
というときも、
直接メーカーの人とやりたいですって。
――
そうなんですね。
亀山
一個ずつ丁寧につくりたいから。
つくるまでのプロセスが楽しいんですよね。
「一緒にいいものできたね」みたいな、
そんな感じがあって。
だからそこはすごい大事に
してるところなんですけど、
やりとりが増えるんで、
ややこしいことになるんですけど。
それが醍醐味かなと思って。
こないだも今治のコンテックスさんと
今治タオルのビブをつくったんですけど、
それもやっぱり直接やりとりするのが
ずっと楽しくて。
「いいものできたね、これ、じゃあ、
みんなにプレゼントしたいね」って言った。
――
子供のいるほぼ日乗組員が
『くだものさん』のリンゴさんのグッズを
すごくよく使っているそうです。
中川
ありがとうございます!
『くだものさん』という絵本は、
いろいろなグッズになっています。
他の絵本のグッズもそうですが、
その人のお気に入りの
絵本のグッズということで、
喜んでもらえるのは嬉しいですね。
新しいものを
一緒につくりましょうっていう時は、
私たちがつくる意味を
しっかり考えるようにします。
たとえばさっきのコンテックスさんだったら、
もう今治のすごくいいメーカーさんなので、
万人が気持ちよく使えるタオルっていうのは
もう存在していて。
なのでそこはやっぱり、
私たちらしいものっていうことを考えます。
おもしろい仕掛けがついてたり、
その商品を、違う角度から、
「こんなのはどうですか?」みたいな(笑)。
見た人がちょっと驚いてくれるものとか。
「何これ」って言って、
話のネタになるようなものだったりとか。
そういうのがいいなと思っています。
亀山
絵本も、絵本の商品づくりも、
ものすごい慎重なんで。
ちゃんと絵本の世界を大事にして。
でもやっぱり、丁寧につくると
喜んでもらえる。
――
ああー、
それは、私たちが大事にしていることを
あらためて教えてもらったような気持ちです。
ほぼ日は、動機とつくる現場が
ほとんどくっついています。
でもどうしても、みんなで話し合っていると、
なんとなく真ん中にあるフワッとしたものに
落ち着きそうになることがあります。
中川
考えて、なんか広げ過ぎても、
今度は見えなくなってくるんです。
なのでやっぱり、最終的にはグッと、
そう、実際に本当にかかわっている数人が、
納得いくものになるかっていうことですよね。
――
そうやって気持ちも入っているから、
きっと贈りものにもいいようなものが
たくさんできるのかなと。
強引に結びつけるわけじゃないですけど。
見ててやっぱり、楽しいです。
tupera tuperaさんのものって、
ずっと見ていられます。
中川
ちょっとワーっと
気持ちが動くようなものだといいなと。
――
前にお菓子も
コラボレーションされてましたよね。
「ほぼ日のおやつ展」で。
あれもかわいかったです。
食べるのがもったいなかった。
亀山
「松崎煎餅」さんと、
「デ カルネロ カステ」さん。

――
そうそうそう。最高によかった。
中川
今は、
「ディーンアンドデルーカ」さんとかと。
――
缶に入っているチョコレート。
かわいいです。
中川
この缶の動物たち、
自分が好きなものを持っているんです。

――
ペンギンはアイスクリーム、
くまはお花‥‥。かわいいです。
缶を大事にとっておきそう。
中川
箱とか、それこそ装飾に使ったりとかも含めて、
いただいた包装紙とか箱とか、
使えるなと思うものは
自分もとっておくので。
そういうパッケージとかはやっぱり、
飾ったりできるものになるといいなと思って。
亀山
なんかね、最近、
お菓子が多くなったんですよね。
――
世界観、ぴったりですよね。おやつと。
亀山
で、京都のお菓子、やりたいんですけど。
なんか、なんか依頼が来ないんですね。
――
京都土産で、あったらうれしいですね。

(つづきます。)

2023-03-13-MON

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