友達がつけている香水の香りや、
遊びに行った家の、印象的な香りに、
「わあ! どこの香り?」
こう聞いてしまったことが、
いちどはあるのではないでしょうか。
その香りを選んだきっかけや、
製品が作られた背景を聞いて、
より好きになってしまったりして。
慌ただしく家事をしたり、
考えごとをしているときでも、鼻は自由です。
あたらしい、お気に入りの香りと出合うことは、
生活をうれしくしてくれることだなあ、
という考えに賛同したメンバーが集まって、
たのしみ展限定のお店を作りました。
名前は「いつもそばにある香りの店」。
いま会ってみたい10人のアーティストや
クリエイターに、愛用の香りを聞きました。
ハンドクリームからお香、ディフューザーまで、
素敵な10の香りのアイテムを、
ぜひ会場でためしてみてください。
- いつもそばにある香りのお店では、
10人のかたの愛用の香りを紹介しています。 - その中から、3名のかたにご登場いただき、
お話をうかがいました。
おひとりめの石井佳苗さん、そして、
おふたりめのジル・べートゥミュウさんに続き、
3人めは、アーティストで
food creation代表の諏訪綾子さんです。
- 生活のたのしみ展にお誘いしたきっかけは、
ほぼ日のある乗組員が、
資生堂ギャラリーで開かれた諏訪さんの個展
「記憶の珍味 諏訪綾子展」を訪れたことでした。 - 地下のギャラリーには、
諏訪さんがさまざまな香りから調合した
「記憶の珍味」と呼ばれるものを、
来場者が実際に嗅いだり、触れたりして、
自分と対話をするような、
そんな空間がひろがっていました。 - 展覧会というと、ていねいに解説を付けて、
来場者はそれをじいっと読んで・・・・
ということも多いように思いますが、
資生堂ギャラリーの諏訪さんの展示では、
照明を落とした空間で頼りになるのは、
ほぼ、自分の嗅覚と想像力のみ、
というユニークな形が取られていました。 - じつはこの展示会、開催期間は2020年1月~2月で、
いったん休止を挟んで再開されたのが8月。
終了したのは9月末のことでした。
この半年の休止期間は、そう、
コロナウイルス蔓延による規制だったんです。
だからこそ、外出先でマスクをはずすことも、
さらには、香りを嗅いで展示と向き合うことも、
とても贅沢で、非日常だと感じた時期でした。 - 乗組員の間でも、「資生堂ギャラリー行った?」
「まだ。行きたいと思ってた!」
仕事の合間にこんな会話が交わされ、
いつか諏訪さんとご一緒してみたいなと、
何人もの乗組員が思ったのでした。 - 諏訪さんが今回選んでくださったのが、
クロモジのエッセンシャルオイル(精油)と、
同じくクロモジを使った蒸留水です。 - これらを諏訪さんは、
「持ち歩ける森」と表現されています。
- この商品を作っているのは、
諏訪さんの故郷・石川県で生まれた
「アースリング」というブランドです。
白山麓に蒸留所を構え、蒸留所を取り囲む森から、
さまざまな樹木やハーブを採取して精油にしています。 - クロモジも、森からとれる貴重な木のひとつ。
クロモジから抽出される精油は、
すっきりと甘く、深みがある上品な香りです。 - クロモジ精油を抽出する際に得られる芳香蒸留水は、
つまり、とてもいい香りのする水。
「ハーブウォーター」とも呼ばれ、
おだやかな香りと、微量の精油成分を含んでいます。
スプレー容器に入れてシュッとひと吹きすれば、
すがすがしい気分で、深呼吸したくなります。 - この森で、諏訪さんはこんな風に過ごすそうです。
- 「森の中では、三歩あるくたびに、香りが変わります。
香りというより、もっと生々しく鮮やかな生きた匂い。
わたしたちの中に眠っている野性を呼び覚ます、美しい匂い。
この商品は、私が生まれ育った石川県の水源地、
霊峰白山の聖なる森の香木・クロモジと、
森の湧水だけで、森の中の蒸留所で抽出した、
まさに豊かな日本の森を凝縮した100%のエッセンス。
目には見えないパワースポットは、外に求めるのではなく、
自分でつくるのです、森をまとって」(諏訪さん) - なんだか、読んでいるだけで、
遠くにある香りを探しあてに行きたくなるような、
諏訪さんらしい、とても素敵な表現です。 - 新宿の「生活のたのしみ展」会場へ、
ぜひ、香りを感じにいらしてください。
2023-04-29-SAT