この漫画のもとになった投稿

今日は雨です。

こんな日は、いまから21年前、
女子高生時代のあるエピソードを
思い出します。

土曜日のある日、
学校帰りに当時付き合っていた彼と、
学校の下のジーンズショップで
待ち合わせをしていました。

傘を持って来なかった私は、
そのジーンズショップの軒下を借りて
雨宿りしていたのです。

待ち合わせ時間に
なかなか現れない彼を、
ひたすら待っていたそのとき、
1台の白い車がやってきました。

もちろん彼ではありません。
見知らぬカップルです。
(いいなあ、彼と一緒で)
なんて横目で見て、
この雨雲め、と
空を睨んでいたような気がします。

買い物を終えたカップルが
車に戻るとき、
ショートカットの女性が近づいてきました。

そして
「良かったら使って」
と、黒い大きな傘を差し出しました。

驚いた私は
「えっ?
あの、待ち合わせをしてるので
たぶん大丈夫だと思うのですが….」
と傘を受け取らなかったのですが、
強がる私を見透かしたか、
「私、ここの卒業生なの」と、
私の手に傘を握らせて
小走りに白い車へ戻っていきました。

結局、待っても来ない待ち人は諦め、
そのありがたい傘をさして
ひとりで帰りました。

この傘、どうやって返そうかな、
来週もあの場所へ行ってみよう。

….とか、ふたりで
私にあげようということになったのかな、
などと
ウキウキしたのを今でも覚えています。

待ち人が来ない悲しさよりも、
あのカップルのかっこ良さに
とてつもなく興奮しました。

きっと顔が紅潮していたと思います。

あのカップルのファインプレーを真似して、
傘をバトンタッチしたな～。

あの傘、今どこの誰が持ってるんだろう。
今日も感謝しつつ、仕事、行ってきます。

（匿名さん／いつかの「今日のファインプレー」より）