サウナ人気、まだまだ衰え知らず!
老若男女、猫も杓子も巻き込みながら、
いままたおもしろい展開になってきています。
そんなサウナブームが生んだ人気者、
サウナ大好き芸人のマグ万平さんをお呼びして、
ウィスキングのこと、海外サウナのこと、
注目トピックをいろいろ教えていただきました。
いま日本のサウナカルチャーは、
かなりスゴイことになってるみたいです。
全5回、どこを切ってもサウナ、サウナ、サウナ‥‥。

>マグ万平さんのプロフィール

マグ万平(まぐ・まんぺい)

お笑い芸人

1984年8月7日生まれ、福岡県出身。
プロダクション人力舎所属の
お笑い芸人(スクールJCA18期生)。
サウナが好きすぎてサウナ施設で働いたり、
フィンランドサウナ旅に出かけたり、
ロシア人からウィスキングを習得しちゃったり。
フィンランドサウナアンバサダー、
サウナ・スパプロフェッショナル。
マグ万平ののちほどサウナで(MROラジオ)』に
出演中です。
また、日本初のウィスキング集団
しらかばスポーツ」に所属しており、
ウィスキングの魅力を伝える活動をされています。

マグ万平さんの授業
サウナがあれば、人生なんとかなる。」は、
ほぼ日の學校で公開中です。

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03 海外のサウナはどうなの?

──
世界的に見ると、
いまサウナってどうなんですか?
万平
いまも世界的にブームです。
サウナの本場フィンランドでも、
3、4年前までサウナ離れがあったんですけど、
いまの日本と同じような感じで
若者たちがサウナシーンを引っ張ってます。
──
やっぱり本場はフィンランドなんですね。
万平
フィンランド人にとっては、
サウナは太陽と同じなんです。
電気もなかった時代から、
唯一からだを温められる場所だったので。
──
フィンランドの冬とか、
ものすごいっていいますもんね。
万平
場所によっては-20度とか、
ぜんぜん珍しくないみたいですね。
フィンランドって幸福度ランキングで
1位に輝いたりしている反面、
じつはうつ病患者も多い国なんです。
日照時間がすくないのが
その理由のひとつだそうで、
冬はずっと外が暗かったりします。
暗いし、寒いしで、
気分的にも落ち込むけど、
それでも生活していかなきゃいけない。
そんなときにからだを温められて、
おだやかで前向きになれる場所、
それがサウナ室だったりするんです。
──
サウナが生活の一部なんですね。
万平
ガスや電気もなかった時代は、
サウナ室の中で出産や手術や、
なんならお葬式もしていたそうです。
フィンランド語の「サウナ」には、
「生と死」という意味も含まれているそうで、
フィンランド人にとっては
サウナはそれぐらい神聖なもの。
生きるための原点。
──
それくらい大事な場所だと。
万平
サウナの原点は命であり、
サウナは「木と火と水と石」という
自然の物だけでつくるので、
ほんとうの意味で完全な自然体験なんです。
つまり、人工的なものがひとつもない。
ウィスキングも自然界にある植物を束ねて、
それに蒸気にあてて温めるので、
あくまでサウナの本質にそった体験です。
葉っぱでからだを叩いたりするのは、
ぜんぜんパフォーマンスじゃないんです。
──
エンタメでそうしてるわけじゃなく。
万平
エンタメ要素はひとつもなくて、
サウナそのものがそういうものなんです。
フィンランドでサウナに入ると、
やっぱりそういう文化的なものを感じます。

──
万平さんは番組のロケで、
世界のいろんなサウナに行かれてますが、
やっぱり国によってちがいますか。
万平
原理はそんなに変わらないですけど、
それぞれやっぱりちがいますね。
この前、オランダに行ったのですが、
オランダって運河が有名じゃないですか。
──
ええ。
万平
そもそもオランダは
国土がむちゃくちゃ狭いうえに、
街中に運河があちこちに走ってるから
車がぜんぜん使えなくて、
それで自転車大国になったそうで。
いま、そんなオランダで人気なのが、
「ハウスボート」っていう水上ハウス。
つまり、船の家。
──
船で生活するんですか?
万平
そうみたいです。
首都のアムステルダムだと、
家をあたらしく建てる土地はないし、
いまの建物も100年以上前のものだから、
古いし狭いし住みにくいってことで、
運河にボートを浮かべて、
そこで生活する人が増えているんですって。
──
船のほうが快適ってことですよね?
万平
そうなんだと思います。
つまり、そっちのほうが広いらしく、
そういうスタイルが流行ってるみたいです。
で、そのハウスボートの中に
サウナをつくった人がいるということで、
番組で取材させてもらったんです。
水上サウナに入って、そのまま運河にダイブ!
──
おぉー!
万平
とびこむ場所にもよりますけど、
自然環境がいいところは、
めちゃくちゃ気持ちよかったです。
「サウナしきじ」の水風呂くらいよかった。
──
そんなにですか(笑)。
万平
いい水風呂に入ったあとって
メントールのような爽快感があるんですけど、
それとまったく同じ現象になりました。
──
船の中にサウナをつくるってことは、
オランダ人もけっこうサウナが好きなんですね。
万平
オランダの隣がドイツなんです。
ドイツにはサウナ・スパ文化があるので、
その文化が入ってきてるんでしょうね。
日本みたいに温冷交代浴を
ガッツリやるって感じじゃなくて、
みんなでビール飲みながら
サウナでリラックスするっていう感じでした。
──
サウナのたのしみ方も
国によってぜんぜんちがうんですね。
万平
ぜんぜんちがいますね。
タイのときもびっくりしました。
「タイの人はサウナをこう捉えるのか」と。
そもそもタイって薬草大国なんです。
──
薬草‥‥つまり、ハーブ?
万平
そうです、そうです。
タイはハーブの種類がめちゃくちゃ多い。
料理にもたくさん使ってますけど、
古くから民間医療でも使われています。
だからタイのサウナはハーブが主役。
全身からハーブを摂取するために
サウナに入るっていう感覚なんです。
──
へぇーー。
万平
ぼくらはサウナに入ったあと、
水風呂に入って、ちょっと休憩して、
そこでととのって、という入り方ですよね。
それを繰り返して気持ちよくなるけど、
タイのサウナというのは、
最初からハーブの摂取が目的なんです。
ぼくにとってはそれが目から鱗というか。

──
ロウリュする水に
ハーブが入っているんですか?
万平
いや、タイは基本スチームサウナです。
外で大きな寸胴のような窯があって、
そこで延々とハーブをスチームするんです。
生のハーブとか乾燥ハーブとか、
サウナに入る人にあわせて調合するみたいで。
──
へぇー、おもしろい。
日本とぜんぜんちがいますね。
万平
人種と文化がちがうと、
こんなにも捉え方が変わるのかって、
あらためてサウナの奥深さを知りましたね。

(つづきます)

2023-01-07-SAT

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