サウナ人気、まだまだ衰え知らず!
老若男女、猫も杓子も巻き込みながら、
いままたおもしろい展開になってきています。
そんなサウナブームが生んだ人気者、
サウナ大好き芸人のマグ万平さんをお呼びして、
ウィスキングのこと、海外サウナのこと、
注目トピックをいろいろ教えていただきました。
いま日本のサウナカルチャーは、
かなりスゴイことになってるみたいです。
全5回、どこを切ってもサウナ、サウナ、サウナ‥‥。
マグ万平(まぐ・まんぺい)
お笑い芸人
1984年8月7日生まれ、福岡県出身。
プロダクション人力舎所属の
お笑い芸人(スクールJCA18期生)。
サウナが好きすぎてサウナ施設で働いたり、
フィンランドサウナ旅に出かけたり、
ロシア人からウィスキングを習得しちゃったり。
フィンランドサウナアンバサダー、
サウナ・スパプロフェッショナル。
『マグ万平ののちほどサウナで(MROラジオ)』に
出演中です。
また、日本初のウィスキング集団
「しらかばスポーツ」に所属しており、
ウィスキングの魅力を伝える活動をされています。
マグ万平さんの授業
「サウナがあれば、人生なんとかなる。」は、
ほぼ日の學校で公開中です。
- ──
- タイのようなハーブサウナ、
日本にもあるといいんですけど‥‥。
- 万平
- ありますよ。
- ──
- あるんですか!
- 万平
- おすすめは岐阜県です。
最近ずっと話してるんですけど、
いまぼくの中では岐阜県がアツい!
- ──
- 岐阜のどこにあるんですか?
- 万平
- ぼくのおすすめは
「恵みの湯」さんという温浴施設です。
そこは自社農園で
オーガニックハーブを育てていて、
その日に摘んだものを
「本日のハーブ」みたいにして
ディスプレイしてたりするんです。
- ──
- おぉ、まさにハーブが主役。
- 万平
- 横に工房が併設してあって、
そこでエキスを抽出したりして、
アウトプットまで一貫してやっています。
施設内のレストランでも
ハーブを使った料理を出していて、
それがまたおいしいんですよ。
- ──
- そんな施設が岐阜に‥‥。
- 万平
- じつは岐阜には「田辺温熱保養所」という、
日本古来の蒸気浴ができる施設があります。
そこは「薬草樽蒸し」というのが有名で、
そこも岐阜エリアの薬草を使っているんです。
- ──
- 岐阜ってハーブが有名なんですね。
- 万平
- 岐阜の歴史を調べてみると、
安土桃山時代の頃に、
織田信長が兵士の傷を癒やすために、
「ここで薬草をつくりなさい」と命じたそうで、
その当時、そのあたりの山に
めちゃくちゃ薬草が植えられたらしいんです。 - 岐阜に「伊吹山」という山があって、
そこに和ハーブがたくさん育っています。
織田信長の時代から脈々と受け継いだ
ハーブのための知識や技術が、
じつは岐阜にはぜんぶそろっていたんです。
- ──
- ぜんぜん知らなかったです。
- 万平
- さっきのウィスキングもそうですけど、
植物はサウナに欠かせないので、
今後、岐阜はすごいことになると思います。
あのあたりは水もいいですから。
- ──
- いい条件がぜんぶそろってると。
- 万平
- 自然体験という視点で考えていくと、
サウナってもっとおもしろくなります。
じぶんもそうだったんですけど、
「水風呂何度?」とか「サウナ何度?」とか、
そういう考えから一回離れると、
たのしみ方はもっともっと広がります。
- ──
- もっと自由でいいんですね。
- 万平
- そうなんです。
サウナはぜんぜん難しくないですから。
- ──
- いまの岐阜の話をうかがってると、
日本のサウナ文化も世界に負けてないですね。
- 万平
- ぜんぜん負けてないです。
むしろ日本の蒸気浴文化は、
タイのハーブサウナに近いと思います。 - 結局、病院とかがなかった時代、
からだの調子が悪くなると、
お寺のお坊さんに相談して、
「そういうときはこうしなさい」とか
アドバイスをもらっていたそうなんです。 - お寺にそういう役割があったから、
薬草で蒸気浴のできる部屋があって、
そこで治癒するっていうのは
すごく自然な流れだと思うんです。
実際、奈良時代につくられたお寺にも
サウナ室が残ってたりするそうです。
- ──
- お寺にサウナがあるんですか?
- 万平
- あります、あります。
そういう空間が残っていたりします。
蒸気浴ができるお寺って、
けっこうあったみたいなんです。
- ──
- そういわれてみたら、
日本人がお湯に入りはじめたのも、
たしか明治になってからですよね。
- 万平
- 江戸時代までは蒸気浴のほうが
一般的でしたからね。
- ──
- じつはそうなんですよね。
- 万平
- そもそもお風呂って漢字だと
「風」と「呂」って書きますよね。
昔のお風呂の入り方って、
地面のくぼみの中で石を熱して、
それに水をかけて、
発生した蒸気を「風」といっしょに浴びて、
それでからだを温めていたそうです。
ちなみに「呂」というのは、
岩のくぼみとか洞窟っていう意味。
- ──
- だから「風呂」なんですね。
- 万平
- サウナの本場のフィンランドは、
こうでこうでって話をしてきましたけど、
じつは日本にも日本のサウナ文化が
ちゃんと昔からあったりするんです。
- ──
- われわれも昔からサウナに入ってたと。
- 万平
- だから「世界のサウナはすごい」とか
ぼくもいろいろ話しますけど、
ほんとうは「日本もすげえぞ」って思ってます。
- ──
- 奈良時代からですもんね。
- 万平
- ちなみに仏教には
「温室経」(仏説温室洗浴衆僧経)っていう、
サウナのお経まであります。
「みんなサウナに入れよ」
「サウナに入るならこの道具もってけよ」
っていうのを唱えるお経です。
- ──
- そんなのがあるんですか!
- 万平
- それがあるんです。
お経の中で当時のシャンプーとか、
からだを洗う布切れとか、
楊枝も忘れんなよって。
- ──
- 楊枝?
- 万平
- いまでいう歯ブラシですね。
つまり、長い時代を経て、
お風呂のスタイルはいろいろ変わったけど、
蒸気を浴びるっていうのは、
いまも昔もじつはいっしょってことなんです。
- ──
- ぐるっとひと回りして、
元の場所に戻ってきたわけですね。
- 万平
- いいとか悪いとか別にして、
日本は高度経済成長期に、
いわゆるストロングスタイルの
ドライサウナ一辺倒になっちゃったんです。 - でも、本場のフィンランドを参考にして、
どういうのが気持ちいいんだろうって
立ち止まって考えてみた結果、
「あ、じぶんたちもそうだったじゃん」って。
- ──
- こうやって知ると、
日本のサウナ文化もおもしろいですね。
- 万平
- そう、めちゃくちゃおもしろいですよ。
(つづきます)
2023-01-08-SUN