2023年6月6日に発売となった
飯島奈美さんのレシピ本『LIFE 12か月』。
2008年にはじまった『LIFE』シリーズ7冊目の書籍です。
本作は、重松清さんが書き下ろした
12の「食卓の風景の物語」に寄り添う料理を収載。
物語を読み、レシピを読み、料理をつくる、
そんな「あたらしいたのしみ」が1冊に詰まっています。
このコンテンツでは、
発売してからの『LIFE 12か月』を追いながら、
本書についてのいろいろな情報をおとどけしていきます。
▶書籍情報はこちらをごらんください

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『LIFE 12か月』

おひろめ試食会レポート


後編 読んでから食べても、食べてから読んでも。

5月下旬、メディアや書店の方をお招きして、
「『LIFE 12か月』おひろめ試食会」を開きました。
飯島奈美さんと7days kitchenのみなさんが、
「ほぼ日」本社にあるキッチンで、
本書掲載の料理を、あらためて、レシピ通りにつくり、
出来立てを食べていただこう、という企画です。
ちゃーんとレシピ通りにつくると、
こーんなに美味しいんですよ! ということが
わかっていただけたら嬉しいなあ、と。
このレポートでは、前後編に分けて、写真とともに、
参加してくださった皆さんのコメントをお届けします。
さて、みなさんが作りたくなったのはどの料理でしょう?
取材・文・写真=金澤一嘉
写真=畑唯菜 編集=武井義明

レシピ本『LIFE 12か月』の発売にさきがけて
5月下旬にメディアの方や書店の方をお招きして開いた
「LIFE 12か月おひろめ試食会」。
前回の前編にひきつづき、後編をおとどけします。
この本のレシピどおりに作ると、
こんなにおいしい料理ができるんだ! ってことを
皆さんに知っていただくことが
この試食会のテーマ。
参加していただいたおよそ30名のみなさまに、
飯島さんのお料理を試食していただきつつ、
①とくに心に残った料理と、
②自分で作ってみたいと思った料理について、
お話を聞かせてもらいました。

わたしたちのなかで、
おいしかったものとして一致しているのが
「モッツァレラとパイン 紀州の、うめ酢と
ウメサミコのサラダ」です。
「豚バラ肉塩茹でスタミナにらソース」も一致しました。
豚バラ肉のやわらかさは
飯島さんだからできることなのかなと思うんですけど、
レシピを見て作ってみたいですね。
別のお肉でもできるんじゃないかと話してました。
あと、にらはふだんから余りがちなんですけど、
こんなにおいしいソースができるなんて‥‥。
にらソースだけで白ごはんいけますよね。
にらの新しい食べ方として作ってみたいです。

ウェブメディア『OTEMOTO』

土屋鞄製造所

小林さん、前田さん、ありがとうございます。
そうですよね、飯島さんの料理を食べると、
「これ、飯島さんだからできることなのかな」
って思っちゃうんですよね。
ぼくも、最初は、そう思いました。
でも「この飯島さんのすごさって、
レシピ化できるんじゃないかな?」というところから
スタートしたのが『LIFE』シリーズですから、
本書『LIFE 12か月』のレシピも、再現可能です!
ほんとう、あのにらソースは、すごいですよね。
いまふと思いついたんですが、
端っこがカリカリの目玉焼きを、
炊き立ての白いごはんにのっけて、
あのにらソースをかけて、ちょびっとお醤油足して、
どんぶりにしたら‥‥ああ、おなかがすきました。
(武井)

ごはんを食べ、そのレシピがあるページを読んでいる方がたくさんいらっしゃいました。
『LIFE 12か月』は、読んでから料理を作って食べても、食べてから読んでもおもしろい体験ができる本です。 ごはんを食べ、そのレシピがあるページを読んでいる方がたくさんいらっしゃいました。 『LIFE 12か月』は、読んでから料理を作って食べても、食べてから読んでもおもしろい体験ができる本です。

