けんすうさんと糸井重里の初対談です。
ブロックチェーン、AI、NFTなど、
新しい技術に詳しいけんすうさんには、
いまどんな未来が見えているのでしょうか。
インターネット黎明期の話から、
お金の価値、アマチュアリズムなど、
さまざまな話題が飛び出しました。
これからのインターネットが、
なんとなくつかめるかもしれませんよ。
全7回、たっぷりおたのしみください。
本対談は「ほぼ日の學校」でも公開中です。
第7回
20年に一度のチャンス。
- 糸井
- 最初の話に戻るんだけど、
ぼくは何を学んだらいいんだろう。
- けんすう
- やっぱり新しいインターネットに、
どっぷり入るというのをやったら、
ちょっとおもしろいんじゃないかと。
ブロックチェーンとかAIとか、
めちゃくちゃ腰が重くなる話ではありますけど。
ぼくもちょっと避けてたので、
えらそうに言えませんが。
- 糸井
- 避けてたんですか?
- けんすう
- 避けてましたね。
なんか面倒くさいなっていう。
いままで自分がやってきたものが、
そんなに使えないってなると、
ちょっとかったるい気持ちになるというか。
- 糸井
- うん、思いますね。
- けんすう
- ただ、実際にやってみると、
インターネット黎明期をもう一回体験できる
20年に一度ぐらいのチャンスなので、
すごい新鮮な気持ちで取り組めておもしろかったんです。
そのおもしろさを糸井さんといっしょに、
また経験できるとうれしいなとは思います。
- 糸井
- いまちょっと思ったのは、
どうなるかわかんないですけど、
その技術を「えっ!」って思うだけでも、
いまぼくが考えているようなことに
混ぜられるような気がした。
- けんすう
- おぉー。
- 糸井
- じつはいま、
ほぼ日を大工事したいんです。
- けんすう
- 大工事?
- 糸井
- ほぼ日をはじめたときって、
もっと小さなサイズではじめられたけど、
いまはぼくも大人になっちゃったから、
そのサイズで作るわけにいかない。
もっと大きなデコレーションケーキを
作るくらいの覚悟で、
いまやりたいことが一個あるんです。
でも、そこにはブロックチェーンとか、
そういう考えは入っていなくて。
- けんすう
- ああ、なるほど。
- 糸井
- ちょっと話は変わりますけど、
パーソナルなコンピューターができるときに、
画面のことを「デスクトップ」って
言った人がいたわけですよね。
「ここは机の上なんです」と。
それ、すっごい発明じゃないですか。
- けんすう
- たしかに(笑)。
- 糸井
- 「これがファイルで、これがゴミ箱で」って。
- けんすう
- ゴミ箱とか、めちゃくちゃすごい発明ですね。
- 糸井
- もしそれが発明されてなかったら、
みんなどうしていいかわかんない
バラバラの画面を作っていたと思うんです。
- けんすう
- たしかに。
- 糸井
- でも「デスクトップ」にしたことで、
みんなが一気に理解できた。
ああいう発明がやっぱり、
人の考え方を決めちゃうんですよね。
いまどっかのところで、
そういうことが足りていない気がして。 - さっきもお金のインジケーターの話も、
もうすでにたとえ話になってるわけで、
「それいいな」ってみんなが思ったら、
もうそれで流通していくんですよね。
- けんすう
- そうですね。
- 糸井
- どこかの国がインターネットを使って、
無理やり管理を強化するのも、
「そんな無理なことできません」ってことを、
新しい技術を使ってやってますけど、
その無理にあたるようなことを、
なかなかいまのぼくはできない。
でも、さっきのブロックチェーンとかAIとか、
それをおつまみ程度に知るだけでも、
なんかじぶんの可能性を変えるような気はしました。
- けんすう
- それはあると思います。
あと、ブロックチェーンとかAIだと、
いまだからこそ小さなサイズのものも作る
おもしろさもあるのかなって思います。
- 糸井
- そうですね。
- けんすう
- 使ってる人がまだすくなくて、
すごい小っちゃいからこそ、
めちゃくちゃくだらないものとか。
まだみんな手探りだからこそ、
できることがたくさんあるような気がします。
- 糸井
- きょうはありがとうございました。
会えてよかったです、ほんとうに。
すごくおもしろかったです。
- けんすう
- ありがとうございました。
- 糸井
- みんながぼくのエリアに
来てくれるのはありがたいんだけど、
今年はぼくが輪の外に出るような、
そういう年にしたいなって思っていたので。
- けんすう
- いま気づいたんですけど、
糸井さんの一番すごいところって、
たぶんそこなのかもしれない。
- 糸井
- え?
