なにかすっごいドラマがあったという
わけでもないのです。
とはいえ、担当のほぼ日乗組員たちが
力を合わせてがんばった。
そして海外のお客さんや社内のみんなにとって
「ほぼ日ストア」の使い勝手が、
前よりちょっとよくなった。
「これ、仲間のみんながよかったんですよ」
という話を、すこしさせてください。
いわゆる「越境EC」、つまり海外販売にまつわる
ほぼ日というチームの一側面の記録。
開発リーダーの多田さんを中心に追いかけます。
レポート担当は、ほぼ日編集部の田中です。
- 「ほぼ日ストア」の海外配送プロジェクトを
長く続けてきたこのレポートも、今回で最終回。
最後はさんと一緒に聞いた、
ほぼ日物流リーダーさんの
話の続きを紹介します。
海外は、思い通りにはすすまない。
- ──
- 「ほぼ日ストア」が新しいしくみに移行して、
いま1か月半くらいですけど、
物流的には落ち着いたんですか?
- 西田
- いや、思った通りにはまだいってないですね。
あのね、海外はね、いかない。
けっこう頑張ってますけど、
想定通りにはいかないものなんです。
- ──
- そういうものですか。
- 西田
- 過去に物流倉庫を引っ越したときも、
最初の1か月くらい、
海外だけは地獄のようでしたから(笑)。 - もうね、まったく想像してないことが起きるんですよ。
ジャパニーズの感覚だと思いもつかない
「ええっ、こんなことが?」みたいな
落とし穴があちこちにあって。
今回も落ちてないわけじゃないですね。
まぁ、だけど前には進んでますから。
- 多田
- そうですね、前には進んでる。
- 西田
- 「ほぼ日手帳2024」も無事に出荷できましたし。
いま、多田さんたちシステムチームが
いろんな調整をしてくれてますけど、
そこも調整で済んでますから。
通関でストップしたとか少しもないんで、
今年は超順調ですよ。 - なんでもそうじゃないですか。
こんなでっかいプロジェクトをやったら、
いろいろ起きますよ。
- 多田
- 今回はけっこう大きく変えてますからね。
- 西田
- そう。だけど、なんだかんだ
「最終どうにかなるだろう」とは
思っているんですよね。 - 海外出荷って、想像しにくいから
ちょっと日和(ひよ)りますけど、
別にやってることって
「人間がものを買って、人間に送ってる」
だけですから。
いわば「人間に手帳を送っている」だけ。
宇宙に送ってるわけでもないですから。 - いや、仮に宇宙にものを送る時代になったとしても、
それも別に「宇宙に送ってるだけ」なんで、
きっとなんとかなると思ってます(笑)。
- ──
- すごい、そういうふうに考えるんだ(笑)。
- 西田
- 過去に、海外からのお問い合わせメールに、
ぼくがビビりながら英語で返してたこともあるんですよ。
だけど、それだって向こうも人間だし、
別に「Thank you!」って感じでしたからね。
- 多田
- こっちが大変なのも伝わるからね。
- 西田
- 相手もこっちがジャパニーズとわかってるから。
だから今回もしくみが新しくなったからといって、
別になんだってことはないですね。
こっちも人間、向こう側にいるのも人間なので。
ほぼ日の仕事の仕方も変わってきた。
- ──
- これは興味で聞くんですけど、
20年以上ほぼ日にいる西田さんとしては、
ほぼ日の仕事の特徴ってどのあたりだと思いますか?
- 西田
- ‥‥うーん。
ひとまず、よその会社にいる友達としゃべってる限りは、
うちって裁量がめちゃくちゃあるんですよね。
自由に働けてるかなとは思いますけど。
あと、子育て世代には優しい会社だと思います。
- 多田
- ああ、それはそうですね。
- 西田
- でも、最初に入ったときと比べると、
会社がもうすごい大きくなったからなあ‥‥。 - だから一概に「ほぼ日ってこういう働き方」とは
言えないかもしれないです。
ずーっと変化し続けてきてるから。
- ──
- そっか。
働いてる感覚、昔と違いますか?
- 西田
- うちって昔からいつも遅かったわけです。
「ほぼ日ストア」のスマホ対応とかも
めちゃくちゃ遅くて、
「いくらなんでもさすがにもう、
はじめたほうがよくないか?」
となってからやるという、
そういうイメージだったんですよ。 - だけど今回の海外配送のプロジェクトとか、
「海外の税金まわりのコンプライアンスを
ちゃんとする」
というのがひとつの大きな目的だったわけで。
- 多田
- だいぶ先手を打ってますからね。
- 西田
- そう。だからもう、新しい時代になってますよ。
いろんな得意技を持ってる新しい人たちも、
どんどん増えてるし。
人が増えると、やりかたも変わっていくし。 - ただぼく自身は、いろいろと遅かった時期から
ほぼ日にいて、ずーっと
デコボコ道を走ってきた感じですから。 - 最近のほぼ日の行動力とかって、
ずーっとトラックで走ってたのが、
いきなり飛行機になったみたいなイメージなんですよ。
だからもう自分は本当に
「ミッション・インポッシブル」の
トム・クルーズばりに必死ですよね(笑)。
すごいスピードの飛行機に
こうやってしがみついてるイメージ。
- 多田
- 乗ってないんだ。翼にしがみついて(笑)。
- 西田
- そう。自分もなんとかそこに
乗り遅れないように。 - まぁ、自分も昔と比べると
ちょっとは大人になったなと思いますけどね。
前は本当に朝起きれなかったのが、
いまは朝も夜も早いですから。
‥‥ってそれは年のせいかもしれないけど(笑)。
みんな説明がうまいのはなんでだろう?