飯島さんのお料理は
前回の『LIFE』試食会でいただいたことがあって、
これが2回めなんですけど、毎日食べたくなりますね。
飯島さんのレシピには、
おうちの食卓のやさしさがあって、
家庭料理の最上級だなと思います。
おうちでこういう料理を食べたい
と思うものが出てくるからうれしいんです。
見た目以上に、食べたときに「わぁーっ!」と
おいしさがわき上がってくる感じが特別ですよね。

「梅にんじん和え(ラペ)」は
ふだん食べているラペとはちがって、
梅を使ったすっぱさがおもしろくて発見がありました。

打ち上げ花火が上がったんですか?
というくらい会場が盛り上がったのは
「チキンライスグラタン」が出てきたときです。
すごい集客力で、みなさん写真撮りに
キッチン前に集まりましたよね。
私の座っていた席がキッチンの正面だったので、
最前列で「チキンライスグラタン」の
断面を見ることができてよかったです。

自分で作りたいと思ったのは
「豚バラ肉塩茹でスタミナにらソース」です。
にらソースは肉だけでなく、
いろいろなものに合いそうですよね。

岡田さん、ありがとうございます。
「料理の断面に一同騒然」っていうのは、
なかなか見たことのない光景でした。
断面というのは‥‥ちょっとネタバレにもなっちゃうかな、
と思いつつ、説明いたしますと、
料理名のとおり、
チキンライスの上にグラタンがのっていて、
それを飯島さんが、ざく、ざく、と、
ティラミスをすくうように取り分けてくれたんです。
そのとき、チキンライスとグラタンが重なったその断面が、
もう、見ただけで食欲の花火がどっかーん!
だったのです。
本書ではガラスの耐熱容器でつくった
写真が載っていますよ~。
(武井)

僕は単身赴任して8年になります。
ひとり暮らしで自炊していますが、
料理はかんたんにできるものに限られるので、
食材をそれほど買わないし、マンネリ化してます。
飯島さんの料理を食べて、このレシピ本があったら、
毎日がものすごく幸せになると思いました。

「チキンライスグラタン」は発明ですよ。
レシピのもとになった重松さん作の物語も感動しました。
チキンライスとグラタンという、
大好きなものを合体させる発想のうれしさったら。
洋食の定番メニューになってもおかしくないと思いました。

ほかにも「貝のココナッツ蒸しとそうめん」が
スパイシーですごくおいしくて、
どうやって作るのか知りたいなと思ったら、
本にレシピが書いてあるんですよね(笑)。
「豚バラ肉塩茹でスタミナにらソース」は
自分でぜひ作ってみたいっす。
飯島さんのお料理、最高っす。

角川アスキー総合研究所『エリア LOVE Walker』

アジアンテイストな「貝のココナッツ蒸し」は、4月『シンデレラの自由も、たまには延長線』で登場。グリーンカレー味のスープをたっぷり吸ったナスと厚揚げがたまらないおいしさです。 アジアンテイストな「貝のココナッツ蒸し」は、4月『シンデレラの自由も、たまには延長線』で登場。グリーンカレー味のスープをたっぷり吸ったナスと厚揚げがたまらないおいしさです。

玉置さん、ありがとうございます。
そうですよ、「貝のココナッツ蒸し」のレシピ、
本書に載っております。
4月「シンデレラの自由も、たまには延長戦」の
メイン料理で、飯島さんがニュージーランドで食べた
“ムール貝にココナッツミルクを合わせた
グリーンカレーのような味付けの料理”をヒントに
創作したレシピなんです。
数種類の二枚貝を使い、じゃがいも、なす、厚揚げ、
たまねぎ、パクチーと、材料はアジアンエスニック。
味付けにグリーンカレーペストやココナッツミルク、
ナンプラーも使うので、複雑で深い味になってます。
そうめんにかけるのは、ベトナム料理がヒントかも。
玉置さんのいう「単身赴任でかんたんにできる」もの、
ではないかもしれないんですけれど、
チャレンジしてみてください!
(武井)

