2023年7月現在で、YouTuber活動歴11年。
動画数2700本以上。チャンネル登録者数1050万人。
いちばん見られている動画の再生回数は1.2億回。
そんなはじめしゃちょーも、ことし30歳。
ゲーム『MOTHER2』の大ファンということもあり、
今回、糸井重里に会いに来てくれました。
そもそもはじめしゃちょーって、どんな人?
どんな子供時代を過ごし、どんな思いがきっかけで
YouTubeで活動するようになった?
昔からずっと面白さを感じていることは?
その創作の背景を教えてもらいました。
- 糸井
- たしかいま、ゲームを作ってるんですよね?
ホラーっぽいゲームを。
- はじめ
- はい、『かみながしじま 〜輪廻の巫女〜』
っていう。
2023年6月6日リリースなんですけど。 - ホラーと美少女が好きでして。
「怖い」と「美女」の組み合わせって、
相性がいいなとずっと思ってまして。
ずっと企画に協力させてもらっています。 - 糸井さんは、ホラーゲームとか好きですか?
- 糸井
- ホラーはね、案外見るけど、
好きかどうかはわかんないなぁ。
案外見てるってことは、案外?
- はじめ
- 好きなのかもしれない(笑)。
- 糸井
- かもしれない(笑)。
ごく初期の『ゾンビ』とか
『サスペリア』とかの映画は、
一般の映画みたいに入ってきたから、
普通に観てましたね。 - でもぼくは「怖くなく見る方法」とか、
考えたくなっちゃうんですよ。
- はじめ
- なるほどですね。
ぼくも怖いのって苦手なんですけど、
観たくなっちゃうんです。
- 糸井
- ホラーを怖がらないための方法って、
基本的には「音を消す」ですよね。
- はじめ
- そうですね。
ぼく、映画館でほんとに耐えれないぐらい
怖い映画を観るときがあるんですけど、
(耳と目を手で塞いで)
こうやってます、こう‥‥(笑)。
でももったいないんで
ちょっとだけ開けとく、みたいな。
- 糸井
- 目のほうが耐えられる気がする。
耳は大音量とか
「びっくりした」が混ざってて、
命に関わるような脅かし方になるんで。
- はじめ
- 映画館だと特にそうですよね。
- 糸井
- だから耳栓をしちゃうと、だいぶらく。
でも、らくになるためにがんばっても
しょうがないんで(笑)。
- はじめ
- ですよね。ホラーって、特殊ですよね。
- 糸井
- やなことを観に行くわけだからね。
- はじめ
- そうなんですよ。
- 糸井
- ぼくが「はじめしゃちょー」という
名前を知ったのは、ずいぶん前ですけど、
キャラクターのお人形をいただいたんです。
「『MOTHER』が大好きなんだそうです」
って言われて「へぇー!」と思って、
たしかサインかなにかをして手帳を送ったのかな。
- はじめ
- あ、そうなんです。
むかし誕生日に、糸井さんのサイン入りの
『MOTHER2』の手帳をいただきまして。
- 糸井
- それだ。ずいぶん前ですよね。
- はじめ
- けっこう昔ですね。
もちろんいまも大事に持ってて、
『MOTHER2』のファンが周りにけっこういるんで、
「ほい」って見せると
「マジっすか!! 糸井さんのサインが入ってる!!」
みたいな。
- 糸井
- そこで距離が急に近くなるわけだ。
- はじめ
- そうなんです。勝手に自慢させてもらってます。
すごいオタクみたいですけど。
- 糸井
- オタクでしょう(笑)。
あのときまだ、20何歳でしょう? きっと。
- はじめ
- 大学生とかだった気がしますね。
- 糸井
- だけど「はじめしゃちょー」という場所も
急になれたわけじゃないでしょう?
すごいことだと思って。
- はじめ
- いや、そうですね。おかげさまで。
YouTuberというか、動画クリエイターというか。 - はじめるタイミングがちょっと早かった
とかもあると思うんですけど。
- 糸井
- もともとは理科系の子なんですか?
