1981年に放送された名作ドラマ、
『北の国から』をご存じですか?
たくさんの人を感動させたこのドラマを、
あらためて観てみようという企画です。
あまりテレビドラマを観る習慣のなく、
放送当時もまったく観ていなかった
ほぼ日の永田泰大が、あらためて
最初の24話を観て感想を書いていきます。
イラスト:サユミ
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『北の国から』を
観たことがない。
まずは当たり前の一文からはじめよう。
この企画の前提を確認するために。
ぼくは、『北の国から』を観たことがない。
1981年から翌年にかけて放送され、
最高視聴率21パーセントを記録した、
国民的、といっていい人気ドラマ、
『北の国から』をぼくは観たことがない。
放送当時、ぼくは中学生で、
むろんインターネットなどかけらもなく、
テレビが娯楽のど真ん中に君臨していたあの時代に、
多くの友だちが翌日の話題にしていた
そのドラマにまったく触れずにいたのは、
流行に平凡に流されるふつうで
どこもとんがってないぼくにしては
けっこうめずらしいことだと思う。
正直、そこに理由なんてない。
なんとなく、観なかった。
ことわっておくと、アンチではない。
観ないぞと固く決めていたわけではないし、
ちょっと観て、合わなくて、
観るのをやめたわけではない。
ただ、なんとなく、観なかったのだ。
もともと、まぁ、いまもそうだけど、
テレビの連続ドラマというものを
ぼくはあまり積極的には観ない。
スポーツとかお笑いとかは観るけど、
自分からなにかのドラマを観ることはあまりない。
そういう感じで、当時も、自分としては自然に、
『北の国から』を観なかったのだと思う。
観なかったけれども、
述べたように『北の国から』は
たいへんな人気ドラマだったから、
断片的に、記号的に、アイコン的に、
それを知ってはいる。
なんなら、ぜんぜん観たことないけど、
だいたい知ってるつもりでいる。
「ああ、『北の国から』ね」くらいのことは、
会話の流れの中でしれっと言っちゃうかもしれない。
でも、ほんとは、知らないのだ、
『北の国から』を。
家族が、北海道に移住する話、というのは知ってる。
そこは富良野という実在の場所なんでしょう?
あと、田中邦衛さんは、それこそ素人からプロまで、
モノマネされたところを何度も何度も何度も観ている。
ニット帽かぶって、厚手の作業着着て、
「ほたぅるぅ〜」とか言うんでしょう?
手にはカボチャ持ってたりするんでしょう?
あ、子どもの名前はジュンとホタルで、
ドラマの途中にはジュンくんの
「‥‥なわけで。」みたいな
ナレーションが入るんでしょう?
「そのときぼくはまったく知らなかったわけで。」
みたいな感じで。
あと、あれだ、スチャダラパーの曲によれば、
「夜になったら寝るんです」でしょう?
それから、ちょっとひねったところでいうと、
キタキツネを「るーるーるー」って呼ぶんだけど、
実際の北海道ではそんな呼び方はしなくて、
あのドラマからはじまった
都市伝説みたいなもんなんだよね?
ええと、あとは、文脈的にはよくわからないけど、
「子どもが食べてるでしょうが!」とか、
「誠意って、なにかね?」とか、
そういう名台詞があるんでしょう?
ほーら、どうですか、だいぶ知ってるでしょう?
「ああ、『北の国から』ね」くらいのことは、
会話の流れの中でしれっと言っちゃっても
いいんじゃないですか?
そのような感じで、
『北の国から』というドラマを
なんとなくむにゃむにゃとごまかしてきたぼくが、
1981年にテレビで放送された
最初のシリーズ全24話を、
1話ずつ観ていくという連載をはじめます。
気楽に観て、気楽に感想を
書いていくつもりでいるのですが、
経験上、こういう日記みたいな形式の
コンテンツを連載していくと、
気楽に終わることは絶対ないんだよなぁ‥‥。
だって、ほら、
「ぼく観てないんですよね」っていう
前提を書くためだけの初回のこの文章が
もうこんなに長くなってるし。
というわけで、『北の国から』を、
気楽に観て感想を書いていきますよー。
もう、ささっと感じたことを書いていくよー。
とってもライトに終わらせる気、満々なんだ。
よし、じゃあ、第1話を観てみようかな。
(つづきます。よろしくお願いします)
2020-01-24-FRI