友達がつけている香水の香りや、
遊びに行った家の、印象的な香りに、
「わあ! どこの香り?」
こう聞いてしまったことが、
いちどはあるのではないでしょうか。
その香りを選んだきっかけや、
製品が作られた背景を聞いて、
より好きになってしまったりして。
慌ただしく家事をしたり、
考えごとをしているときでも、鼻は自由です。
あたらしい、お気に入りの香りと出合うことは、
生活をうれしくしてくれることだなあ、
という考えに賛同したメンバーが集まって、
たのしみ展限定のお店を作りました。
名前は「いつもそばにある香りの店」。
いま会ってみたい10人のアーティストや
クリエイターに、愛用の香りを聞きました。
ハンドクリームからお香、ディフューザーまで、
素敵な10の香りのアイテムを、
ぜひ会場でためしてみてください。
- 10名のキュレーターから、
3名のかたと、その愛用の香りをご紹介します。 - おひとりめは、石井佳苗さんです。
- インテリアスタイリストとして、
さまざまな雑誌や広告、
カタログで活躍される石井さん。
昨年出版された御本『Heima』を読んだ乗組員が、
石井さんの物を選ぶ眼や暮らしとの向き合いかたに、
とても大きな刺激を受け、
生活のたのしみ展でご一緒したい! と
出演をお願いしたのでした。 - 普段はとりたてて人に知らせることもない、
その人の一番近くにある香りを教えてもらうことは、
秘密を分けてもらうような感じがします。
- 石井さんが挙げてくださったのは、
あさ(ASA)という名前のお香です。 - 「香りはもともと好きだけれど、ここまで、
定番となっているお香はほかにありません」
こう石井さんは言います。 - このお香を作っているのは、
東京香堂というブランドです。
丹精込めて栽培された国産の大麻(おおあさ)の、
茎の部分を麻炭にして、お香に仕上げています。
- 太古の昔から、神事に欠かせないものだった大麻。
また、茎からは丈夫な繊維が取れ、
衣類や紙に欠かせないものとして、
古くから日本で栽培されてきました。 - 石井さんに出演をお願いした乗組員も、
すぐに同じお香を買い、毎日焚いているそう。
使ってみて、どうですか? - 「毎朝ベッドルームで焚いています。
ふとんとシーツをととのえて、
床に掃除機をかけたら、5分換気をして、
それから、お香の出番です。
焚き火のそばにいるような、
懐かしいような、安心するような、
あたたかみのある香りなんです。
夜の間にこもってしまった空気を清め、
新しい1日をはじめられる気がします。
以前、友人が家に遊びにきたときに、
お寺の香りがする!いいね!
と言ってほめてくれたことがあったんです。
うれしいような、でも、
強い印象がありすぎる香りも、
毎日使うにはちょっと違う気がしていました。
この麻の香りは、強く主張しないのに、
心をとらえて好きにさせてしうまう、
毎日使いたくなる不思議な香りです」 - 朝一番に麻の香りを焚く、というのは、
石井さんも実践されている使いかたです。 - 「ほのかで神聖な空気が部屋に立ち込めると
途端に部屋と気持ちが整います。
こんなお香は初めてです」(石井さん) - 暮らしとインテリアのプロフェッショナルとして、
世界中の「いいもの」を見てきた石井さんが
選んだとっておきの香りを、
生活のたのしみ展の会場で
ぜひ感じてみてくださいね。 - 明日は、フランス在住で、
植物原料のスペシャリスト、
ジル・べートゥミュウさんが登場します。
2023-04-27-THU