京都のアサヒビール大山崎山荘美術館で、
みうらじゅんさんの「マイ遺品展」が開催中です。
京都といえば、みうらじゅんさんの故郷。
おそらく「故郷に錦」のすごい展覧会に
ちがいありません。
そこで、いつもみうらさんにお世話になっている、
ほぼ日の見習い乗組員の鳥、シジュちゃんが
美術館におじゃますることにしました。
なぜなら展示の中にシジュちゃんの写真もあるという
情報を聞きつけたからです。ほんとうにあるのかな‥‥?
みうらさんが館内を案内してくれます!

みうらじゅんさんのOFFICIAL SITE

見習い乗組員シジュとは

背景:みうらじゅん「コロナ画」より
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第1回

「マイ遺品」って、なんですか?

シジュ
こんにちは。今日は、京都の山崎にある
アサヒビール大山崎山荘美術館に来ているんだジュ。
ここではみうらじゅんさんの
「マイ遺品展」を開催中なんだジュけれども、
みうらさん、
マイ遺品って、どういう意味だジュか。
みうら
あのう、あれだよね、
えーと、僕のね。
シジュ
‥‥みうらさんは、いま一瞬だけ、
こういう漠然とした質問に答えるのが、
面倒くさくなっただジュよな?

みうら
いやいや(笑)、この状況でね、
俺はシジュちゃんについて
くわしく説明したほうがいいんだろうなと
思ったんだけど、
いま、話すべきは自分のことだよね。
シジュ
そうそう。
この美術館に謎の銀の巨大鳥が
いることじたいが、
いちばんの疑問符だけど、それはおいといて。
マイ遺品って、どういうことだジュか。
みうら
生前から「集めているもの」が、
みなさんにもあるでしょう。
それを「マイ遺品」と呼んでいこうという、
これは一種の運動のようなものなんだよ。
シジュ
へぇ、運動か。
みうら
運動とか、活動ね。
こうして集めてしまうものを
いまから「マイ遺品」とでも言っておけば、
周りの人たちも
「しょうがないな」ってことで
容認してくれるんじゃないかな、と
僕は踏んでいるんですよ。
シジュ
ああ、なるほど。
「これはあの人の遺品だから」と‥‥。
みうら
「コレクション」という言い方だと、
亡くなったあとに
「これ、どうすんだ」ということに
なってしまいがちです。
シジュ
処分するほうも困るよね。
みうら
それを見越してなのでしょうか、
生きているあいだから
「もう、集めるのやめろ」って
言われがちになりますでしょ。
シジュ
「あなた、あんまり集めるのもどう?」
とかって。
みうら
そうそう。
そこを「マイ遺品」と言っておけば、
「あ、それならもう、どうぞどうぞ」
ということにならないかなと思ったんですよね。
シジュ
いま集めてる段階で、前もって
そう言っておくんだね。
「遺品ならしょうがないな」と思うもんね。
みうら
だってさ、
「遺品を集めるな」と言うなんて、
ちょっと失礼にあたる気がするでしょう?
シジュ
そうだジュね。
みうら
これはまあ、言いわけ的なことなんだろうけどさ。
シジュ
言葉の言いわけね。
みうら
うん、僕の人生自体が
言いわけだからね。

シジュ
そういう意味ではさ、
自分たちは生まれたときからずっと、
遺品を集めてるとも言えるだジュね。
みうら
そうだね。
生まれたときから余生の
カウントダウンがはじまっているようにさ。
シジュ
そうだジュな。
みうら
余生といったって、
「もう歳だから」なんてことではじまる
わけじゃないんだ。
生まれた瞬間から
最後へのカウントダウンがはじまる。
それと同じように、
遺品のカウントダウンも
はじまってるわけさ。
シジュ
ほんとうだね。
いま、心から理解した。
みうら
じゃ、展示を見ていこうか。
このマイ遺品たちは、ある意味、
僕が断腸の思いで集めたものなんです。
シジュ
いまいるこの部屋、
ここの見どころは何だジュか。
みうら
「見どころ」って言われても
困るんだけどさ。
あのう、今回は会場が京都でしょ?
シジュ
うん。
みうら
ここは一応、僕の生まれ故郷なわけですよ。
シジュ
あ、そかそか、みうらさんは京都出身だジュね。
みうら
だから、シジュちゃんから当然
そういう質問があるだろうと思って、
それだけ考えてきたけど、
質問がないから、いま言うけどさ。
シジュ
あ、うん、わかったわかった、
ごめん、ごめん(笑)。
みうら
「ということは、みうらさん、
この展覧会で故郷に錦を飾るんでしょう?」
という質問が、てっきり出ると思ったんだ。
その質問が出たと仮定して、ね?
シジュ
「故郷に錦を飾るんでしょう?」
みうら
「うーん、錦は飾ってないけど、
ゴムヘビは飾ってますよ」
そう言おうと思ってた。
シジュ
わははは、そっちのほうがいいよ。
みうら
うん。僕にとってそっちのほうが、
故郷に錦を飾ったことになるのかな、と
思ってるんだ。

このときのふたりのおしゃべりのようすを、
よかったら、動画でごらんください。

(明日につづきます)

2022-01-18-TUE

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  • アサヒビール大山崎山荘美術館
    開館25周年記念
    みうらじゅん マイ遺品展
    2021年12月18日(土)– 2022年3月6日(日)

    みうらじゅんさんが長年にわたり収集、制作し、
    自ら「マイ遺品」と名づける品々を、
    出身地である京都の地で一挙に公開する展覧会。
    ゆるキャラ、いやげ物、スクラップ、ヘンヌキなどの
    みうらさんの「マイ遺品」が
    国の有形文化財として登録されている「大山崎山荘」と
    安藤忠雄さん設計の「地中館・山手館」からなる
    静かな美術館にずらっと並ぶさまは、圧巻です。
    京都の歴史ある空気を味わいながら実感する、
    みうらじゅんさんの偉業のかずかず、
    ぜひおたのしみください。

    カフェでは特製のどらやきも食べられます。

    【会場】アサヒビール大山崎山荘美術館
    〒618-0071 京都府乙訓郡大山崎町銭原5-3
    JR山崎駅または阪急大山崎駅より徒歩約10分
    【開館時間】10:00 – 17:00(最終入館 16:30)
    【休館日】月曜日(ただし、祝日の場合は翌火曜)