けんすうさんと糸井重里の初対談です。
ブロックチェーン、AI、NFTなど、
新しい技術に詳しいけんすうさんには、
いまどんな未来が見えているのでしょうか。
インターネット黎明期の話から、
お金の価値、アマチュアリズムなど、
さまざまな話題が飛び出しました。
これからのインターネットが、
なんとなくつかめるかもしれませんよ。
全7回、たっぷりおたのしみください。
本対談は「ほぼ日の學校」でも公開中です。

>けんすうさんプロフィール

けんすう

起業家、エンジェル投資家、
アル株式会社代表取締役。

1981年生まれ。
学生時代に「ミルクカフェ」という
大学受験サービスを立ち上げたあと、
レンタル掲示板の「したらば」を運営。
その後リクルートに新卒で入社した後、
起業してハウツーサイトの「nanapi」をリリース。
2014年にKDDIグループにM&Aされる。

現在は「クリエイティブ活動を加速させる」ために、
きせかえできるNFT「sloth」、
成長するNFT「marimo」などを手掛けている。

Twitter:@kensuu
note:kensuu

前へ目次ページへ次へ

第7回

20年に一度のチャンス。

糸井
最初の話に戻るんだけど、
ぼくは何を学んだらいいんだろう。
けんすう
やっぱり新しいインターネットに、
どっぷり入るというのをやったら、
ちょっとおもしろいんじゃないかと。
ブロックチェーンとかAIとか、
めちゃくちゃ腰が重くなる話ではありますけど。
ぼくもちょっと避けてたので、
えらそうに言えませんが。
糸井
避けてたんですか?
けんすう
避けてましたね。
なんか面倒くさいなっていう。
いままで自分がやってきたものが、
そんなに使えないってなると、
ちょっとかったるい気持ちになるというか。
糸井
うん、思いますね。
けんすう
ただ、実際にやってみると、
インターネット黎明期をもう一回体験できる
20年に一度ぐらいのチャンスなので、
すごい新鮮な気持ちで取り組めておもしろかったんです。
そのおもしろさを糸井さんといっしょに、
また経験できるとうれしいなとは思います。
糸井
いまちょっと思ったのは、
どうなるかわかんないですけど、
その技術を「えっ!」って思うだけでも、
いまぼくが考えているようなことに
混ぜられるような気がした。
けんすう
おぉー。
糸井
じつはいま、
ほぼ日を大工事したいんです。
けんすう
大工事?
糸井
ほぼ日をはじめたときって、
もっと小さなサイズではじめられたけど、
いまはぼくも大人になっちゃったから、
そのサイズで作るわけにいかない。
もっと大きなデコレーションケーキを
作るくらいの覚悟で、
いまやりたいことが一個あるんです。
でも、そこにはブロックチェーンとか、
そういう考えは入っていなくて。
けんすう
ああ、なるほど。

糸井
ちょっと話は変わりますけど、
パーソナルなコンピューターができるときに、
画面のことを「デスクトップ」って
言った人がいたわけですよね。
「ここは机の上なんです」と。
それ、すっごい発明じゃないですか。
けんすう
たしかに(笑)。
糸井
「これがファイルで、これがゴミ箱で」って。
けんすう
ゴミ箱とか、めちゃくちゃすごい発明ですね。
糸井
もしそれが発明されてなかったら、
みんなどうしていいかわかんない
バラバラの画面を作っていたと思うんです。
けんすう
たしかに。
糸井
でも「デスクトップ」にしたことで、
みんなが一気に理解できた。
ああいう発明がやっぱり、
人の考え方を決めちゃうんですよね。
いまどっかのところで、
そういうことが足りていない気がして。
さっきもお金のインジケーターの話も、
もうすでにたとえ話になってるわけで、
「それいいな」ってみんなが思ったら、
もうそれで流通していくんですよね。
けんすう
そうですね。
糸井
どこかの国がインターネットを使って、
無理やり管理を強化するのも、
「そんな無理なことできません」ってことを、
新しい技術を使ってやってますけど、
その無理にあたるようなことを、
なかなかいまのぼくはできない。
でも、さっきのブロックチェーンとかAIとか、
それをおつまみ程度に知るだけでも、
なんかじぶんの可能性を変えるような気はしました。
けんすう
それはあると思います。
あと、ブロックチェーンとかAIだと、
いまだからこそ小さなサイズのものも作る
おもしろさもあるのかなって思います。
糸井
そうですね。
けんすう
使ってる人がまだすくなくて、
すごい小っちゃいからこそ、
めちゃくちゃくだらないものとか。
まだみんな手探りだからこそ、
できることがたくさんあるような気がします。
糸井
きょうはありがとうございました。
会えてよかったです、ほんとうに。
すごくおもしろかったです。
けんすう
ありがとうございました。
糸井
みんながぼくのエリアに
来てくれるのはありがたいんだけど、
今年はぼくが輪の外に出るような、
そういう年にしたいなって思っていたので。

