朝の西神田公園ですずめが鳴いている。
しんと静かな朝の空気と、
高い建物に囲まれているせいか、
チュン、という鳴き声のおしりにエコーがかかっている。
チュンッッ、という透き通った明るい響きである。

それにこの日は公園へ来るまでに、
黄色い帽子をかぶった小学生と目が合って、
「おはようございます」と挨拶できた。
素直な眼差しの小学生は
そのまま挨拶を返してくれたものだから、
小さな喜びをおすそ分けしてもらった気がして
心がほくほくしている。
そうしてふらふら歩いた先に、
西神田公園を見つけたのだった。
正方形の冷たい石の椅子に座りながら、
頭の中では「今日は悪くないなあ」
ぐらいのことをぼんやり思いながら、
Twitterでも開いただろうと思う。
とりとめのないひと休憩。

西神田の地域はなかなか
写真を撮ることができていない。
意識して歩いてはいるのだけれど、
良い感じの光が当たりにくくて、
やや撮りづらいのだ。
良い感じの光、
といってもそれはあくまで
ぼくの好みのことであって、
まちは何ひとつ悪くない。
むしろ、腕が鳴るぜという
気持ちで撮らなければいけない。
そして、解決方法は
とにかく「歩くこと」である。

光を探していた西神田だったが、
今朝の西神田公園は、
抜群の朝日が差し込んでいた。
晴れた朝であれば、
毎日いい光が差し込んでいるじゃないか。
気づいていないだけだった。
さらに、右手のブランコ前の柵に、
お母さんが腰をかけていた。
素通りしても構わないような日常が
日常として目の前にあること。
立ち止まって、
あれっ、と思い直したとき、
素通りしても構わないような日常は
どれだけ幸せなことだろうという気持ちに昇華する。
雰囲気をおさめるつもりで、
ピントを思い切り外して撮った。

公園を出て、
近くにあるお気に入りのサンドウィッチ屋さんで、
いつもより贅沢してエビカツを買った。