渋谷PARCOの「ほぼ日曜日」で開催される
ドラえもん 1コマ拡大鑑賞展」は、
漫画の1コマを選び、拡大して、
美術館のように鑑賞する展覧会です。
1コマ1コマじっくりと鑑賞したら、
そのコマが含まれている、
ほんものの原画を見に行ってみませんか?
それが叶うのは、貴重な原画がずらりと並ぶ
川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム」です。
1月下旬の午後、「ほぼ日曜日」のスタッフが
渋谷PARCOからミュージアムまで行ってみました。
原画を見たり、遊んだり、カフェで食べたり、
半日満喫してきたんですよ~!
訪れる際の参考にしてくださいね。

(C)Fujiko-Pro

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2. 原画をじっくり堪能しよう。

無事、ミュージアムに着いた私たち。
ここからは、館長の宮野さんが
案内してくださいます。

▲館長の宮野さん。
「こんにちは。よろしくおねがいします!」 ▲館長の宮野さん。 「こんにちは。よろしくおねがいします!」

宮野
こんにちは。館長の宮野です。
今日はどうぞよろしくお願いします。
ここは2011年9月3日に
オープンしたんですよ。
ーー
9月3日‥‥
あっ、ドラえもんの誕生日!?
宮野
そうです、そうです。
2011年は東日本大震災があった年です。
ちょうど館内に電気を通す工事がはじまる、
という矢先に震災が起こりまして。
計画停電もあって、電気が通らないかも‥‥
という心配もあったんですけど、
なんとか無事、オープンできました。
ーー
そうだったんですか。
では、今年で10年なんですね。
宮野
はい。そして館内に入る前に見ていただきたいのが、
あそこに大窓がございますよね、
あの窓のフレームは、
1、2、3、4、5ぺージで
漫画のコマになっているんです。

ーー
ああー! すごいです。
気づきませんでした。
宮野
『ドラえもん』の第1話
「未来の国からはるばると」の
コマ割りどおりになっているんです。
そして、足元もご覧ください。
漫画を鉛筆で下書きする様子を表していて、
原稿用紙が重なっています。

ーー
あっ、ほんとだ!
宮野
分かります? 
B4のケント紙をイメージしているんですよ。
(歩きながら)
そして、壁際のウィンドウは、
入館をお待ちいただいている間に、
小さな展示をご覧いただけるコーナーです。

ーー
並んでいる人が退屈しないように、
という工夫なんですね。
宮野
そうなんです。
ではみなさん、入りましょうか。

宮野
最初に、手指の消毒していただいて。
お子さんたちにも楽しんでいただけるよう、
オリジナルでボトルを作りました。

▲‥‥たしかに、ドラちゃんの手! ▲‥‥たしかに、ドラちゃんの手!

宮野
正面の白い壁をご覧ください。
これは藤子・F・不二雄先生の
奥様のアイデアをベースにしたデザインで、
「笑いの壁」といいます。
ーー
「笑いの壁」。

▲たくさんのキャラクターが笑顔で迎えてくれる「笑いの壁」。 ▲たくさんのキャラクターが笑顔で迎えてくれる「笑いの壁」。

ーー
(上を見上げて)
ああ‥‥青空がまた素晴らしいですね。
宮野
この空は、変わるんです。
時間によっては夕焼け空にもなりますよ。
これ、ドラえもんが真ん中にいるんですけど、わかります?
ーー
‥‥ああっ、ほんとだ!

▲わかりますか? よーくみると、ドラちゃん! ▲わかりますか? よーくみると、ドラちゃん!

宮野
この建物は3階まであります。
みなさんが今いるのは1階のエントランスホールです。
入館前には、注意書きがいろいろありまして、
たとえば、ネズミの入館はご遠慮いただいています。
一同
(笑)

宮野
受付で、入館チケットと引き換えに、本日上映の
「Fシアター」チケットを受け取ってくださいね。

▲入館します。
▲入館します。

▲短編映像が観られる「Fシアター」のチケットを
受け取りました。
全部で51種類あるそう。
ドロンパがいたり、パーマンがいたり‥‥!
▲短編映像が観られる「Fシアター」のチケットを 受け取りました。 全部で51種類あるそう。 ドロンパがいたり、パーマンがいたり‥‥!