- けんすう
- いまおっしゃったように、
意識して輪の外に出られるところが、
糸井さんはすごいんだと思います。
ほぼ日を創刊したときも、
コピーライターとして成功したエリアから出て、
やったことないインターネットに飛びこんで、
その会社を上場までもっていったわけですから。
いまいる場所の外に出るってことを、
ぼくももっとやるといいんだろうなって、
いま勝手に思ったっていう感じです。
- 糸井
- ありがとうございます(笑)。
ぼくらが別々に考えてることで、
一緒にやった方がいいかもしれない
っていうことも出てくるかもね。
- けんすう
- そうなったらうれしいです。
そんなことが起きたら最高ですね。
- 糸井
- そんなような奴があっちこっちにいたら、
もっとおもしろくなりますね。
いいね、やりたいね。
- けんすう
- はい、ぜひ。
- 糸井
- また会いましょうか。
公開でやるのもあるし、
考え途中なんだけどってことを、
一緒にいろいろ揉んでみたり。
- けんすう
- ぼくはそっちの方が好きですね。
もう3、4時間とか、
アジェンダを決めずにやるとかのほうが
盛りあがるかもしれないですね。
- 糸井
- じゃ、そういう予告をしながら、
きょうは終わりにしようかな(笑)。
キリがないんでね。
- けんすう
- すごくたのしかったです。
ありがとうございました。
(おわります)
2023-06-18-SUN
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けんすうさんが選ぶ、
インターネットのいまとこれからを
考えるための本。ふだんからビジネス本を
たくさん読まれているけんすうさん。
インターネット関連のおすすめ本を、
解説付きで5冊教えていただきました。
もっと深く知りたい方は、
ぜひ参考にしてみてください。『ツイッター創業物語
金と権力、友情、そして裏切り』(日経BP)
著:ニック・ビルトン 訳:伏見威蕃ツイッターは歴史的にみても、
かなりグダグダな経営をやっている時期が長く、
トラブルつづきの企業です。
それは、いまもつづいているとも言えます。経営、運用、技術、どれをとっても、
極めて秀でているとは言えないツイッターですが、
サービスが魅力的であるために、
世界に大きな影響を与えるようになったわけで、
とてもおもしろいなと思っています。『ソーシャルメディア・プリズム
SNSはなぜヒトを過激にするのか?』(みすず書房)
著:クリス・ベイル 訳:松井信彦ソーシャルメディアによる
影響について書かれている本です。
短い書籍ではありますが、
ソーシャルメディアによる
社会の分断についての問題から、
インターネットの希望の話まで書かれていて好きです。『ネットは社会を分断しない』
(KADOKAWA/角川新書)
著:田中辰雄、浜屋敏10万人規模の調査をして、
いまのインターネットと
社会の実態はどうなのかを調べたという本です。
インターネットによって
社会が分断されているように感じたりしますが、
実はそんなことないよ、
という内容が書かれています。『僕らはそれに抵抗できない』(ダイヤモンド社)
著:アダム・オルター 訳:上原裕美子依存症ビジネスについて書かれた本です。
現在のインターネットの主流である
ソーシャルメディアやゲームなどで、
依存症ビジネスの仕組みは
良くも悪くも活用されています。
ここを知っておくことで、
いまのインターネットについてより理解できるかなと。『イーサリアム
若き天才が示す暗号資産の真実と未来』(日経BP)
著:ヴィタリック・ブテリン 編:ネイサン・シュナイダー
訳:高橋聡歴史に名を残すであろう
ヴィタリック氏のコラム集です。
暗号通貨・イーサリアムの考案者である彼は、
極めて頭がいいんだろうな、というのと、
それをわかりやすく美しい文章で
表現できる稀有な存在です。
インターネットを次の段階に
引き上げた人の名文がたっぷり読めます。