前回の連載のなかで、
「ご実家などに眠っている
ファンシーなグッズはありませんか?」
と、呼びかけたところ、
メールやツイッターで
たくさんの投稿をいただきました。
どうもありがとうございます!
なんとメロさん、ほぼ全ての方の
投稿写真を鑑定してくださったんです。
ぱっと見ただけで、「あ、これはですね~」と
あらゆる方向に話が進んだ鑑定の様子を、
そのまま、こってりとお伝えします。
レアで貴重な「ファンシー絵みやげ」の数々、
その当時の時事ネタもおたのしみください。
担当はほぼ日のフジタです。
- ーー
- メロさん、お久しぶりです!
また今日のトレーナーもファンシーで‥‥
何のキャラクターですか。
- メロ
- あ、これですか。
雪だるま、長野県の戸狩温泉で買ったものです。
- ーー
- かわいいです。
前回のご登場の後、テレビに出られてましたね。
『アウト×デラックス』観ました。
- メロ
- ありがとうございます。
けっこう反響がありました。
- ーー
- 今日は鑑定の日、ということで、
読者のかたからたくさん投稿が届いています。
プリントアウトしてきました。
- メロ
- すごい、たくさん。
順々に見ていかないと見落としちゃうかも。
- ーー
- え、まさか、
全部鑑定してくださるんですか?
- メロ
- はい、全部‥‥は難しいかもですが、
できる限りは。
こんなに送っていただいて、うれしいです。
- ーー
- さっそく参りましょうか。
あ、その前に。
- メロ
- その前に。
- ーー
- 今回、メロさんが「これは!」と思った
写真を送ってくださった1名の方に、
メロ賞を差し上げる、というお約束です。
ほぼ日からも副賞をご用意してます。
最後に「メロ賞」を選んでいただきますね。
(ということで投稿してくださったみなさま、
メロ賞は、最終回で発表します。
当初3月とお伝えしていたところ、
4月にまたがってしまって、すみません)
- メロ
- メロ賞、はい。そうでした。
考えながら見ていきます。
- ーー
- では「メール投稿」からまいりましょう。
すごく素敵な長文のメールをくださった方も
たくさんいらっしゃるのですが、
コメントは一部省略して掲載します。
もちろん、メロさんは全て読んでます。
ファンシー絵みやげの話は、独身の自分のことだけ
考えてればよかったころのことを
あれこれ思いだします。
友達とスキーに行った帰りに、
そこに行った証としていつも買っていました。
今手元にあるのは、小袋2つと鏡。
鏡は歯を磨くときに使っています。
(はっさく)
- メロ
- (メールを読みつつ)
いいコメントですね。
「今はもう自分のことだけを考えられなくなった」
ということが読み取れます。
ご家族ができたのでしょうか。
- ーー
- 私もこのフレーズにグッときました。
‥‥ところで、この赤い袋のイラスト、
メロさんが今日着ている服と似てませんか。
- メロ
- 実は私も思いました。キャラが似てますよね。
- ーー
- 出だしからすごくないですか。
たまたま最初に送られてきたメールが、
今日のメロさんの服と同じ。
- メロ
- 赤い袋、裏側に「NOZAWA」とありますが、
これは長野県の野沢温泉ですね。
野沢と、私がこの服を買った戸狩は、
すごく近いんですよ。
戸狩野沢温泉駅という駅を挟んで、
西側に戸狩、東側が野沢。それぞれスキー場があります。
(はっさく)
- ーー
- すごい。
じゃ、ほぼ同じ場所で買われたんですね。
- メロ
- 左の緑の袋は丸沼高原スキー場ですね。
これ、文字に注目してください。
「ローマ字で文章を書く」というのも
ファンシー絵みやげの大きな特徴ですが、
「雪が降ってきた。みんなで遊びましょう」、
「みんなで」の「E」が欠落して
「みんなド遊びましょう」になっている。
これはたぶんただのミスです。
- ーー
- えっ。
- メロ
- まだあります。
ローマ字は大きく分けると、
訓令式とヘボン式の2種類あって、
「遊びましょう」の「しょう」は
「SHO」がヘボン式、「SYO」が訓令式です。
ですが、これは「SHYO」と、
なぜか混ざってます。適当です。
- ーー
- ‥‥。
- メロ
- たぶん、当時のデザイナーさんも、
「いいんじゃない、合ってる、合ってる」
「じゃあこれでいきましょう」みたいな感じで、
そのまま商品化されたのかもしれません。
時代性が出ています。すごくいいです。
- ーー
- すごくいい。
時代性が出ているといえば確かにそうですね。
今だったら、これは。
- メロ
- 今だったら何重にもチェックするでしょう。
この時代は「売っちゃえばいいじゃん」と言って、
ワンシーズンで売り切れるから、気にしていない。
- ーー
- おおらかな時代!