▲受付の方の制服もかっこいい。
「この制服を着られることが嬉しく、誇らしいです」と
おっしゃっていました。 ▲受付の方の制服もかっこいい。 「この制服を着られることが嬉しく、誇らしいです」と おっしゃっていました。

▲帽子と服についているバッジはすべて、ドラちゃん! ▲帽子と服についているバッジはすべて、ドラちゃん!

宮野
では、展示室をご案内します。
2つある展示室のうち「展示室Ⅰ」では
特別展示「藤子・F・不二雄とドラえもん」を開催しています。
先生が描いた原画を中心に『ドラえもん』の
50年の歴史を知る展示と
漫画ができるまでの流れなどを展示しています。

▲漫画ができるまでの流れをCGで説明してくれるコーナーです。 ▲漫画ができるまでの流れをCGで説明してくれるコーナーです。

▲貴重な原画が展示してあります。
鉛筆で書かれた指示書きが読めるのも原画ならではのたのしみ。
1つ1つ、じっくり見入ってしまいます。 ▲貴重な原画が展示してあります。 鉛筆で書かれた指示書きが読めるのも原画ならではのたのしみ。 1つ1つ、じっくり見入ってしまいます。

宮野
ミュージアムの収蔵庫には、約5万枚の原画原稿を
収蔵しているんです。
ーー
5万枚!
そのなかから展示するものを
どんなふうに選んでいるんですか?
宮野
昨年が「ドラえもん50周年」でしたから、
今もその延長で、ドラえもん中心の展示をしています。
その前は、『ドラえもん』『新オバケのQ太郎』
『パーマン』『エスパー魔美』『キテレツ大百科』の
5大キャラクターの原画で構成していました。
今は『ドラえもん』だけですが、
それでも生活ギャグ漫画もあれば、
冒険ものもあって、テーマによって作風が違うので、
みなさん、興味深く見てくださっています。

▲壁の絵は、パイプをくわえた藤子・F・不二雄先生の横顔! ▲壁の絵は、パイプをくわえた藤子・F・不二雄先生の横顔!

宮野
ここまでが「展示室Ⅰ」でした。
ここを出ると、藤子・F・不二雄先生の作品年表や
歴史を知ることができる廊下「ヒストリーロード」に出ます。

ーー
ああ、すごい。
まさしく年表ですね。
宮野
先生は、『ぞうくんとりすちゃん』という
セリフのない絵本を描かれていました。
このイラストに描かれた線路が
続いていくイメージで、先生の年表をつくったんです。

▲『ぞうくんとりすちゃん』。
ここから年表がスタートします。 ▲『ぞうくんとりすちゃん』。 ここから年表がスタートします。

宮野
年表というと、普通は文字が多いから
読み切れずに流し読みされることもあるのですが、
ここは、ご来館された大人の方同士が、
ご自身の小・中学生時代のできごとと
照らし合わせたりして、
たのしく見てくださっているんです。

▲年表を見ながら、自分はそのころ何をしていたか考えるのもたのしいです。 ▲年表を見ながら、自分はそのころ何をしていたか考えるのもたのしいです。

▲年表をずーっと追っていくと、未来に。
「ドラえもん誕生」! ▲年表をずーっと追っていくと、未来に。 「ドラえもん誕生」!

▲愛用のパイプと、
アイデアのメモが書き込まれたアイデアノート。 ▲愛用のパイプと、 アイデアのメモが書き込まれたアイデアノート。

▲手塚治虫先生からの色紙もありました。 ▲手塚治虫先生からの色紙もありました。

宮野
このヒストリーロードの先には、
先生の仕事部屋を再現した「先生の部屋」があります。
実際に、この机で漫画を描かれていました。
ーー
うわぁ‥‥。
ここ、クライマックス感がありますね。

▲これが藤子・F・不二雄先生の机‥‥! ▲これが藤子・F・不二雄先生の机‥‥!

