突然大きな音が鳴ったり、
緊張すると痛くなったり、
日常にありがちな「おなか」のトラブルですが、
そのとき私たちの体内では
どんなことが起こっているんだろう?
そんな疑問を抱いていた乗組員が、
ほぼ日コンテンツでも
なにかとお世話になっている
けいゆう先生」こと、消化器外科医の
山本健人先生に聞いてみることにしました。
さすがのけいゆう先生、
素朴な「なぜ?」を正面から受け止めて、
とってもわかりやすく解説してくれたんです。

>けいゆう先生プロフィール

けいゆう先生(山本健人さん)

博士(医学)。外科医専門医、消化器病専門医、消化器外科専門医、感染症専門医、がん治療認定医など。「けいゆう先生」として情報を発信しているX(旧twitter)が人気を博す。著書に『すばらしい人体』『すばらしい医学』(ダイヤモンド社)など多数。

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1「消化器」の定義って?

──
よろしくお願いします。
今日は、おなかに関することを
いろいろ聞いていきたいと思います。
けいゆう
はい、よろしくお願いします。
──
本題に入る前に、
まずご自身のことをうかがいたいのですが、
先生はどうして
医者になろうと思われたんですか?
けいゆう
まあ、昔から憧れはありましたね。
ドラマなどで医者を見て、
かっこいいなと思っていましたし。
でも、ずっと医者になりたかったわけではなく、
いろんなことをやりたいなと
思っていた中の一つが医者だったんです。

──
選択肢がいろいろあったんですね。
お医者さんになる方って、
最初からずっと目指されてきたのかなと
思っていました。
けいゆう
そういう人もいますけどね。
──
理系の科目は昔から得意でしたか。
けいゆう
いや、私はどちらかいうと文系なんです。
本を読むのが好きだし、
物を書くのも好きなので。
──
意外です。
では、医学部を受験されるときは
苦手な科目をかなりやらなきゃいけなかったんですか。
けいゆう
そうですね。
まあ、逆に英語や国語が得意だったので、
受験勉強の大半を数学と理科に割く、
みたいな感じでしたね。
──
ああ、なるほど。
けいゆう
結局、医学部の受験対策って、
全科目をまんべんなくできないと
受からないんですよ。
──
今日は人体のことをうかがうんですけど、
私は完全に文系でして、
ちょっとお恥ずかしいような
初歩的なことも聞いてしまうと思うんですけど。
けいゆう
はい、もちろん大丈夫です。
──
お手柔らかにお願いします。
今日のテーマは「おなか」ということで、
おなかって音が鳴ったり痛くなったりするので、
1日を通して意識することが多いんですが、
そのとき、おなかの中で何が起きているのか、
ということを教えていただきたいなと思っています。
それで、今日は、こんなものを
用意させていただきました。

けいゆう
すごい(笑)。
──
先生から見て、この人体模型、
いかがでしょう。
けいゆう
えーと、これはすごく、リアルですよ。
──
あ、よかったです(笑)。
今、おなかと呼んでいる部位って、
人体模型で見ると胃とか腸とか消化器系のものが
みっちりと入っているイメージですが、
それで間違いはないですか。
けいゆう
そうですね、おなかというと、
医学的には、横隔膜より下のエリアのことを指します。

△先生が指さしているあたりある、横断した膜のようなものが横隔膜 △先生が指さしているあたりある、横断した膜のようなものが横隔膜

けいゆう
横隔膜というのは、呼吸のときに使う
筋肉でできた膜のようなもののことで、
焼肉でいうとハラミです。
──
ハラミは横隔膜だったんですね‥‥!
けいゆう
はい。膜というより筋肉なんですけど、
この横隔膜が胸とおなかを分ける境界なんですね。
──
知りませんでした。
そして、先生は専門が消化器ですけど、
消化器と定義されるのは、
どこからどこまでの臓器なんでしょう。
けいゆう
消化に関わる臓器が消化器です。
口から食べものを食べて、
それが体の中で消化されて、
最終的に、肛門という出口から便になって
出ていきますよね。
そのあいだにいろいろと吸収されるので、
そこの通り道に関わっている臓器は
全て消化器です。
だから「口」も消化器の一つと言えますし、
次に「食道」という細長い管が
横隔膜の上まであって、
で、そのあと「胃」があって、
小腸」があり、最後は「大腸」に流れる‥‥
これは全部、消化器です。
それから、食べものの通り道ではないですが、
食べものを消化するのに
必要な消化液を作っている
臓器というのもあって、それが「肝臓」とか、
この裏側にある「膵臓」とか、
それから、胆汁という消化液を
ためておく袋である「胆嚢(たんのう)」、
こういったものが消化器と定義される臓器ですね。
──
かなり幅広いですね。
けいゆう
幅広いですよ。
一番、数も多いので。
──
先生は消化器ご専門ということは、
それぞれ消化器と呼ばれるものについての
知識をお持ちなんですよね。
けいゆう
そうですね。
ひと通り学んで専門にしてますけども、
ただ、今は医療って本当に細分化していて、
消化器外科医、ないしは消化器内科医と呼ばれる、
消化器を専門とする医者の中でも
専門の臓器というものがあるんです。
私自身は一応は大腸が専門で、
大腸がんの手術をすることなどが
メインの仕事ですね。

つづきます)

2025-03-18-TUE

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