- メロ
- 真ん中の木製のミラーについても見てみましょう。
木製品はこういうベニヤで作られたものが多いです。
「ラッキー・ニック」は、この男の子の名前かな。
これも野沢温泉ですね。
長野はスキー場と温泉が近いところが多いですが、
中でも温泉地とゲレンデが直結しているというのが、
野沢温泉の特徴です。
今もこれを使っていらっしゃるんだ。
ファンシー絵みやげって、家にあっても
もう使われていないことが多いので、うれしいです。
じゃあ次いきましょう。
- ーー
- 最初からじっくりと。
- メロ
- 言うことがあるものはしっかり言います。
メロさんのコンテンツの表紙写真をみて、
びっくり。真ん中のブルーの男の子女の子の
キーホルダーの色違いのピンクをもってました。
(処分してしまいました。)
わたしが見つけたのは、
妹の高校の修学旅行の土産です、多分。
なので33年の月日が経っています。
(トヨタのミューミュー)
- メロ
- ミューミューさん、ありがとうございます。
「処分してしまいました」は残念ですが、
自分も昔、全部捨てたことがあるので、
人には何も言えないのです。
むしろ「当時なら捨てちゃうよね~」という感じで。
- ーー
- 前回のインタビューで、捨てた、と
おっしゃってましたね。
- メロ
- そうなんです。
さて、桃太郎のキャラクターは、
特に岡山が推していますが、
実は愛知の犬山城にも桃太郎伝説があって、
桃太郎神社があるんです。
作家の浅野祥雲さんという、
コンクリートの人形でテーマパークを作ったりしている方がいて、
その方が桃太郎神社に
桃太郎のコンクリート人形を設置してます。
その周辺でも、桃太郎がモチーフの
ファンシー絵みやげが売られていました。
桃太郎の昔話では「ここが舞台です」と
言っていないわけです。
もっというと、子どもは昔話が好きなので、
桃太郎に関係がない場所でも
桃太郎グッズは売られています。
なので、あえて地名を入れないものが多いのです。
- ーー
- 裏側の写真も送られてきていますが、
たしかに地名がないですね。
- メロ
- さらにこれ‥‥
妹さんは買ったときに気づいてなかったのでしょうか、
あるいはギャグで買ったのかもしれないですが、
ずらすと股間が出るという衝撃のシリーズですね。
主に男子が好んで買ってクラスメイトと遊ぶやつです。
(※投稿写真、2枚目)
- メロ
- ちょうど数日前、岡山の倉敷で
問屋さんの方と話していたんですが、その方が
「ポコチンブームはたしかにあった」
とおっしゃっていました。
桃太郎グッズだけでなく、いろんなものがあった、と。
特に当時の児童漫画には、
そういう表現が多かったんです。
そして、この絵のおもしろいところは、
桃太郎が腕時計をしているうえに、
ウォークマンもしているんですよ。
ソニーのウォークマンが流行ったとき、
最初はこういうヘッドフォンが付いてきていたんですね。
だからこれは昔話の時代に
腕時計をしてウォークマンをしているという
SF要素まで入っています。
というわけで、おもしろかったです。
私も、桃太郎のこのグッズは持っていないです。
- ーー
- 持っていない? メロさんが。
- メロ
- はい。欲しいです(笑)。
- ーー
- 欲しい。
(メール投稿を整理しながら)、
あ、こちらも同じくトヨタのミューミューさんです。
同じ方が「これも見つけた」と送ってくださる傾向、
何度かありました。
大掃除で見つけました。
ファンシー絵みやげと
位置付けていいのかはわかりませんが、
わたしが高校生の頃は、顔がぽちゃっとした、
点目のこが多かった感じがします。
ある時期、写真のような陶器のかわいいのが出回りました。
これは、女子校に行った子の、
