18歳のときにアパレルブランドを立ち上げ、
若手起業家として注目のハヤカワ五味さん。
最近は会社経営者としてだけでなく、
エッセイを書いたり、動画を配信したりと、
インフルエンサーとしても活躍されています。
そんな彼女を遠くから見ていて、
一度は会ってみたかったという糸井重里。
彼女のラジオ番組にゲストとして呼ばれ、
はじめてお会いする機会がやってきました。
そのときのふたりの初対談を、
ほぼ日編集バージョンにしてお届けします。
ハヤカワ五味（はやかわ・ごみ）
1995年東京生まれ。
株式会社ウツワ代表取締役。
ランジェリーブランド『feast』、
その姉妹ブランド『feast secret』、
ワンピースブランド『ダブルチャカ』を立ち上げる。
ラフォーレ原宿の直営店『LAVISHOP』の
企画・運営も行なう。
自身がパーソナリティを務める
ラジオ番組『マスメディアン 妄想の泉』は、
TOKYO FMにて毎週土曜24:30-25:00放送中。
Twitter：@hayakawagomi
note：ハヤカワ五味
YouTube：ハヤカワ五味 HayakawaGomi
02
休みのクリエイティブ。
- ハヤカワ
- 私は仕事を休んでるとき、
どこかで罪悪感があるというか。
- 糸井
- わかります。
- ハヤカワ
- 糸井さんは「休み」というものと、
どう向き合っていますか。
- 糸井
- ぼくは、ほぼ日をはじめたくらいから
「休みのクリエイティブが必要」と、
みんなにずっと言いつづけています。
- ハヤカワ
- おおー。
- 糸井
- たとえば休みの日にテーマパークに行くのは、
誰かが用意してくれたものを消費するだけで、
あまりクリエイティブとは言えません。
それはユーザーでしかないんです。
- ハヤカワ
- ああ、たしかに。
- 糸井
- でも、ほんとうは休みって、
もっとクリエイティブなものです。
どうやって休むかということは、
どうやってはたらくかと同じくらい、
一所懸命考えるべきだとぼくは思っています。
日本人って仕事を休むことに対して、
ちょっとした罪悪感があるじゃないですか。
- ハヤカワ
- ありますね。
- 糸井
- そういう倫理観がじゃまをするのか、
休むことを一所懸命考えてる人って、
じつはあんまりいないんですよ。
- ハヤカワ
- そうなんですよね。
私、去年の前半くらいに、
２週間くらいまとめて休みを取ったんです。
でも３日くらいしたら、もう‥‥。
- 糸井
- つまんなくなっちゃうよね。
- ハヤカワ
- そう、つまんなくなるし、
やることがなくなってくる。
でも、そこから何をしようか考えはじめたら、
それはクリエイティブな時間ですよね。
「休む」とひとことで言っても、
じつはいろんな休み方があるんでしょうね。
- 糸井
- 誰も仕事をするためだけに、
生きてるわけじゃないんですよね。
人が生きていくことのなかには、
たくさんのおもしろいことがあって、
「あれもこれもやりたいことをやる」
というのが理想だとしたら、
仕事を休む罪悪感みたいなものはなくして、
ぜんぶがじぶんの時間なんだ、
という考えができればいいんだけど‥‥。
ただ、本気でそう思えるようになるには、
けっこう時間もかかるんですよね。
- ハヤカワ
- 経験の積み重ねというか。
- 糸井
- じぶんはダメだなって、何度も思うしね。
- ハヤカワ
- いやー、思いますね。
- 糸井
- 休むぞって言っても、
暇つぶしにしかならない。
- ハヤカワ
- あ、そっか。
普通に休むだけだと、暇つぶしになっちゃう。
- 糸井
- だから「何時間寝られるかやってみよう」
と思って寝るとしたら、
それは暇つぶしにはならないわけで。
- ハヤカワ
- 「長く寝ることを、やってみた」というか。
- 糸井
- 「テレビを観る」もそうですよね。
どう観るかによって、その時間は変わります。
- ハヤカワ
- 変わりますね。
- 糸井
- あと、じぶんがたのしくなくなったら、
それは休みのクリエイティブとしては、ボツね。
- ハヤカワ
- ああ、なるほど。
じぶんをたのしませてないから。
うーん、そうか。
- 糸井
- 東京の山手線、電車で１周したことってある？
- ハヤカワ
- あります。私、高校生のときにしました。
- 糸井
- それをやってる人と、
やってない人ってわかれますよね。
- ハヤカワ
- たしかに（笑）。
人生において無駄とも言えますからね。
山手線を１周するのって。
- 糸井
- でも、やってみようと思ったら、
そのまま電車に乗ってるだけでいいんです。
そういうことって、
やろうと思えば誰でもやれるんですよね。
で、そういうのをやった人は、
やっぱり次の何かをまた見つけますよ。
- ハヤカワ
- あー、そうですね。
そうやってちょっと意識するだけでも、
時間の使い方って変わりますね。
ただ時間をつぶすんじゃなく。
- 糸井
- 時間をつぶすんじゃなく、
時間をおもしろくする。
- ハヤカワ
- おもしろくする。
- 糸井
- なつかしい友だちと会ってうれしいときって、
ずっとうれしいじゃないですか。
- ハヤカワ
- うれしいです。
- 糸井
- なつかしいイヤな奴に会ってるときって、
ぜんぜんうれしくないじゃないですか。
- ハヤカワ
- 終始、イヤですね。
- 糸井
- つまり、うれしいはいい時間で、
うれしくないは悪い時間です。
- ハヤカワ
- そうですね。
- 糸井
- 休みをいい時間でいっぱいにするというのは、
いい人生のおおもとのような気がします。
- ハヤカワ
- ある意味、人生をデザインというか、
クリエイティブしていく感覚に
近いのかもしれないですね。
- 糸井
- そうかもしれないね。
だから後悔さえしなければ、
休みにダラダラしたっていいんだから。
- ハヤカワ
- それもたのしみのひとつですよね。
（つづきます）
2020-04-24-FRI