「kijinokanosei」(生地の可能性)は、
生地のプロであり、
“ヴィンテージ織物のマニア”でもある田中喜子さんと、
株式会社STAMPSのチームが立ち上げたプロジェクト。
毛織物の産地として知られる尾州
(びしゅう:一宮市を中心にした
愛知県尾張西部エリアから、岐阜県西濃エリア)の
糸メーカーや毛織物工場のみなさんと組んで、
毛織物が最盛期だった頃の日本に存在した、
高い技術でつくられた
精緻で手の込んだ生地の組織を参考に、
現代に「あたらしいクリエイション」として
生まれかわらせようというこころみです。
今回、スタートとなる「kijinokanosei」、
「ほぼ日」ではこの6つの生地を紹介します。
-うねり-(黄)
糸の撚り方でワタのように柔らかな糸はくねくねとうねり、
歪みのある面白い織りに繋がります。
ふんわり、ざっくり空気を含んだ
風合いで仕上がっています。
糸に、S撚りのものとZ撚りのものを混ぜ込み、
糸のうねり具合の形状を変えることで
表情を出しています。
使っていくとどんどん湿気を含んで、
またもう少しフワフワになっていく、
その感触も楽しんでもらえたらなと思います。
織り自体はシンプルで、
ストレートの糸で織ると
何でもない表情になってしまいますが、
それを太くざっくり織ることで、
見た目が巨大化したような面白さが生まれました。
-十五夜-(生成り)(紺)
手紬のようなあたたかみのある表情の糸で
いびつなお団子のような柄を織りあげています。
織組織によって裏と表の表情が異なるところが特徴的です。
この生地をつくってくださったのは近藤毛織さん。
もともとはとってもきれいな丸で
構成されている組織図なんですけど、
あえてネップのある、
太いところと細いところがある糸を使ったり、
ツヤのある太い糸を入れたりすることによって、
歪みが生じます。それは織っている最中にも
「どんどん歪んじゃうんですが‥‥」
と言われちゃうぐらい歪むんです。
それで「歪んで、いいんですよ」って言ったんですけれど、
おまんじゅうがひしゃげちゃった、
みたいなところがあったりとか、
円の大きさがばらついたりするのが
この生地の個性になっています。
緩やかにざっくり織ってるので、
最終的に生地の洗う工程で縮み、
その予期せぬ歪み具合がまた、いいんです。
でき上がりの顔が想像できなかった素材のひとつです。
裏もかなりざくっと飛ばしているので、
より柔らかで、タッチ感も気持ちがいいですし、
微妙に違う色の成り立ちだとか、
チラチラと光るネイビーの感じとかも、きれいです。
-ひすい-(緑)
宝石箱の中の翡翠のように綺麗な発色の糸は
ウールとアクリル、シルクから成り立っており、
これらは均等にブレンドされておらず、
グリーンがランダムに現れるように紡績されています。
この不均等さのある糸をざっくりと柔らかく織り、
裏表の表情が異なるチェックを作りました。
この面白い、表情のある、ポコポコした糸を
一緒に探してくれたのが近藤毛織さんです。
そしてこの不均一な、パキッとしていない、
糸の太・細もあって、ざくざくもした糸は、
グリーンの部分にもいろんな混率で
異素材が入っているので、
薄いグリーンと濃いグリーンがほどよく混ざっています。
そこが、まるで手紡ぎのよう。
量産であっても、つくってくださる方の
それまでの経験値や個性がちゃんと出ています。
ベージュのところも、粒々の繊維が残っており、
表裏で全然違う表情が生まれています。
スカートとクッションカバーは、
あえてその裏を表に使っています。
ストールの場合は、
どちらを見せて巻いていただいてもかわいいですよ。
-花格子-(青)
青いお花のように見える組織は
裏からみると小さな格子柄になっています。
柔らかなウールの糸を使用しており
軽やかで優しい風合いです。
組織でいうと、昔からある懐かしい柄。
ヨーロッパのおばあちゃん家に
ひとつはありそう、というような、
そんなに珍しい組織ではないのですが、
表裏の顔が違う面白さをいかし、
色を思いっきりきれいにして、
現代の部屋に馴染むような色の感覚でつくりました。
青いところの経糸と緯糸は原料が異なります。
経糸は梳毛の細い原料を太く柔らかくした糸、
緯糸は紡毛で、短繊維を糸にしているもの。
実験的に織っていったら、
このようなちょっと丸っこい四角い柄が生まれました。
-きんとと-(赤)
刺し子調の組織で、裏と表の表情が異なるところが特徴的。
表から見ると点の集合体によりチェックが浮かび上がり、
裏からみると刺し子を施したようなツイードに。
太さの異なる糸番手の組み合わせで
縮率差によるぽこぽこした表情が生まれています。
(きんとととは昔の言葉で金魚の意味です)
ベーシックな組織を拡大し、
おおきめの格子柄をつくってみようと思いました。
その時に予期せぬ効果が生まれたのが、
色の交差する部分にひねりが出た面白さ、
縮みによってできたポコポコ感です。
織りを担当した石松毛織さんは、
メンズで打ち込みが多い生地を得意とする工場。
そのギュッて打ち込む癖みたいなものが出て、
面白さにつながっているのだと思います。
-昼夜-(濃紺)(白)
バスケットのようなざっくりとした組織で
柔らかく織りあげています。
裏から見ると格子柄のように見えるのが面白い素材です。
むかしのブランケットにあるような組織を、
あたらしい色で表現しました。
ヨーロッパの人が見たら、
あぁ昔うちにあった感じですねと
おっしゃるかもしれません。
糸はストレートでベーシック。
あえてきれいな風合いで仕上げることを狙いました。
ITEMS
ジャケット
- -昼夜-(白)
60,500円
- -十五夜-(紺)
66,000円
ポケットスカート
- -ひすい-(緑)
38,500円
- -昼夜-(濃紺)
38,500円
ストール
- -うねり-(黄)
14,300円
- -ひすい-(緑)
15,400円
- -花格子-(青)
13,200円
- -きんとと-(赤)
14,300円
フリンジバッグ(大)
- -きんとと-(赤)
12,100円
- -昼夜-(濃紺)
12,100円
フリンジバッグ(小)
- -きんとと-(赤)
11,000円
- -昼夜-(濃紺)
11,000円
クッションカバー
- -十五夜-(生成り)
12,100円
- -ひすい-(緑)
12,100円
- -花格子-(青)
9,900円
- -きんとと-(赤)
11,000円
- -昼夜-(濃紺)
11,000円
マルチクロス
- -うねり-(黄)
16,500円
- -十五夜-(生成り)
18,700円
- -花格子-(青)
14,300円
- -きんとと-(赤)
16,500円
- -昼夜-(濃紺)
16,500円
(つづきます)
2022-12-14-WED