2020年の年末、ほぼ日は
神田の町に引っ越してきました。
はじめてのこの町をもっと知りたいし、
もっと知ってほしいと思っています。
そこで、日本全国のすべての市町村を回った
若き写真家、かつおさんこと仁科勝介さんに
神田の町を撮ってもらうことにしました。
自由にやってください、かつおさん。
かつお|仁科勝介(にしなかつすけ)
写真家。1996年岡山県生まれ。
広島大学経済学部卒。
2018年3月に市町村一周の旅を始め、
2020年1月に全1741の市町村巡りを達成。
2020年の8月には旅の記録をまとめた本、
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)を出版。
写真館勤務を経て2020年9月に独立。
2021年10月から2022年8月にかけて、
東京23区の490ある全て駅を巡る
プロジェクト「23区駅一周の旅」を完遂。
そこで撮影した、東京のささやかな日々を
まとめた写真集『どこで暮らしても』を
2022年11月に自費出版。
2023年春から新プロジェクト始動予定。
#095
モスクの礼拝
日本にあるモスクの数は100カ所を越えるという。
モスクはイスラム教徒が1日に5回、
聖地メッカの方角へ祈りを捧げる場だ。
東京では代々木上原にある「東京ジャーミイ」が、
日本最大級のモスクとして知られている。
イスラム教徒の方と知り合うきっかけがあって、
神田須田町にあるモスク
「マスジドヌサンタラ秋葉原」
に連れて行っていただいた。
「モスク、大丈夫ですか?」
と気を遣ってもらったけれど、
大学の母校はイスラム教徒の留学生が多かった。
食堂にはあたりまえにハラル料理があったし、
大学近くにはモスクがあって
礼拝をしたこともあったから、
抵抗感みたいなものはなかった。
むしろ、神田にモスクがあると知って驚いたのだった。
さて、ビルの5階に上がると、
こぢんまりとした部屋に礼拝用のマットが並んでいた。
まもなく午後の礼拝で、
イスラム教徒の方々が
「やあ」という感じですっと入って来る。
どこの国のご出身か、聞くのを忘れたけれど、
みなさん笑顔で迎えてくださって、ほっとした。
久しぶりの礼拝だった。
みなさんを真似ながら、アッラーに祈りを捧げた。
10分ほどだろうか、長くも短くも感じる。
みなさんは毎日、いや、1日に5回、
礼拝をしているのだろうかと想像すると、
敬虔な生き方はかっこいいなと思った。
そもそも、
この場所にモスクがあることにも、
敬虔の念を感じる。
ハワイに出雲大社があるみたいに、
国境を越えて自文化があったら、
素直にうれしい気がするもの。
モスクは日本で暮らすイスラム教徒の方々の、
コミュニケーションの場になっている、
と教えてもらった。
多分、それはイスラム教に限らない話だろう。
異文化、多文化、自文化、
日本にもいろんな立場や文化があることを、
誰でも知っているのだから、
真っ先に肯定とか否定とか、
二元論にするのではなくて、
ここにモスクがある、
という変遷に、意味があるのだと思う。
アッサラーム・アライクム。(あなたの上に、平安を。)
2022-01-06-THU