けんすう
いま気づいたんですけど、
糸井さんの一番すごいところって、
たぶんそこなのかもしれない。
糸井
え?
けんすう
いまおっしゃったように、
意識して輪の外に出られるところが、
糸井さんはすごいんだと思います。
ほぼ日を創刊したときも、
コピーライターとして成功したエリアから出て、
やったことないインターネットに飛びこんで、
その会社を上場までもっていったわけですから。
いまいる場所の外に出るってことを、
ぼくももっとやるといいんだろうなって、
いま勝手に思ったっていう感じです。
糸井
ありがとうございます(笑)。
ぼくらが別々に考えてることで、
一緒にやった方がいいかもしれない
っていうことも出てくるかもね。
けんすう
そうなったらうれしいです。
そんなことが起きたら最高ですね。
糸井
そんなような奴があっちこっちにいたら、
もっとおもしろくなりますね。
いいね、やりたいね。
けんすう
はい、ぜひ。
糸井
また会いましょうか。
公開でやるのもあるし、
考え途中なんだけどってことを、
一緒にいろいろ揉んでみたり。
けんすう
ぼくはそっちの方が好きですね。
もう3、4時間とか、
アジェンダを決めずにやるとかのほうが
盛りあがるかもしれないですね。
糸井
じゃ、そういう予告をしながら、
きょうは終わりにしようかな(笑)。
キリがないんでね。
けんすう
すごくたのしかったです。
ありがとうございました。

(おわります)

2023-06-18-SUN

前へ目次ページへ次へ
  • けんすうさんが選ぶ、
    インターネットのいまとこれからを
    考えるための本。

    ふだんからビジネス本を
    たくさん読まれているけんすうさん。
    インターネット関連のおすすめ本を、
    解説付きで5冊教えていただきました。
    もっと深く知りたい方は、
    ぜひ参考にしてみてください。

    『ツイッター創業物語 
    金と権力、友情、そして裏切り』(日経BP) 
    著:ニック・ビルトン 訳:伏見威蕃

    ツイッターは歴史的にみても、
    かなりグダグダな経営をやっている時期が長く、
    トラブルつづきの企業です。
    それは、いまもつづいているとも言えます。

    経営、運用、技術、どれをとっても、
    極めて秀でているとは言えないツイッターですが、
    サービスが魅力的であるために、
    世界に大きな影響を与えるようになったわけで、
    とてもおもしろいなと思っています。

    Amazonのページを開く

    『ソーシャルメディア・プリズム 
    SNSはなぜヒトを過激にするのか?』(みすず書房) 
    著:クリス・ベイル 訳:松井信彦

    ソーシャルメディアによる
    影響について書かれている本です。
    短い書籍ではありますが、
    ソーシャルメディアによる
    社会の分断についての問題から、
    インターネットの希望の話まで書かれていて好きです。

    Amazonのページを開く

    『ネットは社会を分断しない』
    (KADOKAWA/角川新書) 
    著:田中辰雄、浜屋敏

    10万人規模の調査をして、
    いまのインターネットと
    社会の実態はどうなのかを調べたという本です。
    インターネットによって
    社会が分断されているように感じたりしますが、
    実はそんなことないよ、
    という内容が書かれています。

    Amazonのページを開く

    『僕らはそれに抵抗できない』(ダイヤモンド社) 
    著:アダム・オルター 訳:上原裕美子

    依存症ビジネスについて書かれた本です。
    現在のインターネットの主流である
    ソーシャルメディアやゲームなどで、
    依存症ビジネスの仕組みは
    良くも悪くも活用されています。
    ここを知っておくことで、
    いまのインターネットについてより理解できるかなと。

    Amazonのページを開く

    『イーサリアム 
    若き天才が示す暗号資産の真実と未来』(日経BP) 
    著:ヴィタリック・ブテリン 編:ネイサン・シュナイダー 
    訳:高橋聡

    歴史に名を残すであろう
    ヴィタリック氏のコラム集です。
    暗号通貨・イーサリアムの考案者である彼は、
    極めて頭がいいんだろうな、というのと、
    それをわかりやすく美しい文章で
    表現できる稀有な存在です。
    インターネットを次の段階に
    引き上げた人の名文がたっぷり読めます。

    Amazonのページを開く