- ──
- 前から思ってたことですけど、
多田さんも、西田さんも、ほぼ日に長くいる人って、
人前での説明がすごくうまい気がするんですよ。
あれ、なんでかなって。 - 多田さんが韓国でやったプレゼンもそうだし、
西田さんが「たのしみ展」のときに
いつも社内向けにやる搬入・搬出まわりの説明も、
聞いてていつも、すごくわかりやすくて、面白くて。
- 西田
- ‥‥いやぁ、自分の説明能力については、
「昔から糸井さんの話を聞いてきたから」
としか言いようがないですね。
もともと国語の成績悪かったし。
20年間、糸井さんの面白い話をずっと聞いてきたから?
- ──
- つまりは「門前の小僧」的な。
- 西田
- そうですね。あとはなんだろう。
- 昔からほぼ日で自分が原稿を書いたとき、
編集部の永田さんに見てもらったりすると、
いつも本当に全部バツで返ってくるんですよ(笑)。
笑っちゃうくらい、全部バツ。
うまくいったと思えば思うほど、全部バツ。 - だからもう、うまくやろうとしなくなりましたね。
「ちょっと一発当ててやろう」
みたいな気持ちは、完全にゼロです。
そういうスタンスはいいのかもしれない。
- 多田
- それは思うところあるな。
うまくやろうとしてるのはバツですよね。
- 西田
- うん、ヤマっ気を出したらだめ。
でも「ウケよう」は、けっこうあるかな。
- 多田
- 「ウケたい」という気持ちはぼくもありますね。
でも、うまくいくとは
あんまり思ってないんですけど。
- ーー
- 「ウケたい」気持ちは抱きつつ、
うまくやるんじゃなく、なんとかするみたいな。
- 多田
- あとは、聞く人の反応を見て話を変えてはいますね。
- 西田
- なんかね。
- 当たり前のことですけど「人前で話す」って、
相手に伝えるためにやるわけじゃないですか。
「俺の話を聞け!」とかって絶対ダメだから、
そうじゃなくおもしろがって聞いてもらえるように、
自分なりになんとか工夫したりはします。 - それとまぁ‥‥つまらなすぎる発表をしちゃうと
糸井さんがどう思うかな、という(笑)。
- 多田
- それはありますね(笑)。
- 西田
- いま言ってて気づきましたけど、
ぼくね、全員の前での発表とかって、
8割がた、糸井さんに向けてやってるんですよ。
- ──
- へぇーっ。
- 西田
- 「たのしみ展」の準備の話とかも、
あくまで糸井さんの心に
火をつけられたらと思いながらやっていて。 - 目的は「たのしみ展」の成功で、
そのときいちばん火をつけたいのは
糸井さんなんで、糸井さんに喜んでもらう。 - 社内のみんなには全体メールで伝えればいいし、
本当に伝えたいことは直接言うので。 - まぁもちろん、みんなにモテたい気持ちは
ありますけど、でもやっぱり、
いちばんモテたいのは糸井さんですね。
だからターゲットはいつも社長ですね、
人前で発表するときは。
‥‥じゃないですか、多田さん?
- 多田
- いやぁ、ぼくはまだ
「糸井さんがターゲット」とまでは
言えないですけど(笑)。 - ただやっぱり、聞いてる人のことは想像します。
けっこう脳内で練習するんですけど、
糸井さんやみんなが聞いてどう思うかを考えたり。
- ──
- 具体的なことでいうと、おふたりって、
たぶん絶対に
「パワーポイントの文字を頭から読み上げる」
みたいなプレゼンはしないじゃないですか。
それはどうしてですか?
- 多田
- ああ、パワーポイントの文字とかって、
もう読まれると思ってないんですよ。
理解されてせいぜい数文字。
だからぼくは文字も雰囲気、絵として
考えちゃってますね。
できるなら、絵がずっと続いちゃった方が
ぼくはいいくらいの感じです。
- 西田
- 絶対そうですよね。
文字が多いなら、ページ増やした方がまだまし。
文字は読まないっていうか、読めないし。
テンポをよくした方がいいですよね。
- 多田
- たくさんある文字を読み上げる系の発表は、
なんかつまんないなとか思ってね。
いやこれ、大事なのはテクニックとかじゃ
ないんですけど。
- 西田
- うん、テクニックとかではないですよね。
そこじゃないっていうか‥‥。
- ‥‥と、結論があるわけでもないのですが、
今回の「ほぼ日ストア」海外販売プロジェクトの
レポートは、こんなところでおしまいです。 - ほぼ日というチームのみんなが、
普段そんなに表に出てこない人も含めて、
それぞれにがんばって、わいわいやっていることが
なんとなく伝わっていたら、とても嬉しいです。 - 登場してくれたほぼ日のみんな、
Global-eのみなさん、
そしてこの記事を読んでくださったみなさん、
本当にありがとうございました。 - 2023年時点ではこんな感じですが、
世界はきっとこれからも変わっていきますし、
「ほぼ日ストア」もまた、それにあわせて、
少しずつ進化を遂げていくんじゃないかと思います。
ただ、基本的なムードとしては、
これからもわりとずっとこんな感じかも?
なんにせよ、これからもいろいろと
見守っていただけたら、とても励みになります。 - というわけで、この続きは、またどこかで。
- ではでは、ちょっと使い勝手の良くなった
「ほぼ日ストア」、そして「ほぼ日」のことを、
これからもどうぞよろしくおねがいいたします。
(おしまいです。お読みいただき、ありがとうございました)
2023-12-29-FRI