- はじめ
- 最初に選んだのは理系でしたね。
- でも理系になったのも、進路相談で
「かっこいいので将来白衣着たいです」
って言ったら、先生に
「じゃあ理系だな」って言われて
決めたぐらいだったんで。
- 糸井
- たしかに文系の白衣ないもんね(笑)。
- はじめ
- あとは理系から文系なら行けそうですけど、
文系から理系に行くイメージってあんまりないので、
とりあえず理系を選んだのもあって。 - だけどそのあとで先生に
「英語ができる理系は大学受験に強いぞ」
って教えてもらって、
「じゃあ英語やればいいんだ」と勉強してたら、
英語だけズバ抜けちゃったんです。 - それで英語しかできなくなって、
そのまま英語が好きになって、
英語の教師の資格を取れる学部に進んでて、
‥‥気づいたら文系になってました。
- 糸井
- 不思議な道ですね。
- はじめ
- 不思議な道でした。
- 糸井
- なんで英語得意になっちゃったんだろう。
好きだったの? 何をしたんですか?
- はじめ
- 好きでしたね。公文(くもん)に通ってました。
- 糸井
- 普通に通ってた。
- はじめ
- はい。普通に通ってました。
だけど、とてつもないスピードで教材を解いたりとか。 - 今はもうないんですけど
「スピードリーディングシステム」っていう
英語を読むのが早くなる教材みたいなのがあって、
そういうのばかりやってたら、
もう英語の人間になっちゃって。
- 糸井
- ゲーム感覚なんだ。
- はじめ
- そうですね。進めれば進めるほど難しくなるし、
達成感もあるし、成績も上がって楽しかったです。
- 糸井
- じゃあ、ただサボってた男の子じゃなかったんだね。
意外にそこのところで一生懸命やったんだ。
- はじめ
- そうですねぇ‥‥でも、公文に行きはじめた理由が、
点数が悪すぎたからなんですよ。 - 学校の英語のテストで「13点」とかとってきて、
親が「うちの子はヤバい。このままじゃ高校行けない」
みたいに危機感を感じて
「じゃあ、公文行って来い」って。
そこで公文にぶち込まれてから目覚めたという。
- 糸井
- 運がいいね。
- はじめ
- 運はいいかもしれないです。
- 糸井
- それ、いやなことを「やれ」って
言われてるわけだから、普通いやですよね。
- はじめ
- いやですけど、親から「塾はお金がかかる」とか
チクチク言われてて、送り迎えもしてもらってて。
だから自分の中で、責任感みたいなものも
ちょっと芽生え始めてきてたんだと思います。
- 糸井
- わりと受験とかの盛んな地域の子なんですか?
- はじめ
- 出身は富山なんですけど、そんなにだと思いますね。
- 糸井
- そんなでもない。
- はじめ
- でも、なにかスイッチが入ると、やり続けられる。
- 糸井
- スポーツは?
- はじめ
- 小学4年生からバスケットボールをはじめました。
それもでも、消去法だったんです。 - 親が、人と人とのコミュニケーションとかの
機会を作りたかったみたいで、
おうちのルールに
「絶対チームスポーツをやらせたい」
というのがあって。 - そのときぼくの地域でやってたのが
バスケかサッカーか野球で、
野球は坊主がいやで、サッカーは夜遅すぎて、
「じゃあバスケしかないじゃん」って。
- 糸井
- それなりに一所懸命やったんですか。
- はじめ
- はい、それなりに。
高校はその推薦で入りました。身長もあったので。
- 糸井
- すごいじゃない。
「ずーっとぶらぶら遊んでたんですよ」
みたいな顔してるけど。
- はじめ
- あ、ぼくですか(笑)。
そう見えてるんだったらうれしいです。
- 糸井
- 案外ちゃんとしてるときは、してる。
- はじめ
- そうですね、しめる部分はしめつつ。
ただ普段はもう全然、
堕落した生活をしてるんですけど。
- 糸井
- よく言うことですけど、何をやるにしても、
「何もかもちゃらんぽらん」だと難しいんですよ。
不良っぽいバンドのやつらも、
ギター弾けるだけで相当練習してるんですよね。
それをやらずに「よーし」っていけるわけがないんで。
- はじめ
- 勢いではいけないですもんね。
だから裏の努力というか、見えない部分が。
- 糸井
- そう。だけど、それを真似したい子たちのほうは、
わりとその部分の真似をしないんですよね。
だから、きっとそこはあるんですよね。
(つづきます)
2023-08-01-TUE