宮野
生田にあったご自宅から私物を持ってきて、
机に展示しています。
この机を設置するということが、
ミュージアムを設計する上で一番最初に決まったことで、
ここを中心に全てが構成されていったんです。
ーー
なんだか、ついさっきまで書かれていたような
雰囲気がありますね。
(部屋に流れる音楽を聴いて)
音楽はこういうクラシックを好まれていたんですか?
宮野
はい、先生はクラシック音楽や落語を聴きながら
漫画を描かれていたそうです。
それから、先生は恐竜が大好きなんですよ。

▲机の上には恐竜のフィギュアが。
▲机の上には恐竜のフィギュアが。

ーー
あの、ゴミ箱に甘栗の袋がありますけど、
もしかして‥‥。
宮野
はい、それも、先生が甘栗がお好きだったそうで(笑)。
机の上を見上げていくと、2階にまで続く本棚があります。
先生の作品は、未来、過去、宇宙といった
時間にとらわれない作品が多いでしょう。
でも学説って、新しい発見があったりすると、
それに応じて変わるじゃないですか。
そういうときに最も新しい学説で描かないといけない、
ということで、資料をたくさんお持ちだったんです。
ーー
(見上げながら)
はあああ。すごいです。
そうとうな量ですよね。
宮野
段ボール、約300箱分です。
「間違った情報を描いちゃうと、
子どもに嘘をついちゃうことになるから」と言って、
常に新しい情報を吸収されていたんです。

▲見上げると、高くのびた本棚に、
圧倒されそうな量の本。 ▲見上げると、高くのびた本棚に、 圧倒されそうな量の本。

▲2階に上がります。 ▲2階に上がります。

宮野
続いて「展示室Ⅱ」に参りましょう。
ここは企画展示で、
今は『ドラえもん50周年展』を開催しています。

▲どこでもドアを開けて、展示室Ⅱに入ると‥‥。
▲どこでもドアを開けて、展示室Ⅱに入ると‥‥。

▲まず目に飛び込んでくるのは、
『ドラえもん』がはじまる直前号の予告イラストを
立体で表現したもの。インパクトのある登場シーンですが、
この予告を書かれたときは、机から飛び出してくる
キャラクターが決まっていなかったのだそう! ▲まず目に飛び込んでくるのは、 『ドラえもん』がはじまる直前号の予告イラストを 立体で表現したもの。インパクトのある登場シーンですが、 この予告を書かれたときは、机から飛び出してくる キャラクターが決まっていなかったのだそう!

宮野
展示をしている原画ですが、
作品保護のために一部を複製原画にしていまして、
それには
「コピーロボット」のマークがついています。
ーー
へええ‥‥! コピーロボット!

▲これがコピーロボットマーク! ▲これがコピーロボットマーク!

宮野
LEDの照明とは言え、長期間展示をしていると劣化するので、
原画を守るために、
ときどき入れ替えています。

▲右上の「1コマ」は、
渋谷PARCO「ほぼ日曜日」でも展示中の1コマ!
実際は、このシーンのコマだったんです。
※取材時は原画が展示されていましたが、現在は展示されておりません。 ▲右上の「1コマ」は、 渋谷PARCO「ほぼ日曜日」でも展示中の1コマ! 実際は、このシーンのコマだったんです。 ※取材時は原画が展示されていましたが、現在は展示されておりません。

▲貼り付けられた写植、修正されたホワイトの跡。
先生の筆使いが伝わってきます。
※取材時は原画が展示されていましたが、現在は展示されておりません。 ▲貼り付けられた写植、修正されたホワイトの跡。 先生の筆使いが伝わってきます。 ※取材時は原画が展示されていましたが、現在は展示されておりません。

宮野
(展示を見ながら)
ここはすべての展示物をちょっと低めに
設置しているんですけど、わかりますか?
こういう展示って、本来は
床から135.0cmと寸法が決まっているんですけど、
ここは床から129.3cmなんです。
つまり、ドラえもんの身長と同じ。
ーー
へええ~!

▲白い六角形の壁は鉛筆、
黒い部分は鉛筆の芯をイメージしているそうです。
へえっと思えるような仕掛けが、あちこちにあるんです。 ▲白い六角形の壁は鉛筆、 黒い部分は鉛筆の芯をイメージしているそうです。 へえっと思えるような仕掛けが、あちこちにあるんです。

ここまでは「展示」コーナーをご紹介しました。
次回は「はらっぱ」や「ミュージアムカフェ」など、
たのしいスポットをめぐりますよ~。

(つづきます)

2021-03-14-SUN

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