修学旅行みやげ(倉敷)と、家族旅行みやげです。
(トヨタのミューミュー)
- メロ
- 年末の大掃除で見つけて、
改めて送ってくださったんですね。
全く別々のエリアに同じものがあったということがすごい。
今私は全国でいっぱい集めているからわかりますけど、
当時同じものを探すって大変なわけです。
たまたまかもしれませんが、すごいですね。
- ーー
- たしかに。
ネット情報も当時はないですから。
- メロ
- ひし形の器の上に貼ってある
陶器みたいな土の焼きもの、
このパーツをレザーに貼ったキーホルダーが
全国で見つかっています。
よく使われるパーツなんですよね。
下に描いてある絵は、
ちゃんと倉敷とか
サファリパークの様子がわかっていいですね。
プリントが基本のファンシー絵みやげと違って、
絵付けという感じで味わい深い。
ただこの書体から考えると、
ちょっと前の時代なのかもしれないです。
ファンシー絵みやげの時代は、
マル字が流行してましたから、
それより前のものの可能性もあります。
自分が子供の時にマザー牧場で買ったお土産です。
ペンケースに付けているキーホルダーで、今でも現役です!
あらためて見て、「毎日幸せ」と
ローマ字で書いてあるところにぐっと来ました。
今の商品でしたら英語になってそうですよね?!
(まり)
- メロ
- このウシのキャラクターは、いろんなシリーズがあります。
「お気楽な毎日」と書いてありますが、
ウシが本当にお気楽な毎日かどうかは謎ですよ。
ミルク絞られたり、いろいろありますから。
このキャラのグッズは、
地名が入っていないことが多いんですけど、
ちゃんと「マザーファーム」、
つまり千葉県のマザー牧場のために
かっこいいフォントでロゴを入れていますね。
「『毎日幸せ』とローマ字で
書いてあるところにぐっと来ました」と。
ええ、これは今の商品でしたら
英語を使っているでしょうね。
- ーー
- 今だったら、
「MAINICHI SHIAWASE」じゃなく、
「EVERYDAY HAPPY」とかになってそう。
- メロ
- そして、エッジがはげて少し白くなっています。
つまり貼っているのはシールなんですよ。
普通は、上に樹脂を塗るものが多いので、
あんまりこうならないんですけど、
これはシールだということがわかります。
キラキラしている背景は、
「ビックリマン」チョコレートについてくるシールで
おなじみの、プリズム加工されたシールです。
「ビックリマン」は四角い模様のプリズムに対し、
これは放射状のプリズムです。
「ビックリマン」は発売当初30円で
こっちのキーホルダーは400円。
10倍ぐらい値段が違います。
もちろん金属部分の値段も入ってますが、
プリズムのシールだけで考えても、
放射状のもののほうが高いんです。なぜでしょう?
- ーー
- 放射状のもののほうが高い。
なぜでしょう、わからないです。
- メロ
- 放射状のプリズムは、中心が必ず存在するんです。
四角いプリズムのパターンだと
どこでどんな形に切ってもいいけど、
放射状のプリズムは中心からここまでって決めて
パターンを作らないといけない。
そういう意味で、素材にコストがかかるんです。
- ーー
- ああ! なるほど。
- メロ
- 現役で使っていらっしゃるのもいいですね。
使っているうちはぜひそのまま使ってください。
いつかもしペンケースから外す日が来て、
どうしても捨てるとなったときは、
捨てるぐらいだったら私が面倒を見たいなと(笑)。
そんなことまで思ってます。
会社の机の引き出しに眠っていたのを、
この連載を読んで思い出しました。
お役に立てれば幸いです。
(ゆきりん)
- メロ
- 「会社の机の引き出しに眠っていた」
え、これが? 引き出しに入ってた?