▲飯島さんのスペシャルメニュー、梅酢唐揚げをほおばる玉置さん。
「シャクシャクした食感がめちゃおいしい。最高!」
この唐揚げのレシピはこちらにあります。
▲飯島さんのスペシャルメニュー、梅酢唐揚げをほおばる玉置さん。 「シャクシャクした食感がめちゃおいしい。最高!」 この唐揚げのレシピはこちらにあります。

今日のお料理すべておいしかったです。
本でレシピを見ると、シンプルな食材だけど、
組み合わせによっておいしさが変わってくることに
びっくりしています。

自分で作りたいのは
「豚バラ肉塩茹でスタミナにらソース」ですね。
圧力鍋で20分加熱すれば
お肉がこんなにほろほろになるんだと。

「スパニッシュオムレツ」は定番の料理ですけど、
自分がいままで食べてきたのは
なんだったんだと思うくらい、
中身がとろっとしていておいしかったです。
特別な材料を使わずに、手順も簡単だけど、
これだけおいしいものが作れることが素敵です。

作ってみたいのは「チキンライスグラタン」です。
チキンライスもグラタンも好きなんですが、
お店で食べたり、自分で作るときは
どちらかひとつになりますよね。
それを合体させるという発想がなかったので、
すごくおもしろかったです。

飲み物は「梅酒ジャスミン」の
ノンアルコールをいただきました。
梅ジュースを手作りすることが多いのですが、
ジャスミン茶で割るという発想はなくて、
ソーダで割ったりしていたので、
今すぐやってみたいと思いました。

飯島さんと司会の方がしていたお話のなかで、
「重松さんが書いてくださったのは
小説ではなく物語です」とおっしゃっていたのが
印象に残っています。
飯島さんのお料理って本当に物語というか、
ここから先に何かがつながっていくような
あたたかみが感じられるんですよね。
それがギュッと詰まったレシピ本だと感じました。

『ESSE online』

早川さん、石井さん、ありがとうございました。
そうなんです、この本のために
重松さんが書き下ろしてくださったのは「物語」。
小説、という言い方はしていません。
なぜかというと、小説というのは、
それ自体で完結している芸術のかたち。
本書は重松さんの「物語」と飯島さんの「レシピ」、
そしてそれをつくってくださる「あなた」がいて、
それを食べることで完結するのかもしれません。
ところで「梅酢ジャスミン」は、
はちみつと梅酢を2:1で合わせたシロップを、
市販のつめたいジャスミン茶(ペットボトルのもの)で
好みの濃さで割ったのみもの。
香りよく味よく、見た目もきれいなので、
きれいなグラスに入れると「映え」ます。
会食のとき、お酒を飲む方のなかで
ノンアル派として混じるときにも
ぴったりなんですよ。
(武井)

「メンチカツ」が忘れられない味でしたね。
揚げたてを食べることができて、
カサッという音と歯ごたえが絶妙でした。
もういちど揚げたてを味わうために
自分で作ってみようと思います。

「チキンライスグラタン」は、
とろけたチーズやマカロニなど、
みんなが大好きなものがつまっていて、
完成したときに会場が「おおーっ!」ともりあがって
わくわくしました。
飯島さんのお力で、お料理の見た目もきれいでした。
重松さんが書かれた物語もすぐに読みたいです。

自分で作りたいのは
「豚バラ肉塩茹でスタミナにらソース」です。
レシピで材料と作り方を見たら、
これなら、帰りが遅くなってもがんばれそうだなと(笑)。
にらソースがいろいろなものに合いそうですよね。

