友達がつけている香水の香りや、
遊びに行った家の、印象的な香りに、
「わあ! どこの香り?」
こう聞いてしまったことが、
いちどはあるのではないでしょうか。

その香りを選んだきっかけや、
製品が作られた背景を聞いて、
より好きになってしまったりして。

慌ただしく家事をしたり、
考えごとをしているときでも、鼻は自由です。
あたらしい、お気に入りの香りと出合うことは、
生活をうれしくしてくれることだなあ、
という考えに賛同したメンバーが集まって、
たのしみ展限定のお店を作りました。

名前は「いつもそばにある香りの店」。
いま会ってみたい10人のアーティストや
クリエイターに、愛用の香りを聞きました。
ハンドクリームからお香、ディフューザーまで、
素敵な10の香りのアイテムを、
ぜひ会場でためしてみてください。

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02 ジル・べートゥミュウさん

 
いつもそばにある香りのお店では、
10人のかたの愛用の香りを紹介しています。
その中から、3名のかたにご登場いただきます。
おひとりめの石井佳苗さんに続き、
おふたりめは、ジル・べートゥミュウさんです。

100%有機の自然原料(精油など)を扱う会社「シリウス」を1994年に設立。化粧品、健康食品、ハーブティなど、クライアントの求めるものを作り、その多くが、フランスの国際有機認証機関「エコサート」の基準をクリアしています。 100%有機の自然原料(精油など)を扱う会社「シリウス」を1994年に設立。化粧品、健康食品、ハーブティなど、クライアントの求めるものを作り、その多くが、フランスの国際有機認証機関「エコサート」の基準をクリアしています。

 
ジルさんは、ほぼ日が手がけるビューティブランド、
Shin;Kuu(シンクー)のスキンケアの香りの一部を
担当してくださっています。
肩書きは植物原料のスペシャリスト。
15世紀に建てられた、南仏のラ・セール城の中に
オフィスとラボを構えています。
ご自分で植物を育てることはもちろん、
世界中の生産者をまわり、
100%オーガニックの植物を集め、
貴重で高品質な精油を作っています。
その精油を、化粧品や食品、サプリメントなどに
ブレンドするのが、ジルさんの仕事です。
シンクーの商品の中では、
3種類の化粧水「ウェルカムウォーター」、
スプリング クリーム、オイル、
美容液スターティングなどに、
ジルさんの選んだ精油が使われています。
どれも深呼吸したくなるような魅力があって、
スキンケアのアイテムどうしを重ねても、
ストレスに感じず、むしろ、
精油の香りが重なることで、
より深さや心地よさが増す配合になっています。
 
シンクーチームのスズキに、
ジルさんとの化粧品作りについて聞きました。
「化粧品を作るための工程のなかで、
一番たのしみにしているのが、
フランスのジルさんから届く
試作品を開封する瞬間なんです。
ああーーーーっ、いい香り!
もう、これ以外に言葉が出ないんです。
これまでに嗅いだことがないような、
複雑で、とらえきれないミステリアスさ。
でも、どこか懐かしくて、落ち着く感じ。
どうしてこんな香りを思いつくんだろう?
そして、作れるんだろう?
って、感激でいっぱいになります」
そんな素敵な香りを、肌につけるだけでなく、
ジルさんご自身の自宅で使いたくなるような、
商品にしてもらえませんか?とお願いしました。
そうして生まれたのが、
生活のたのしみ展限定のアロマ ディフューザーです。
いくつも試作品を作っていただいたのですが、
結局、ひとつに絞り切ることができず、
2種類のアロマディフューザーを作りました。
香りをご紹介しましょう。
ひとつめは、Jazzy Nightといいます。
ブラックペッパーやイランイラン、
ヴァニラを組み合わせた香りで、
どこか日本の寺院で焚きしめられる
お香にも似ていると感じます。
心の深いところに響いてくるような、
素敵な香りです。

左2点がアロマ ディフューザー  Jazzy Night、右2点がアロマ ディフューザー Sunny Delight。それぞれ、写真家の北村圭介さんに写真を、イラストレーターのいとう瞳さんにイラストをお願いしました。香りは2つ。パッケージデザインは4種類。インテリアに合わせて、好きなものを選んでください。各4,400円(税込) 60ml ※いずれも生活のたのしみ展会場でのみ販売します。 左2点がアロマ ディフューザー Jazzy Night、右2点がアロマ ディフューザー Sunny Delight。それぞれ、写真家の北村圭介さんに写真を、イラストレーターのいとう瞳さんにイラストをお願いしました。香りは2つ。パッケージデザインは4種類。インテリアに合わせて、好きなものを選んでください。各4,400円(税込) 60ml ※いずれも生活のたのしみ展会場でのみ販売します。

 
ジルさんの頭の中では、こんなシーンも
イメージされていたそうです。
「たとえば、夕暮れどきに、ひとり、
上海のシャングリラホテルのルーフトップバーから、
メコン川を見ながらカクテルを飲む時間かな」
パッケージのデザインは、
写真家の北村圭介さんと、
イラストレーターのいとう瞳さんにお願いしました。
おふたりの作品が、容器の向こうに
透けて見えるデザインになっています。
 
ふたつめは、Sunny Delightといいます。
柚子、ローズウッド、サイプレスや
ベチバーといった精油が配合されています。
シトラスの清潔感とポジティブさに、
土や根の包みこむような深い香りや、
スモーキーなニュアンスも加わって、
思わず深呼吸したくなります。
 
ジルさんのメモを見せていただくと、
こんな風にありました。
・プロヴァンスの、もしくは、
 コモロ諸島のイランイラン畑の夏の強い日差し
・森の奥に立ったときに訪れる、
 深いインスピレーション
こちらも、北村圭介さんの写真と、
いとう瞳さんのイラストが、
容器の向こうに透けて見えます。
おふたりの写真とイラストは、
こんなふうに、パッケージでもたのしめます。

北村圭介さんの写真。北村圭介さんプロフィール/1987年群馬県生まれ。スタジオエビスを経て2011年から横浪修氏に師事し、2014年独立。雑誌、カタログ、広告、web媒体で活動中。 北村圭介さんの写真。北村圭介さんプロフィール/1987年群馬県生まれ。スタジオエビスを経て2011年から横浪修氏に師事し、2014年独立。雑誌、カタログ、広告、web媒体で活動中。

こちらは、いとう瞳さんのイラスト。いとう瞳さんプロフィール/1973年千葉県生まれ。東京都在住。'96年武蔵野美術大学油絵学科版画コース卒業。'99年PALETTE CLUB SCHOOL受講。以後フリーに。
主な表現技法はアクリルガシュによる手描き。
受賞歴/The Choice入賞、HB FILEコンペ鈴木成一賞、
ヨコハマコンペ最高賞等。 こちらは、いとう瞳さんのイラスト。いとう瞳さんプロフィール/1973年千葉県生まれ。東京都在住。'96年武蔵野美術大学油絵学科版画コース卒業。'99年PALETTE CLUB SCHOOL受講。以後フリーに。 主な表現技法はアクリルガシュによる手描き。 受賞歴/The Choice入賞、HB FILEコンペ鈴木成一賞、 ヨコハマコンペ最高賞等。

 
ジルさんが香りをブレンドするとき、
いつも、頭の中に旅や歴史があるといいます。
生活のたのしみ展で、ぜひ、
フランスのジルさんから届いた2つの香りと、
4つのパッケージをおたのしみください。
明日は、アーティスト・food creation 主宰、
諏訪綾子さんのそばにある香りをご紹介します。

2023-04-28-FRI

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