鏡に手書き風の字で
「見るんじゃネエヨ!」と書かれていますが、
「ルージュの伝言」みたいでいいですね。
おもしろいです。
「指名手配」をモチーフにしてますが、これは
海外でもよくある「WANTED」風のデザインです。
- ーー
- 「逃走中」と書かれた旗をはためかせて、
かえって目立つのではないか、と思われます。
- メロ
- こういう警察あおり系というのはいくつも存在します。
「逃げています」とか「指名手配」とか
「取り締まり中」とか。
これはキーホルダーなので小さいですけど、
カー用品に多いです。
当時、マイカーが普及して、車での旅行が増え、
高速道路文化も発達して、
お土産を売る先がサービスエリアに移っていった時代です。
当時、シートベルトが義務化されて、
シートベルトカバーというものがよく売られていました。
それもファンシーな絵とともに、
「おまわりさん、ちゃんとシートベルトしてるもんね!」
みたいな言葉で警察をあおったような
カバーが存在していたんです。
- ーー
- シートベルトカバー!
電話カバーみたいな感じですか。
おもしろいです。
次のちゃちゃこさんからは3枚お写真いただいてます。
1枚ずつ、ご紹介しましょうか。
小学生雑誌の付録だとおもいます(おぼろげ)
メジャーです。「ジャイアント馬場の足の大きさ」とか、
豆知識的なメモ入りです。
(ちゃちゃこ)
- メロ
- 「小学生雑誌の付録だと思います」ということですが、
もし付録だとしたら
観光地で流通していたものではないので、
ファンシー絵みやげではないかもしれませんね。
でもこのメジャー、とてもかわいい。
ペンギン流行りましたね。
- ーー
- あらためて紹介しますと、
ファンシー絵みやげとは、
「ファンシーショップで売られていたような商品群に
平面イラストのキャラクター(絵)を
プリントした観光地みやげ」
ということですね。
ちょっと微妙ですが、たぶん‥‥ということで
鑑定お願いします~
(ちゃちゃこ)
- メロ
- こういう天然の木を使った商品、
こういうのを専門に作る工場があるんです。
これは「オスワリグマ」ですが、
よく似た「チャノマグマ」というのがいるので、
同じデザイナーさんか、同じ会社なのかもしれません。
「座っているのが大好きさ」
みたいなことが書いてあります。
そしてここが重要なところですが、
埼玉県は、47都道府県の中で、
一番ファンシー絵みやげが少ないんです。
- ーー
- そうなんですか。埼玉県は少ない。
- メロ
- 自分は埼玉で育っていますけど、
自分の手持ちの中でもとにかく少ないのが埼玉です。
観光地が少ない。
そしてこれ何がすごいって、
「CHICHIBU」とロゴをプリントしている上に
「ながとろ」(長瀞)という地名を
シールで入れているんです。
長瀞は大きく見ると秩父エリアの1観光地で、
全域が「埼玉県立長瀞玉淀自然公園」に指定されています。
だから秩父といっても間違いではないんですけど、
わざわざ「ながとろ」シールを貼って
アピールしている点が特徴です。
すでに地名が印刷されているのに、さらに
地名が貼ってあるのがめずらしくて、いいです。
(ちゃちゃこ)
- メロ
- 景色があまり海に見えませんが、一応海なんですね。
「ザ・ファッシネイティング・
ダーク・ブルー・オーシャン」
と書かれてますから。
このキャラはあんまり見かけませんが、
でもいろんなエリアで出没しているキャラクターです。
「KINKAZAN」は「金華山」ですね。
金華山というのは2カ所あって、
岐阜の岐阜城がある場所も金華山です。
でも岐阜の金華山のファンシー絵みやげには
だいたい「岐阜」もしくは「岐阜城」と書かれるので、
この金華山は宮城県の離島である金華山でしょう。
- ーー
- すごい、鑑定みたいです。
- メロ
- だって今日は鑑定の日ですよ(笑)。
(つづきます)
2020-03-31-TUE