昨年20歳を迎えた鈴木福さんには、
お話ししてみたい人がいました。
幼いころから国民的スターだった鈴木さんと、
目線を揃えてお話しできる人って‥‥？
聞いて納得です。
そのお相手は、鈴木さんの11年先輩で、
同じく子役時代から活躍する神木隆之介さんでした。
ともに替えのきかない俳優であると同時に、
「ふつう」に生きているおふたりの対談。
動画の「ほぼ日の學校」と、
このよみもの連載でお届けします。
鈴木福（すずき・ふく）
2004年6月17日生まれ。東京都出身。
1歳の時に『いないいないばあっ!』 でデビュー。
子役として様々なドラマ作品に出演し注目を集め、
現在も俳優としてドラマや映画に出演中。
このほか2023年4月からは
『ZIP！』木曜パーソナリティーを務めるなど、
活躍の場は多岐にわたる。
『鈴木福 フォトエッセイ 笑う門には福来る』
が好評発売中。
神木隆之介（かみき・りゅうのすけ）
1993年5月19日生まれ。埼玉県出身。
1995年、CMでデビュー。
2005年に主演を務めた映画『妖怪大戦争』で
第29回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。
以降様々な作品に出演し、
2020年エランドール新人賞、
2024年に第66回ブルーリボン賞主演男優賞、
第47 回日本アカデミー賞優秀主演男優賞、
第32回橋田賞受賞、
第61回ギャラクシー賞テレビ部門個人賞受賞。
昨年10月に放送されTBS日曜劇場
『海に眠るダイヤモンド』での好演が記憶に新しく、
舞台地である長崎にて４月にトークイベント
「神木SAin長崎」の開催を予定している。
- 神木
- 「ダサくてもいい」という意識と同じくらい、
これからの福くんにとって大事になってくるのが、
ちょっとの反骨心だと思います。
- 鈴木
- 反骨心。
- 神木
- 「よーし、受けて立ってやる」という、
反骨心は絶対に持っていたほうがいいです。
いやなことを言われたら
「ほーっ、そう言いますか。
ふーん、じゃあやってやるよ」と、
心のなかで燃えるんです。
ここ一番の勝負の場面でも、
「ん？ この鈴木福を舐めてかかってる？」
くらいに思っておいて、
「じゃあ、舐めてかかってきていただいて、
僕が勝っちゃいますよ」って。
- 鈴木
- ‥‥じつは僕、ずっと、
けっこう大きめの反骨心を、
このへん（胸のあたり）に持って生きてるんです。
- 神木
- そうなんですか！
もう、ぜひ出してほしいです。 - たぶん、「福くんが小さかったころに
抱いていたイメージと違う」という声は、
これから先も入ってきます。
でも、そのイメージは、
「その人のなかの福くん」なだけで、
時間も止まっています。
なので、「小さいころの福くんは見てたけど、
いまはどんな性格なのか知らないな」
という方も、
「えっ？ いまの福くんって、
こんなおもろい人なんだ」と、
新たにファンになるかもしれません。
いまの福くんの素を見せることは、
決して悪いことではないと思います。 - 「今回は、どこまでほんとの鈴木福を
見せちゃおうかな」みたいな感覚で、ちょっとずつ、
生きやすいほうに転換してみてほしいです。
- 鈴木
- 現時点では、テレビで出している自分が
そこまで本来の自分から離れてはいないので、
「苦しい」というところまでは行っていないんです。
でも、このまま本来の自分から離れていって、
素の自分を隠して苦しくなってしまわないよう
気をつけようと思います。
- 神木
- うん、うん。だから、もし
「ほんとはこの番組、本音を隠さなきゃいけなくて
つらいんだよな」と感じる番組があったりしたら
‥‥ほんものの福くんじゃなくて
福くんのCGに出演してもらって、
だんだん映像を薄くしてもらうとか（笑）。
- 鈴木
- （笑）
- 神木
- 「自信はないけど、挑戦してみよう」
と感じられるお仕事もあるけど、
「ほんとにどうすればいいのかわからない。
自分を活かせる道が見つからない」
という依頼も、きっとあります。
その場合は、勇気を出して断っていいと思います。
- 鈴木
- そうですね。
いろいろなお仕事をいただくなかでも、
「俳優」という軸を絶対になくしたくないので、
まずは「関われてよかった」と思える作品を
増やしていきたいです。
- 神木
- 俳優として、福くんは今後、やってみたい役はある？
- 鈴木
- アクションができるようになりたいです。
だけど、ほんとに、どんな役でもやりたいです。
「どんな役をやりたいの？」と訊いていただくことは
ときどきあるんですが、もらえる役ならなんでも、
というのが正直な答えです。
- 神木
- おおーっ、そうなんだ。
みんなが持っている「鈴木福」くんの
イメージを、役者として覆していくなら、
いま持たれているイメージと逆の役を演じるのが
一番の近道かもしれないね。
それこそ、きょうのお話に出た、
自分自身と離れた役とか。
あ、でも、その「イメージと逆の役」も、
板についたら終わりではありますね。
- 鈴木
- たしかに。
- 神木
- 年齢とともに演じられる幅も広がっていくから、
あまりひとつのパターンにこだわらず、
「こっちもやってみようかな」
「ちょっと戻してみようかな」
「今度は、こっちに行ってみようかな」と、
フットワーク軽くチャレンジするのが
いい気がします。 - 怖い役もやってみてほしいし、
「ええっ、福くんってこんなに動けるの！？」
とみんなをびっくりさせるような
アクションもやってみてほしいし‥‥
ごめんなさい、つい「僕が見てみたい福くん」
のことばかり話してしまいました（笑）。
- 鈴木
- いえいえ、いろんなお話ができて、
きょうはほんとにうれしかったです。
自分がいま感じているものや、
今後感じるであろうことを察してくださって。
「ああ、お聞きできてよかったな」という
言葉をたくさんいただきました。
- 神木
- 僕のほうこそ、たのしかったです。
子どものときから気になっていた
「なんで福くんはあんなにしっかりしてるんだ？」
という謎も解けましたし。
- 鈴木
- （笑）
- 神木
- 福くんが経験していて、
僕が経験していないものごとや感情を
フレッシュにお話しいただいたので、
すごく勉強になりました。
そして、福くんはパワーがあるから、
これからも絶対大丈夫だと思いました。
- 鈴木
- がんばります。
- 神木
- 大丈夫。がんばれるよ。
- 鈴木
- ありがとうございます。
また、ぜひお話しさせてください。
いつか共演できるように、
一所懸命進んでいきます。
- 神木
- こちらこそ、がんばります。
そのときは、よろしくお願いします。
- 鈴木
- お願いします！
- 一同
- （大きな拍手）
（終わります。お読みいただき、ありがとうございました）
2025-03-17-MON
-
日時：2025年4月18日（金）
17:30開場/18:30開演
場所：べネックス長崎ブリックホール
詳しくは、イベント特設サイトにて
ご確認ください。
鈴木福さんが20歳の節目に出版した、
初のフォトエッセイです。
子役時代からいままでを俯瞰的に振り返り、
周囲の人々への感謝をつづった文章から
まっすぐなお人柄を感じました。
ご両親との対談、亀梨和也さんとの対談も。
■神木隆之介さんスタイリスト：吉本知嗣
衣装クレジット：靴 ランバン コレクション■鈴木福さんスタイリスト：作山直紀
■鈴木福さんヘアメイク：堀川知佳
■スチール撮影：立松尚積
■企画：下尾苑佳
■書き手：松本万季
■デザイン：志田公代