この漫画のもとになった投稿
若いころから新しいもの好きな
85歳のばあちゃん。
終戦直後から、
重くて自由の利かない電気掃除機の本体を
引きずりながら
耳を聾する爆音を立てて狭い家を掃除。
「我が家が掃除を始めると、
ご町内中にそれと知れるねぇ」
狭くて置き場もない台所に
むりやり置いた電気冷蔵庫。
頻繁に冷却部分の霜を
掻き落とす必要あり。
電柱から専用の動力を引いて
設置したクーラー。
ギンギンに効くけど
温度調節がないから
冷えすぎて上着を着用。
大型の瞬間湯沸かし器も
そんなものが
あることさえ知らない人が
多いころから設置。
シャワーとしても利用。
「いちいち薪を割って
風呂を沸かさなくても済むから便利よ」
洗濯機ももちろん土間に鎮座。
「自家用車」などない時代に
自家用車としてオースチンを購入。
そのばあちゃんが末期癌になった。
最期を自宅で迎えるために退院してきた。
ベッドがある部屋の天井に、
丸い大きな電灯が二つある。
その電灯を指さして
「私はあっちのUFOに乗っていくよ。
あっちには良い人ばかりが乗っているから」
乗っていくのがUFOかー、
さすがにばあちゃんだねぇと
家族みんなが感心した。
（地味で平凡な高齢者になった娘／
いつかの「今日のじーちゃんばーちゃん」より）
2022-08-04-THU
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エピソード、募集中です。
あなたの心のなかにある大切な思い出や
忘れられないエピソードを
よろしければ、メールで教えてください。編集部で大切に拝読させていただき、
今日さんとも相談のうえ、
採用された投稿は
今日さんに漫画にしていただきます。あるていど「長さ」のある文章のほうが
物語にしやすいかもしれません。
みなさんのご応募を、お待ちしています。
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「今日の小ネタ劇場」とは
2005年から連載を開始した読者投稿コンテンツです。2022年時点ですでに17年以上、「今日のコドモ」「今日のダンナ」「今日のじーばー」「今日の気になるあいつ」….などの20以上のカテゴリから、日替わりで毎日欠かさず3ネタを更新してきました。アーカイブを残していないため、その日のネタは、その日にしか読めません。2016年には、過去の傑作から選りすぐって書籍化もされました。ほぼ日に来たら、まずはここからという読者も多い、大人気のコーナーです。今日の「今日のコドモ」は、こちらからどうぞ。
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今日マチ子
漫画家。1P漫画ブログ「今日マチ子のセンネン画報」の書籍化が話題となる。文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に4度選出。戦争を描いた『cocoon』は「マームとジプシー」によって舞台化。2014年に手塚治虫文化賞新生賞、2015年に日本漫画家協会賞大賞カーツーン部門を受賞。『みつあみの神様』は短編アニメ化され海外で23部門賞受賞。コロナ禍の日常を絵日記のように描いた近著『Distance わたしの#stayhome日記』が、2022年1月『報道ステーション』にて特集された。
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漫画：今日マチ子
編集：奥野武範（ほぼ日）
デザイン：杉本奈穂（ほぼ日）
感謝：「今日の小ネタ劇場」を愛する
すべてのみなさま