『GINGER web』

会場はオープンキッチンで、飯島さんの料理風景を間近に見ることができました。 会場はオープンキッチンで、飯島さんの料理風景を間近に見ることができました。

平山さん、三宅さん、ありがとうございます。
メンチカツは、3月「お弁当の交換日記」に登場する、
お弁当のおかずのひとつ。
お弁当用なのでちっちゃな円盤型で、かわいいんです。
試食会では飯島さんの揚げたてを食べていただきましたが、
これ、お弁当用‥‥ということは、
そう、さめてもおいしい! のです。
その味も、ぜひ、試してみてくださいね。試食会ということで、
まだ「物語」をお読みでないかたに、
先に料理を体験していただくことになりましたが、
「先につくって食べて、あとで読む」のも、
『LIFE 12か月』のたのしみかたのひとつかも。
内容と味をぜんぶ知っている編集チームは、
これからこの世界を体験するみなさんのこと、
「いいなぁ」って思っているんですよ。
(武井)

うめ酢を使った料理がすごくよかったです。
最初に飲んだ「はちみつソーダ」にうめ酢が入っていたし、
「モッツァレラとパイン 紀州の、うめ酢と
ウメサミコのサラダ」と「唐揚げ」にも入ってました。
うめ酢でこんなにおいしくなるんだなぁ、と。
梅も好きですし、うめ酢の味も好きなんですけど、
調味料として使ったことはなかったので、
そこは飯島さんのオリジナリティですね。

自分で何かかんたんな料理を作るときに、
塩のかわりにうめ酢を入れてみたら、
いろいろなものが
おいしくなるんじゃないかと感じました。

上ノ空

揚げたての「メンチカツ」が
プリッとした食感でとてもおいしかったです。
おかわりまでして2個バクバク食べてしまいました。
「貝のココナッツ蒸しとそうめん」は、
そうめんとココナッツって
こんなに合うんだという驚きがありました。
これはレシピどおり真似して作ってみたいですね。

『LIFE 12か月』の物語を読んで、いちばん泣いたのが
5月「ワンパク兄弟の親孝行」だったので
「チキンライスグラタン」を楽しみにしていました。
チキンライスとグラタンを組み合わせるという、
ワンパク感がすごくて、想像以上のおいしさでした。

食べてみて意外だったのは
「貝のココナッツ蒸しとそうめん」で、
思ったよりも辛みが効いてました。
物語のなかでは、女友だちふたりが料理するのですが、
お互いに家族との食事ではなかなか作れない
辛めの味にしたのかなって思ったから、
私も女友だちと一緒に作って食べたいと思いました。

KADOKAWA『ダ・ヴィンチ』

横里さん、笹渕さん、冨田さん、
つまり新旧『ダ・ヴィンチ』編集チームのみなさま、
ありがとうございました。
横里さんは食べる前に読んで、
「書評のような紹介文」を書いてくださいましたから、
リアルな飯島さんの料理がひときわ沁みたのでは。
たしかに大人になってからって、
バーベキューとかの野外イベントは別にしても、
料理そのものを友達と一所に楽しみ、食べるって、
機会が減っていますよね。
コロナもあって家に人を招くことも少なくなったし、
集まっても便利なデリバリーがあったりするし。
この本が、そういうたのしみを取り戻す
きっかけになったら、とても嬉しいです。
(武井)

おやつには9月の物語「あの街の郷土料理を、ご存知ですか?」より、フルーツポンチがふるまわれました。 おやつには9月の物語「あの街の郷土料理を、ご存知ですか?」より、フルーツポンチがふるまわれました。

試食会にお越しのみなさま、
お話を聞かせていただきありがとうございました。

お話のなかで、作ってみたいという方が多かった
「豚バラ肉塩茹でスタミナにらソース」を
わが家(筆者=金澤家の3人家族)でも
レシピどおりに再現してみたら大成功。
とってもおいしくできました。
次は「チキンライスグラタン」に挑戦したいです。

『LIFE 12か月』というレシピ本は、
重松清さんがつむいだ物語を読み、
飯島奈美さんが考案した料理のおいしさを想像して、
みなさんがレシピどおりに作って味わうという
3者のバトンリレーによって完結する本です。
ぜひ『LIFE 12か月』のレシピどおりに
作って、楽しんでくださいね!

(おわります)

2023-07-03-MON

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