現代美術作家の加賀美健さんは、ヘンなものを買う。「お金を出してわざわざそれ買う?」というものばかり、買う。ショッピングのたのしみとか、そういうのとは、たぶん、ちがう。このお買い物も、アートか!?あのお買い物を突き動かすものは、いったい何だ。月に一回、見せていただきましょう。お相手は「ほぼ日」奥野です。

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加賀美健(かがみ・けん)

1974年東京都生まれ。現代美術作家。国内外の美術展に多数参加。彫刻やパフォーマンスなど様々な表現方法で、社会現象や時事問題をユーモラスな発想で変換した作品を発表している。

https://kenkagamiart.blogspot.com/
instagram: @kenkagami

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買ったもの_その17

「かっぱのグッズ」

幼少期、気づいたらかっぱの沼に足を取られてました。探しましたもん、近所の川とか池とか「いそうなところ」を。棒きれで茂みをガサゴソしながら「かっぱさ~ん‥‥」とか呼びかけたりして。会えませんでしたけどね、結局。でも、いまだに「誰に会いたいですか」と聞かれたら「かっぱ」って答えると思う。だって大人になったいまも、こうして「かっぱのグッズ」を集め続けてるし‥‥。今日みなさんにお見せするのは、中でも宝物。火事になったら真っ先に抱えて逃げるやつです。自分には、ゆるぎない「かっぱの中のかっぱ」のイメージがあるんですよ。あたまの中に「理想のかっぱ」が住んでいる。そのかっぱは、ふたつのイメージを持っています。それは「かわいらしさ、ファニーさ」「不気味さ、気持ち悪さ」です。ぱっと見かわいらしいんだけど、ふとした瞬間めちゃくちゃ不気味。ギュッとしたくなるほどキュートなのに、どうもニオイが生臭い。そういうかっぱが、理想のかっぱ。その二面性を体現しているのが、このふたつのお宝なんです。
両方ともAmazonで買った量産品じゃなくて、メルカリで見つけた1点ものです。みなさんも学芸会とか結婚式の余興で、かっぱの役がまわってきたりしますよね。そういうときって、顔だけ量産品で済ませてあとは緑の全身タイツでいいかみたいな、適当なことしがちでしょ。「かっぱって、こんなもんだよね」的な、その雑な感じが嫌いですね。そもそも最近の量産品に、ひとこと言わせてもらっていいですか。買ってもらおうとしすぎ。気に入ってほしそうな顔をしてすぎ。ぬいぐるみでも、イラストでも、かぶりものでも何でも。かっぱって、そんなんじゃないから。かっぱを人間の側に寄せちゃダメなんです。かっぱはかっぱのままでいい。むしろこっちから寄っていかなきゃ失礼です。その点どうです、この頭像とか。寄せてないでしょ、人間に。気に入られようとしてないじゃない。むしろ死ぬほど怖いですよね。これつくった人、完成した瞬間に息絶えたんじゃないかってくらいの壮絶なクリエイション。ダウンタウンの「ごっつええ感じ」で「かっぱの親子」ってコントがあったんです。あのかっぱの完成度って相当高いと思うんだけど、負けてないもんね。ああ、こういう話がしてみたいなあ。同好の士と。かっぱについて。「オレ、かっぱに会ったことあるんだけどさ」とかそういう人と。「俺がかっぱだ」とかね、面倒くせえだろうなあ(笑)。でもね、語り合ってみたいんです。飲めないけど、かっぱの黄桜でも酌み交わしながら。朝まで、かっぱの話を。

舌鋒が鋭い! かっぱに関して。苦言を呈している! 量産型のかっぱに対して。それだけ譲れない何かがあるんでしょうね、かっぱについては。加賀美さんって比較的テンションの乱高下しない人だと思ってたんですが、いいと思います! かっぱに捧げるマグマのような情熱にふれ、心を大きく動かされました。正直かっぱについては興味がアレでしたが、がぜん気になっている自分がいます。

加賀美さんの「カッコいい」

麦わら帽子にグラフィティのステッカーhat

夏の日差しが強い日などには麦わら帽子が役に立つと思うんですけど、「ちょっとダサいかな?」と躊躇してしまうことがありますよね。そんなとき、グラフィティのステッカーを貼ってみてください。あっという間にストリート感が出ます。これ、マジでおすすめします。カッコいい。

2023-07-16-SUN

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